谷田部監督が語る、『こんにちは アン~Before Green Gables』へ込めた想い。
-----『こんにちは アン~Before Green Gables』を手がけるうえでの意気込みを、まずは谷田部監督から聴かせてください。 谷田部:『こんにちは アン~Before Green Gables』は、『赤毛のアン』のヒロインとなった女の子アン・シャーリーの小さい頃のお話です。 『赤毛のアン』が出版されてから100周年を迎えたときに、L.M.モンゴメリの作品を一括管理する「モンゴメリ財団」から、カナダで活躍する童話作家のバッジ・ウィルソンへ「アン・シャーリーの小さい頃の話を書いて欲しい」と依頼が入ったことが、『こんにちは アン~Before Green Gables』が誕生する、そもそもの経緯になります。 -----日本でも、今年は『赤毛のアン』にとって記念すべき年になりました。 矢田部:「世界名作劇場」のいち作品として『赤毛のアン』が放送になったのが、79年のこと。あれから、今年で30年の歳月を経過。まさにちょうど良い時期に、このお話が立ち上がったと思います」 -----谷田部監督は、『赤毛のアン』を改めてご覧になったそうですね。 谷田部:30年前に高畑勲さんが作りあげた『赤毛のアン』を観させていただきましたが、今観ても素晴らしさを覚える作品ということもあって、「僕は一体何を、どうすればいいんだろう?!」というプレッシャーも、最初は正直感じたんですね。でも本作では、僕なりの視点で製作へと望んでいきました」 -----それは、どういう姿勢だったのでしょうか?? 谷田部:幼少の頃のアンは、今の世の中では想像もできないような"つらい境遇"の中、一生懸命にその生を謳歌し続けたわけですが。まずこの作品で伝えたかったのが、不況にあえぐ今の世知辛い世の中だからこそ、「こんな小っちゃな子でも、日々笑顔を浮かべながら生きてるんだから、みんなも元気になろうよ」という、その「"生きてくことの勇気"を大勢の人たちに伝える」ということでした。 アン・シャーリーは、産まれてすぐ"孤児"になった女の子。でも物心ついたときから孤児だったわけですから、それが"つらい"ではなく"日常"だったわけですよ。僕らから観れば"つらい境遇"だけど、 アンからすれば"日常"という風景。彼女は、その日常の中で、いつも「楽しいこと」を探し続けていた。そんなアンの前向きな気持ちに、まわりにいる大人たちも、何時しか影響を受けていく。僕はアン・シャーリーのそんな生き方を通し、子供たちはもちろん。大人たちにも、「"前向きに生きることの素晴らしさ"を感じ取って欲しいな」と思っています。 池田昌子さんが寄せる、『こんにちは アン~Before Green Gables』への想い。 -----池田さんといえば、「世界名作劇場」には浅からぬ関係のある方です。 池田:わたしがこのシリーズへ初めて出演させていただいたのは、『ペリーヌ物語』にペリーヌの母親役で出演させて戴けたことからでした。その後も『母をたずねて三千里』や『ニルスの不思議な旅』などへ関わらせて戴きましたし。一番新しいところでは、『ロミオの青い空』でナレーションを担当させて戴きました。だから、今回のお話をいただいたときは、なんか「懐かしい感じ」もしていたんです。 アン・シャーリーって、本当に健気で一途な女の子なんですね。そのアンを演じる、まだ中学生の里菜ちゃんも、健気に一生懸命演技にぶつかっていく女の子なんです。そんなアンと里菜ちゃんの姿が重なり見えてきたよう、とてもいい作品として製作は進んでいます。物語自体も、悲しかったりつらかったりなど、かなりシリアスな内容ながら、谷田部監督がアンの明るく前向きな気持ちを、その境遇の中でさえもしっかり"光"として描き出しているよう、わたしもまた、"明るく前向き、かつ優しく"という雰囲気をナレーションで醸しだそうと思いながら、毎回の収録へと望んでいます。 ヒロインのアン・シャーリーを演じるのは、中学生の日高里菜ちゃん。 -----里菜ちゃんは、アン・シャーリーという役柄を、どのように受け止めていますか? 日高:もしわたしがアンと同じ人生を歩んでいたら、悲しくて、しょぼんとしちゃうと思うんですけど。アンは、そんなことはまったくなくって。綺麗なお花を観たり、ひなたぼっこをしている猫を観ているだけで元気になったりするよう、幸せな気持ちになれる女の子なんです。