主人のため、夜中に小人が働いてくれるというお話をご存知だろうか？
そんな夢のような話が実現されようとしている。

（有）ＷＨＩＲＬＷＩＮＤ、（株）イージア、（株）ＮＴＴデータの３社は、１１月１５日より、デジタルハイビジョンアニメーションの映像を“ｃｅｌｌ ｃｏｍｐｕｔｉｎｇ βｉｒｔｈ／セルコンピューティングバース”（http://www.cellcomputing.net/）を利用し、参加者のＰＣで手分けをしてレンダリング（＝画像化）を行うプロジェクトを開始した。

ご存知の通り、２０１１年７月からテレビ放送は現在のアナログ放送から地上デジタル放送に完全に移行される。
それにともない、アニメーションの制作も大きく変わることになり、現在の手法ではひとつの作品を作り上げるために膨大な設備、費用、そして時間がかかる事になる。
その対策として考え出されたのが「分散コンピューティングプロジェクト」。

パソコンのＣＰＵ、メモリ、ＨＤＤをネットワーク上で統合協調利用し、仮想的なひとつのスーパーコンピューターとして利用することを可能にする“ｃｅｌｌ ｃｏｍｐｕｔｉｎｇ（Ｒ）／セルコンピューティング”で、インターネットを介し、一般のみなさんの家庭にあるパソコンの参加により膨大な量の計算を行うプロジェクトが２００５年２月より行われている。
既に４つのプロジェクトを完了し、現在も２つのプロジェクトが進行中。
来たる２０１１年に向け、着々と準備は進行しているというわけだ。
そんな中、今回この分散レンダリング技術を使い、デジタルハイビジョンに対応したアニメーションを製作する実証実験を行うことになった。
従来のセル（２Ｄ）アニメーションや、実験的Ｆｕｌｌ ３Ｄ-ＣＧではなく、約３０秒の２Ｄ／３Ｄ-ＣＧ合成アニメーションをＦｕｌｌ-ＨＤ（１０８０ｐ、 １９２０×１０８０、３０ｆｐｓ）作品としてパイロット版製作を行い、一般に公開することを目的している。

今回実際製作するのは、ホラーアニメーション『Ｔｈｅ Ｂｒｉｄｅ』のパイロット版。
この物語は幻想的な洋館内で展開されるのだが、背景となる洋館内の画像をＦｕｌｌ ３Ｄでモデリングし、分散レンダリングすることで様々な角度から見た背景画像をこれまで以上にリアルに表現されることが期待されている。
普通では見ることのできないアニメの制作過程。
それを見るどころか、参加できてしまうという。
しかも、実際今自分のパソコンがどういった作業をしているかなどもわかりやすく確認できるようになっている。
ユーザーのパソコンを使うとは言っても、通常動作にほとんど影響のない範囲だということなので、まさに働き者の小人というわけだ。
特に、今回はインストール不要のＬｉｖｅＣＤも用意されている。
ＣＤをパソコンに入れて起動するだけで使えてしまう優れものだ。しかも、話題のＬｉｎｕｘを経験できてしまう。

この次世代プロジェクト。いますぐにでも参加可能なので、さらに詳しい説明、興味のある人は以下のページへアクセス。
http://www.hd-animation.jp/

実施期間：平成１９年１１月１５日～平成２０年１月３１日（予定）