血とジュエリー2
2017年 10月 16日
〝宝石は持ち主の想念を宿す”
伝統的な定説ですから
愛したり
憎んだり
恨んだり
その感情はいつも身に着けている
宝石に宿りその情念をさらに
歯止めの利かないものに
強めてしまう可能性だってあるでしょう
そう考えたとき
私が思う宝石の怖いイメージが
似合うストーリーは
〝サロメ”
もともと新約聖書に登場する逸話ですが
19世紀にオスカーワイルドが
発表した戯曲が有名ですね
素晴らしい踊りのほうびとして
欲しいものがなんでも与えられると
王に約束されたサロメは
自分の好意を拒んだ預言者ヨハネの
首をねだり切断させ口ずけする
聖書に登場するストーリーでは
少女サロメが王に
素晴らしい踊りの褒美として
ヨハネの首を欲しがったのは
母の望みを叶えたかったからなのだけど
可愛さ余って憎さ100倍
想いを遂げられないなら
首をちょん切ってしまえ
激しい愛ゆえなのは間違いないでしょう
さてヨハネの首を前に
高笑いしているサロメが
つけている宝石は何かしらと
想像したら
やっぱりガーネットかな
和名ではザクロ石
日本の民話では鬼子母神が
人肉の代わりに仏さまから
与えられたものがザクロでしたね
錆びたような血の香りが漂いそうで
ありながらその艶やかさに
魅了され触れずにはいられない
〝一途な想いを叶える宝石”と言われ
ゲーテの年若い恋人ウルリケが
ゲーテへの愛を誓っていつも
ガーネットのネックレスを
身に着けていたのだとか
戯曲の最後では結局サロメも
王に命を絶たれてしまいます
血が滴るようなガーネットを
サロメも愛用していたのなら
そのストーリーエンドを彼女自身が
本当は望んでいたのかもしれません