2014年 11月 07日
人気ブロガー「はなももの別館」のはなももさんが『砂漠のわが家』を出版!
なかでも、生まれてまもないころから育てているガゼルの「サーメル」をはじめとする、ガゼル一家とのエピソードは笑いあり、涙あり…。家族がどんどん増えていく様子や、言葉は交わさなくても深まる人と動物との絆、猫や犬、ハトなど他の家族たちとの何気ない日常まで。ブログの開設当初からの読者ファンはまるで遠い親戚のような気持ちで、はなももさんファミリーをあたたかく見守っています。
2010年6月のピックアップブロガーにも登場していただきましたが、そんな、はなももさんのブログの魅力がぎゅっと詰まったフォトエッセイ『砂漠のわが家』(幻冬舎)という本が10月9日に出版されました。
はなももさん、出版おめでとうございます!!
そこで、今回は『砂漠のわが家』を出されて、ますます読者に注目を集めているはなももさんに、本を出版された感想や本の内容などについて、ブログとの関連記事などもまじえながら、インタビューさせていただきました!
――2014年10月に『砂漠のわが家』(幻冬舎)という本を出版されましたが、出版おめでとうございます!この本を出版されたいきさつ、本になったことに対する感想は?
はなももさん:ありがとうございます。以前、ピックアップブロガーに選んでいただいたことがありますが、それをたまたま編集プロダクションの方が見かけ、そこからずっとわが家のブログを見てくださっていたそうなんです。ピックアップブロガーに載せていただいてから約3年後、「本を出しませんか」と声をかけていただきました。
アラブ首長国連邦という国の砂漠で、総勢約200匹の動物たちと生活するという、ちょっと風変わりの生活をしているので、「本を出したらいいのに」と、ブログを読んでくださっている方から言っていただくこともありましたが、私自身は、日常生活を写真に収めてブログで紹介していたので、個人の生活を紹介して、興味を持ってくれる人がそんなにいるだろうかと、出版されるまで不安だったのが正直な気持ちです。
出版後、本を楽しんでくださっているという感想を、あちこちからいただきまして、ホッとしたのと、大変マイペースながらも、ブログを長いこと続けてきたものがこういう「形」になったことに、今じわじわとうれしさがこみ上げてきています。
――この本はどのように仕上がってらっしゃるのでしょうか?
はなももさん:ブログでは、アラブでの生活、砂漠での生活、それと動物たちとの生活を書きつづっていまして、本を作るにあたって、どんな本にしようかというのは、紆余曲折ありました。最終的に、幅広く、いろいろな方に楽しんでいただけるようにということで、今現在、ガゼル、ラクダ、イヌ、ハト、ウマ、ネコ、ウサギ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ニワトリの、11種類、約200匹の動物と砂漠で生活しているんですが、その動物たちとの生活を紹介する、フォトエッセイという形になりました。
一緒に生活する動物家族たちの写真が80ページ、そのあと15ページに、その動物家族たちと、どうやって出会って、みんながわが家の家族になったのかという経緯を書いています。
どの内容もブログにそのつど書いて、写真も載せてきたんですが、それらをぎゅっと95ページにつめたものになりました。
なにせ動物の種類も数も多いので、みんなを紹介するということはできませんが、これだけの種類と、これだけの数の動物が、砂漠でどんな暮らしをしているのか、なんとなく想像を膨らませていただけるものになっているのではないかと思います。
写真を見た後、巻末にある、これら動物たちがわが家の家族になった経緯を読んでいただき、そんな背景を知った上でまた写真を見返していただくと、それぞれの動物たちの顔もちょっと違って見えてくるかもしれません。写真が多いこともあって、お子さんと一緒に楽しんで読んでくださっているというお声もいただいています。
――今回書籍化するにあたり、苦労されたことも楽しいこともあったと思いますが、どんな点がいちばんやりがいがありましたか?
