2010年 09月 06日
高橋是清に学ぶ緩和と引締めのバランス
ファイナンシャルプランナーの大山潤です。
山口の186歳、長崎の200歳と、最高齢記録が塗り替えられました。
もちろん本来の所在不明高齢者の問題は、とても笑えるような出来事ではありません。
ただもう戸籍上のこととはいえ、ショパンや国定忠治と同じ年だと聞くと、苦笑いするしかないかなと・・。
さてさて、
先進各国ではデフレ懸念の高まりで、日本の失われた20年が引き合いに出されますが、
9月3日付の英FT紙(訳:JBpress)は、長崎の200歳の方より40歳以上年下になる高橋是清の1930年代の政策に焦点をあてています。
危機に対して、積極的な財政出動と出口戦略の両方を実施した是清の経験には、
現代における、
・1930年代の大恐慌を引きずり、積極的に景気刺激策を打ちたい米に対しては、
→景気の二番底懸念で追加刺激策を打てば打つほど、支援中毒・既得権益を生み出してしまい、ますます出口戦略が困難になるかも
・同じく30年代のハイパーインフレを引きずり対照的に緊縮財政で出口戦略を急ぐEU(特にドイツ)
→欧州は緊縮財政に傾きすぎると、日本の失われた10年のようになるかも
というそれぞれの状況に対する教訓がある、という指摘です。
要するに、各中央銀行および政府には、緩和と引き締めという相反する政策に対し、バランス感覚が要求されているということでしょうか。
以下に、高橋是清に関する記述部分を、記事より時系列で書きだしてみました。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/4385
・1929年の米株価暴落後の不況に苦しむ1931年大蔵大臣に復帰。
・当初は景気刺激策によって積極的な財政出動に出る。
・円は40%の価値を失い(円安)、日本経済は安定したかに見えたが、国債と円に対する信頼が低下。
・1936年から政府支出削減、金融引き締めといった出口戦略へ。
・政治的緊張が高まる中で、軍事費削減に憤慨した将校に暗殺される(2.26事件)。
・軍国主義、無謀な政府支出、ハイパーインフレーションへ。
個人的には、「高橋是清」「2.26事件」「大恐慌」「金本位制」といった、
薄~くなりかけていた、あるいはバラバラだった歴史と経済のキーワードが、
ひとつの知識として融合したのが収穫でした。