そういう「ちょっとしたことでも幸せを感じられるアンの前向きな気持ちを出そう」と、アフレコでもがんばっています。 スタジオでは、アンをいじめている役のキャストさんも、すっごく優しいんです。あの楽しい現場の雰囲気を、ぜひアニメへも反映させていきたいなと思っています。 小林由美子さんが語る、「世界名作劇場」への強い想い入れ。 -----小林さんは、アンをいじめるホーレス役で登場しています。 小林:はい、アンをいじめているホーレス役の小林由美子です(笑)。わたし、子供の頃から「世界名作劇場」に育てられ、成長してきたところがあるくらい、大好きなシリーズなんですね。そんな大好きなシリーズに、以前『レ・ミゼラブル』で関わらせていただく機会が産まれ、「大好きなシリーズ作に出れる夢が叶った」と喜んでいたんですけど。今回、ふたたび関わらせていただけることになったのが、すごく嬉しいんです。まして『赤毛のアン』は、わたしが生まれた年に放映された作品。わたしは再放送で観て大好きになった物語でしたので、その作品にふたたび関わらせていただけることは、本当に嬉しかったことでした」 アン・シャーリー役を演じる日高里菜ちゃんに対して。 -----谷田部監督なりの、『こんにちは アン~Before Green Gables』へ向かうに当たっての仕掛けがあったら、ぜひ教えてください。 谷田部:気をつけたのが、テンポ感。子供たちが生活の中で感じるテンポ感は、明らかに30年前よりも早くなっている。だから、"30年前なら200字詰めの原稿用紙60枚で書いてたであろうシナリオを、今回は70枚を越える文章に増やしました"。それによって、名作の香りを活かしながらも、今の時代性にそぐうテンポ感を出せたのは良かったなと思ってる。 -----アン役に日高里菜ちゃんを起用したのも、嬉しい成果でした。 谷田部:70人ほどオーディションをした中から彼女を選んだわけですけど。最初は「仕事経験の少ない中学生に決めて良いのか??ある程度経験のある人に任せたほうが安心じゃないか??」という迷いはありました。でも「彼女の明るさに賭けよう」と判断し、起用したわけですが。現場では、音響監督さんからの現場での指示に対しても、彼女はすぐ対応していけちゃうんですね。その柔軟性には、むしろ僕らがビックリしたくらい、想像以上にベストな起用になりました」 池田:里菜ちゃんがいるだけで、現場の雰囲気が明るくなるというのは、すごく大事なこと。何故なら、声を入れるわたしたちも、その空気に引っ張られながら演技を重ねていくわけですからね。そういう面では、演じる側を燃えさせてくれる彼女の起用は、すごく素敵なことだと思っています。 小林:フレッシュさと光輝くオーラを持ってる子だからね。むしろ、わたしがそのオーラにあやかりたい気分(笑) アン・シャーリーと日高里菜の相違点。 -----里菜ちゃんとアンの似てるところ、そこも教えてください。 日高:似ている部分は、「思ったことをハッキリ言う」こと。違うのは、一度悲しくなったら、わたしの場合はズッとめげたままなのに。アンは、めげても20秒後には笑えているよう、そこはわたしも見習いたいところです。 『こんにちは アン~Before Green Gables』の見どころは? 谷田部:よく「名作劇場」というと、ボロボロ泣くようなお話を思い浮かべるかも知れませんけど。僕は、泣かそうと思って作ろうとは思いません。むしろ、もっとあったかい幸せな感じの作品にしながら、結果的に涙が出るような作品になっていれば良いのかな……と思っています。 「こんにちはアン」 BEFORE GREEN GABLES by Budge Wilson (c)Budge Wilson,David Macdonald,trustee,and Ruth Macdonald 2008 (c)Nippon Animation Co.,Ltd.2009.All Rights Reserved. HP こんにちは アン~Before Green Gables』主題歌のレコーディング現場コメント 「こんにちは アン」完成披露試写会より、参加者の取材コメント
by ex_anime
| 2009-03-27 00:46
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