はなももさん:やりがいでもあり、苦労でもあったところは、最後の15ページにある、動物たちとの出会いを書いたところでしょうか。今これだけの動物と生活していますが、実は、この生活を始めた10年前は、夫とは「動物は飼わない」という約束をしていたんです。なぜそう決めて、そして、それがどうしてこういうことになったのか、その経緯を書くことになったんですが、なにせ、これだけの動物の数、エピソードはとてもこのスペースにおさまりきれないほどあります。どこを削って、どこを残したら、この限られたページの中で、少なくとも今の生活にいたるまでの様子が伝わるのか、それを考えるのがやりがいでもあり、大変なところでもありました。
ことに、ガゼルについては、書きたいこと、載せたい写真がたくさんありました。一般的な動物ではないので、身近な動物、例えばイヌやネコのように、コミュニケーションとれるのかとか、顔の区別がつくのかとか、おそらく、そういうことを思われる方が多いと思うんです。私たち夫婦も、ガゼルたちと暮らし始めた時は、ガゼルとはナンゾやということを、ほとんど知りませんでした。砂漠を一緒に散歩したり、出産や育児をそばで見てきたり、介護をしたり、別れを経験したり、そういう中で、そのつど驚いたり、感動したり、学んだりしながら、ガゼルのことを知っていきました。
顔も性格もそれぞれ違いますし、時間をかけて信頼関係を築いていけばコミュニケーションもとれます。それができた時の喜びはもうたまりません。限られたスペースでは、その経験をすべて書くということはできませんでしたが、ブログを読んでいない方や、本を見て初めてわが家のことを知ってくださった方も、「ガゼルってこんな顔をするんだ」とか、「このガゼルたちはどんな生活をしているんだろう」と興味を持ってくださるような、そういうものにできたらいいなと、そこがいちばん時間かけた、苦しくもやりがいのあったところでした。
実際本作りに入ったのは今年の春頃からですが、「本を作りませんか」とお話をいただいたのは、去年の春先。そこから約1年半後に本ができました。動物がたくさんいるため、日本に簡単に帰国というわけにいかず、すべてメールで打ち合わせ、細かいニュアンスなど、数えきれない程やりとりをしました。
一番不安だったのは、印刷の色具合です。実際目にして確認することはできないので、私のブログをずっと見てきてくださっていた、編集プロダクションの方に一任しました。以前お土産で、砂漠の砂をお渡ししてあったんですが、印刷の色具合を決める際、それを参考にしてくださったそうで、本に載っている砂漠の色は、私が毎日見ている砂漠の色、そのものになっています。
――いちばん“自分らしさ”を出すために、こだわった点は?
はなももさん:巻末の動物家族との出会い以外には、写真それぞれに少しずつ言葉が入っています。どんな本を作るのか、という方向性を決めるとき、編集プロダクションの方や、出版社の編集者の方から「読んで癒されるものを」というお話がありました。…ですが、私自身癒し系(?)のタイプでないせいもあって、ブログも、「癒し」と聞いて私がイメージする、フンワリ感というのは皆無ですし、こんな生活なので、ブログでは動物の話は多いんですが、これを読んで癒されて欲しいとか、動物たちのかわいいところ見てくださいという思いはないに等しく、ただただ、動物たちと向き合ってきた日常を写真に撮って書きつづってきたので、「癒されるものを」ということがよくわかりませんでした。
でも、「癒す」という素質がもともとないのだから、いろいろ考えても仕方ないと思い(笑)、写真を撮ったその瞬間や、日常感じていることをそのまま書くことにしました。
ですが、結局、たくさんの方から「本を読んで癒されました」という感想をいだたく結果になりました。自分たちは、誰かを癒そうとか、誰かを笑わせようとか、そんなこと、これっぽっちも思っていなくて、ただひたすらまっすぐに自分に正直に生きているのに、その姿が誰かの心に響くのだから、自然や動物の持つ力ってすごいなぁとつくづく思います。
もうひとつ、本を作る上のこだわりとはちょっと違ってきますが、ふだん動物たちの写真は、それぞれの「らしさ」が出ている時に撮っています。「ガゼル」のはなく、「サーメル(ガゼルの名前)」の写真を、「ハト」ではなくて、「クブズ(ハトの名前)」の写真を撮っているつもりです。写真を見た方が、それを感じてくださるものになっているといいなと思っています。
――改めて、はなももさんにとって、毎日の暮らしの中で大切にしたいこと、砂漠暮らしの中での楽しみは?
