テニス親父、最後のプレゼント
2025年 04月 14日
先日、母の誕生日だったので
なにかリクエストがないかを
聞くと
新聞に記事があった
アフタヌーンティーに
行ってみたいとのこと
考えてみれば私も
若い頃からいつも
慌ただしく生きていたので
午後にゆっくりお茶なんて
余裕はなかった
マンダリンオリエンタル
ホテルのアフタヌーンティーは
38階で見晴らしもよく
ピンクの花々に飾られグリーンの
内装は春らしく心地よい
もちろんお茶やスィーツも
美味しくてもっと早く
連れてきてあげればよかった
母は初めてのアフタヌーンティーを
喜んでたけれど
″パパ、死んじゃったんだよね”
と時折ため息をつく
″いやいや、ちゃんと一緒に来てるってば
今、ママの隣に座って笑ってるよ”
と言っても母は寂しそう
まあ、姿は見えないし
声も聞こえないもんね
生きてる頃の父は
テニスラケットを振っている時は
ご機嫌であるが
何か気に入らないことがあれば
すぐに吠えつく
横暴親父であった
それが亡くなると何故か
愛しい個性だけが心に残り
懐かしく寂しく思えるのだから
不思議である
父が亡くなって最初の母の
誕生日だから何か特別のものを
贈りたいけど
父は最後に何を母に
渡したかったのかな
なんて考えているうちに
思い出したことがありました
昨年、母の好きな画家の
展覧会へ行った時のこと
父も行きたそうでありましたが
もう足腰が痛んでたので
ひとりお留守番
普段はぷいっと黙っていますが
帰宅した私に珍しく
どんな絵なの?と
感想を聞いてきました
柔らかな色彩の
風景画が多かったけれど
″ママが一番好きな絵は
丘の上から見た街を描いた絵なんだって”
と母が一番好きだと指さした絵について
説明すると
留守番役を拗ねている声のトーンで
″じゃ、そのママが一番好きな絵買ってきてよ”
とご機嫌斜め
いつものことだと
軽く流したけれど
あれって照れ隠しで
本心だったかもしれないと
急に気が付いたわけです
で画廊へ行き
その絵を注文しました
父が好きそうな
イヌの模様のちょっと
子供っぽいカードを買って
本当は伝えたかったであろう言葉を
恐山のイタコばりにチャネリングして(笑)
書き絵に添えました
「最後まで一緒にいてくれてありがとう
この絵のように
空からいつもいつも見守ってるよ」
って絶対にそう言いたかったはずの
テニス親父♡
その声は母にきっと届くよね