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カテゴリ:プロダクト・パッケージ( 211 )
LE KLINTの新商品 CALEO
ライター渡部のほうです。

北欧のリビング商品を中心に扱う輸入総代理店スキャンデックスの展示会で気になった照明器具がこちら。LE KLINT(レ・クリント) のCALEO(カレオ)。日本では9月の発売予定だ。
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この商品の開発経緯は少し変わっている。2019年春にLE KLINTの本国デンマークで放映されたデザインチャレンジ番組『デンマークの次なる名作』(“Danmarks næste klassiker”)で、プロダクトデザイナーリッケ・フロストが作った作品が番組で2位となり、番組で作ったデザインをアレンジした2作品を加え、CALEOシリーズとして秋には商品化された。通常製品開発には10年くらい平気で掛ける北欧にしては珍しいほどのスピードだ。

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受賞した作品とデザイナーのリッケ・フロスト。こちらの形も商品化されているが日本では発売未定。

まるで竹細工でできた日本の照明のように見えるカレオは、弱めの光にするとしっとりと落ち着いたたたずまいに、光を強めにすれば線とのコントラストで強いイメージにも変わる。
細かい線は日本の照明器具同様、細い竹材木材で出来ているのかと思いきや、近寄って見るとブロンズ色のインクで描かれたもの。

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LE KLINTといえば、白い紙やプラスチックシートを折った商品群が有名。造形の楽しさもあるが、光のコントラストはその複雑な折りや切り込みによる陰影のみで印象作られている。
CALEOのように線を入れたものと比較すると、その陰影のコントラストはよりシャープに見える。
頭の中だけで考えると、シェードに線が入ったほうがシャープになりそうな気がするが、金属色の線自体がまろやかに外からの光を反射・吸収し、コントラストを中和させる役割を担っている。
かつ、その線自体が物として竹や木を使っているわけではないので、物質的な圧迫感がない。不思議な感覚ではある。線の存在1つでこんなに印象が変わるものかと驚いたのだった。

by dezagen | 2020-07-03 12:36 | プロダクト・パッケージ
タバスコの瓶の写真はなぜ傾いているのか
 「私の日常の周りにあるデザインで、不思議に思っていることは、「タバスコの箱のタバスコの写真、微妙にナナメなの何?」です」

 と、言ったのは私ではなく、大学の渡部千春ゼミの学生I。そうだったっけ?と日本と米国のamazonで検索してみると確かに傾いでいる。学生Iがわざわざ絵にしてくれて説明。

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 4度右。確かに微妙な感じの傾き。
 米国マキルヘニー社のお問い合わせに聞いてみたら、割にあっけなく答えが返ってきた。

「当社の社史研究担当にこの傾きについて聞いてみました。はっきりとした理由は分からないのですが、1950年代にパッケージ上、ボトルの横にコピーが入った時にボトルが傾いたものに変化しました」

とのこと。会社に社史研究担当(company historian)がいるのもすごいけれど、その人も分からない、というのも謎が深まる。とはいえ、説明からするに

「Hey 箱にオリジナルっていれたらどうかと思うんだけどさ?」
「Hmmmm ボトルの写真に邪魔じゃない?」
「Ah! 傾ければ?」
「Oh いいねー」
くらいのノリで傾いてしまったような感じだ。時代は陽気なアメリカ50年代。
 ありうる。

 ちなみに私の家の近くのスーパーで売っていたのは「傾いていないタバスコの写真のタバスコの箱」だった。これもまた謎なり。

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by dezagen | 2020-06-20 18:29 | プロダクト・パッケージ
文具の新潮流 の続き
 先のブログ https://dezagen.exblog.jp/30108128/ で、今後の展開として、大手メーカーが流行を反映させることに掛かっている、で〆てしまったのだが、実際この文具のファッション化、細分化にはまだまだ可能性が見える。

 トンボ鉛筆のスモーキーカラーラインやKOKUYO MEが出てきた事は、社会的に許容された新しい消費の動きと捉える事ができる。
 トンボ鉛筆やコクヨのような大手メーカーの社内デザイナーや商品開発はより一層の努力も求められるわけだが、一方で小さなメーカー、それこそ個人で作っている人達にもチャンスが巡ってきていると考える事ができる。

 例えば印刷加工業。前記事で書かなかったが、KOKUYO MEではノートの背クロスに金属色を持って来たり、表紙に疑似エンボスを使うなど、印刷加工にもかなり凝っている。
 もしそこに魅力を覚える層がいるならば、印刷加工業の人々が独自にブランドを立ち上げたり、個人から小さい加工業者に依頼をすることもより増えていくだろう。