はなももさん:砂漠って、砂ばっかりで他に何もないように思えますが、実はそんなことはなくて、意外に思われるかもしれませんが、たくましく生きている命がいっぱい存在します(bl2)。よく五感を働かせれば、季節の変化があることも、生活していて気がつきました。ここに住んで10年、毎日目にしている砂漠ですが、今でも新しい出会いがあります。
本の中にも書いてありますが、動物たちのおかげで、ほぼ毎日砂漠を散歩していまして、満月の日は、沈んでいく月を西の地平線近くに、昇ってくる太陽を東の地平線近くに、同時に見ることができるということ(関連記事:昨日の散歩。)や、朝露の小さな水滴が砂漠の命を支えているということ(関連記事:これまでで一番美しかった。)、季節によって砂漠に残る虫や動物の足跡(関連記事:砂漠の生き物)が違っているということなど、新しい発見が尽きることはありません。夫は幼い頃は砂漠の中で生活していたので、砂漠の楽しみ方をたくさん知っていることもあって、「この風景や砂漠での生活に飽きたなぁ」と思ったことは一度もありません。
ただ、やや矛盾するようなことを言うようですが、この生活も10年続くと、「アラブ人と結婚して、アラブの砂漠で、人間よりも動物との会話の方が多い毎日を送っている」という、なんだかちょっと変わっているように思える生活も、わたしにとっては、これがすっかり日常になってしまっています。ここに住み始めた頃に撮った写真を見ると、なんでこんなの撮ったんだろう、と思うような、なんてことのない、砂丘のてっぺんの砂が崩れているところの写真があったりして、以前はこんな些細なことひとつひとつに、感心を持って、感動していていたんだなと思います。
この先何年経っても、砂漠での生活も、動物たちとの時間も、そういうアンテナが錆びないようにしていきたいなと思っています。
――ブログを続けていて、改めて楽しみが増えた点や良かったなと思うこと。広がった出会いなどは?
はなももさん:今回、本を出すにあたって、ちょっと心配なことがありました。というのは、ブログを長いこと読んで、いつも温かい目でわが家のことを見守ってくださってくれている皆さんが、はたして楽しんでもらえるようなものになったかどうか?ということが気がかりでした。
ブログのようにたくさんの写真を載せることはできないし、動物たちとの出会いを書いたページも、限られたスペースでしたから、物足りないと思われるのではないかと。そういう感想ももちろんいただきましたが、それも含め、いただく感想はどれもわが家のことを、ブログを通して身近に感じで見てくださっているんだなと思う、温かいものばかりで、とてもうれしかったです。
更新にムラはありますが、2007年からずっとエキサイトブログさんを使わせていただいていまして、たくさんの「縁」を繋いでいただいています。
コメントをくださる方とのやりとりの中で、励ましていただいたり、助けていただいたり、教えていただいたりすることもたくさんありますし、同じくエキサイトブログさん繋がりで友人になり、海を超えてわが家まで遊びにきてくれた人もいます。
その中の、動物彫刻家のはしもとみおさんとは、本当に小さな偶然の重なりで、ブログを通して出会いまして、わが家の動物たちの彫刻をお願いすることになりました。はしもとみおさんにとって、初めての海外だったそうですが、わが家まで足を運んでくれ、1ヶ月滞在し、動物たちの取材をしてくれました。その後日本で、わが家の動物の彫刻を作りあげ、今全国あちこちで展示会をしています。なかなか日本に帰ることができなかったのですが、今年2月に、愛知県にある美術館で大きな個展があり、私もそれに合わせて帰国して、ついに彫刻たちに対面できました。
展示会に行った方たちから、「すばらしい」という感想はたくさん聞いて、写真も見せてもらっていたんですが、自分の目で見て触れることができた時は、本当に胸がいっぱいになりました。ネコたちの小さい彫刻はいくつかこちらに持ち帰り、折あるごとに遊んでいます(笑)。
東北の震災の際も、ブログを通して知り合った方が縁をつないでくださって、はしもとみおさんを中心にアーティストの方が集まって、わが家の動物たちの彫刻などを持って、仙台の小学校でイベントを開くということができました(関連記事:我が家の動物家族が仙台におじゃましました。)。