 印刷加工業では紙製品は作れても木、金属、プラスチックといった複合素材に応用しにくいが、そこも、プラスチック加工業の人々が門戸を開いていけば外部委託は可能だ。今までこうした異業種間の繋がりが弱かったが、昨今は一般にも門戸を開いている加工業が随分増えている。
 あるいは、こだわる部分だけは自社で揃え、アッセンブリーは海外に委託する方法もある。(現在はコロナ禍で流通が少し滞っているものの)Alibaba、Aliexpressを探していくと少量でも受け付けているところが多い。

 販売網もSTORESなど個人で販売する方法、Creemaやminneなどのマーケットプレイスがある。
 オンライン上での買い物が普通になった今、消費者は個人製作でも大手メーカーでもさほどこだわらなくなっている。

 もうやってるよ、と言われればそれまでなのだが、とはいえ、前記事で
「これらはあくまで雑貨であって、(中略)恒常的な購入や品質の安定が求められるものとしては少し物足りなかったように思える。」
と書いたように、文具では「品質」「安定性」が求められる。個性の強い文具のジャンルに大手メーカーが参入してきたことで、同列に扱われる。その品質と安定性に敵うようなケアできるかどうかがビジネス成功の分かれ目になるのではないだろうか。

 個人も小さい会社でも可能性のある社会というのは、大量生産や大量消費、大量流通が本格化した1960〜70年代以前の日本、高度成長期の日本の状況に近いのかもしれない。
 実際の町中の商店街はシャッター街になってしまったところも多いが、オンライン上では小さな商店に賑わいが戻ってきている。

by dezagen | 2020-06-20 11:16 | プロダクト・パッケージ
大人は一種類じゃない。 文具の新潮流
・新しい大人向け文具シリーズの登場
 一般的な文具、いわゆる事務用品に新しい変化が起こっている。
 これまで文具店で売られている商品のバリエーション化には、中高生向け/子供向けを意識したものが大きく目に付き、成人向けはロングセラー商品を中心とする一般事務用がほとんどだった。
 ところが、昨今コクヨが10月に出した「KOKUYO ME」、トンボ鉛筆が6月に出した「スモーキーカラーライン」などは、成人層がターゲットになっている。 
 また、ペンなどは昔から持つ人の個性の表れる場所としてバリエーションが多かったが、個性を強く出した高級なペンと普及品の間の中間の価格帯で、よりマテリアルやカラーのバリエーションが増えている。

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 トンボ鉛筆の「スモーキーカラーライン」。モノブランド、ピットブランの色違い。その名の通り少しくすんだグレー調のカラーで統一。 www.tombow.com

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 KOKUYO ME。ノート、大型付箋、ペン、ファイルなど16品目に、男女差のないユニセックスカラー「TOFU WHITE」「GRAYISH BLACK」「SMOKY SKY」「GOLDEN GREEN」「SHELL PINK」「CHIC PLUM」のくすみのある色から強い色合いまで6種の色展開。疑似エンボスやカッパー(銅色)をアクセントに、普及品とは違う質感を見せている。www.kokuyo-st.co.jp/stationery/me/


 これまでこうしたファッション性のある文具がなかったわけではない。家具や雑貨も扱うライフスタイルショップなどで、外国製や外国製風な色調の文具などは頻繁に目にする。ただ、値段が高かったり限定的なショップでのみ購入可能できるもので、コクヨやトンボ鉛筆といった国内大手メーカーの製品とは違う、という認識ではあった。
 これらはあくまで雑貨であって、オフィス文具、つまり真面目さの求められるものとしてはやや過剰な主張に見えたり、恒常的な購入や品質の安定が求められるものとしては少し物足りなかったように思える。

 そんな中、大手メーカーがファッション性のある大人向けの文具シリーズに乗り出したというのは興味深い。実際、そうそう簡単な事ではない。KOKUYO ME、スモーキーカラーライン共、消しゴムや糊、ペンというように紙やプラスチックの異素材でのカラーバリエーションとなる。大手の場合、素材が異なれば作る工場も異なるため、微妙なニュアンスの色合いを揃えるには、幾度となく試作や色合わせを行う必要がある。それ以前にすでにある工場のラインに変化を加えたり、新しいかつ少量でも対応できるような印刷や成型の機械(の導入)が求められる。
 そのハードルを越えても新しいブランドを出した背景にはどんな理由があるのだろうか。

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・大人が変わった?