今年11月29日、30日には、大阪で開かれる「ボダイジュエキスポ」という、大きなアートイベントがありまして、今年のコンセプトは、「コラボ」ということで、はしもとみおさんが声をかけてくれ、一緒に参加することになりました。私はわが家の動物たちの写真を展示、はしもとみおさんは、動物たちの彫刻の展示をします。
私たちの縁をつないでくださった、エキサイトブログさんにもコラボの参加を依頼させていただいたところ、快く承諾していただきました。「ボダイジュエキスポ」では、今回出版させていただいた本も販売することになっています。ご希望があれば、サインらしきものも書かせていただく予定でいます(笑)。お時間が許せば、足を運んで楽しんでいただければと思います。
――最後に、あらためて読者のみなさんにメッセージをお願いします。
はなももさん:全95ページ、約15センチ四方の小さな写真エッセイ本ですが、先にも書きましたように、思いはギュッと詰まっています。私は、特に希望したわけではなく、いつのまにかこんな生活をするようになったんですが、砂漠という環境にも、動物たちとの生活からも、「生きるって、とても深く複雑のようで、実はシンプルで、それでいて、とてつもなくすごいことなんだ」ということを日々教えられています。写真の中からそんなものを感じてくださったらうれしいです。
でも、そんなややこしいことは抜きに、ガゼルやラクダやハトってこんな顔をするのかとか、イヌたちの視線に合わせて見えてくる砂漠ってこんななんだとか、ネコたち自由気ままだなぁとか、ウサギがネコに恋した様子とか、そんなことを、見るままに楽しんでいただければ幸いです。また、ネコとウサギ、イヌとウマ、ウマとハト、ウマとラクダ、ネコとガゼル、ネコとハト、などなど、わが家では異種の動物たちが一緒の空間で過ごすことがよくあり、そんな様子も載っていますので、それも楽しんでいただきながら、アラブの砂漠で、こんな生活している動物たちがいることに、思いを馳せていただけたらと思います。
ブログに時々、動物家族のイラストを載せていまして、今回の本には、テイストが違うということで、使われなかったのですが、デザイナーさんがこの絵を本のどこかに入れてくれました。どこに隠れているのか、探してみて下さい(笑)。
エキサイトブログ編集部:ありがとうございました。
私もさっそく手に取って、拝読させていただきましたが、はなももさんのブログをそのまま凝縮した、とてもすてきなフォトエッセイの誕生に思わず、うるっうるっと感動してしまいました!
いつもブログで見慣れているはなももさん宅の、「サーメル」をはじめとする、やさしい瞳としなやかな体が美しいガゼル一家や、いつものほほんとした笑顔のラクダ、強気でかわいいハトの「クブズ」や猫の「ちょびちょび」「あびあび」ちゃん…などなど。思わず心がほっこりする、それぞれ個性ゆたかなメンバーが総登場で、思わずうれしくなってしまいました。
どこまでも地平線が続く砂漠らしい凛とした広大な写真を背景に、砂漠を一緒にのんびりと散歩したり、何気ない日常の中でくったくなく暮らす動物たちの、なんともいえないやさしい表情、のほほんとした表情を見ていたら、ゆったりとした時間の流れが感じられて、とても心が癒されました。
「気ままに生活したいし、動物を飼うのはやめよう」とおふたりで約束したのが、気づけば11種類約200匹の動物たちに囲まれていた…というはなももさんですが、いまではとても心が豊かで幸せな毎日を送っているのが伝わってきます。
地球にはこういうすてきな家族もいるんだな、とたくさんの読者に改めて知っていただく機会になるかなと思いますので、エキサイトブログ編集部としても、とてもうれしく思います。
みなさんもきっと動物たちの穏やかな表情と砂漠の景色に癒されると思いますので、手に取ってぜひご覧になってみてくださいね!!
また、エキサイトブログがおふたりの縁をつないだという、動物彫刻家のはしもとみおさんと、はなももさんとのすてきなコラボイベント、「ボダイジュエキスポ」が11月29日と30日の2日間に開催されるそうですね!
はなももさんのお宅の動物たちを彫ったかわいくてリアルな動物たちと、お互いのブログ記事の展示などとともに本の販売もあるそうですよ。
そちらのイベントにつきましても近くになったら、編集部ブログでもお知らせしますので、ぜひお楽しみに!!
★はなももさんのブログ「はなももの別館」も読んでみましょう!
★はなももさんの著書はこちら↓