 スモーキーカラーラインでは「女性や女子学生」と大人を視野に入れた層を対象、KOKUYO MEではさらに細かくミレニアル世代(1981〜1996年生)、ゼニアル世代(1977〜1985年生まれ)を対象としている。
 ミレニアル・ゼニアル世代は年齢にして20代半ばから40代半ば、と20年の幅があるがこれほど大きな幅に共通点はあるのだろうか。KOKUYO MEを出しているコクヨに話を聞いた。

「KOKUYO MEは多彩な商品カテゴリーをまたいで、様々な色使いや素材、加工を施した商品を「選び」「組み合わせ」て楽しんでいただくことにこだわっています。世代の幅があっても「自分らしさを求める」という点では共通した部分もあると感じています」

 学生を終えて社会人になっても、社会人になって20年を超えても、自分らしさを求める新しい大人はいる、という考え方は多くの人の共感を呼ぶ事だろう。加えて、職場環境の変化もある、とコクヨは言う。

「クールビズの浸透や、オフィス空間自体のカジュアル化の傾向もあり、服装や持ち物についてもカジュアル化が進んでいると思います。リーマンショック以降、文具は企業による共同購入から個人購入への移行が進み、個人の好みがより反映されやすくなったと考えています」

 そう言われてみれば、企業の中でもお堅そうな銀行に行くと、窓口の人の使っている文具が、昔は同じだったのが、最近はペンや計算機など明らかに自分のものだと分かるものを使っていると気付く。
 個人購入での文具であれば、確かに買い手の個性が出て来る。それを許容する職場環境の変化が背景にあるというわけだ。
 服装も制服やスーツだったものが、徐々に自由さを増しているように、服装に合わせたカバンなどの持ち物、さらにはその中に入っている文具も個性を出す時代へと入ってきている。

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・さらに今後は?

 気になるのは今後の展開だ。期せずしてコロナ禍による在宅ワークは個人購入をさらに促す事になった。当たり前だが、在宅であれば職場共通を使用する理由はない。より在宅ワークが普及すると思われる今後の日本の仕事環境では、仕事に使う文具もより個別化の道に進んでいく事だろう。
 さらにこのミレニアル・ゼニアル世代も年齢を経て行った際、それに続いて新社会人になっていく層は個別化が普通になっているだろう。また、この世代よりも上の世代も感化され自分に合ったものを求めるようになるのではないだろうか。

 大手企業の細かいバリエーション化は、既存のロングセラー商品を作り続けるよりも難しい。とはいえ、一度消費者のニーズに応えたバリエーション化や選ぶ楽しさが与えられた場合、消費者はその選ぶ楽しさが失われると物足りなさを感じてしまう。これに応えるメーカー側の体力と、細分化した少量生産でも可能な機械の開発が求められる。
 これは私の推測だが、後者の機械の開発はさほど難しい事ではないように思える。恐らく今後焦点となってくるのは、ファッション業界のように敏感にトレンド情報を収集、商品に反映させるメーカーの在り方だろう。

by dezagen | 2020-06-19 19:14 | プロダクト・パッケージ
藤森泰司アトリエのWork From Home
 
・自分のスペースを作る

 新型コロナウイルスに関わる緊急事態宣言が4月7日に出てから、あるいはその前の自粛空気感から、リモートワーク(在宅勤務)という仕事の在り方が急激に広がった。

 私自身も周囲も基本的に自宅兼事務所のフリーランスが多いため、自宅勤務には無理がない。一方でお勤めの友人知人もおり、在宅勤務の難しさを訴える声も多く聞く。

 後者で言われる難しさとは、自宅で仕事する事に慣れていない、そういう環境がないというものがほとんどだ。大きな理由として、家庭生活という私的な場所に仕事という公の気持ちを持ち込むのが難しい心理的な問題と、実際に仕事場がない物理的な問題がある。
 通常、会社で仕事をしている人の場合、家で仕事をする場所を設けている人は少ない。家庭のダイニングルームなどでは気持ちが緩む、あるいは家族とのコミュニケーションで、小さい子供は親が仕事をしていると認識してくれないなど、他にもリモートワークの難しさの背景には様々な環境のハードルがある。

・ハードルに対する回答

 このハードルに対して1つの答えを出そうとしているのが藤森泰司アトリエの行うプロジェクト家具シリーズ「Work From Home」である。簡単に言えば、在宅ワーク用の簡易家具シリーズだ。

 机というのは不思議なもので、例えばダイニングテーブルを見ただけで人々の気持ちも食事だったり読書だったりその時々の自由な使い方を想起させるし、仕事机であれば「ここでは仕事をする」と気持ちや行動までが変化する。
 極端には板一枚の違いなのだが「専用」を作る事で環境を作り、それを見る気持ちすら変えてしまうというのは面白い事である。「Work From Home」はこうした専用環境を、極力簡単に作ろうというプロジェクトである。

 現在、作られているのは以下の4つのタイプ。写真はFD1のモデル。現在もブラッシュアップを重ねている。

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FD1 ( Foldable Desk ) 1人用。54,000円 (以下税別)
FD2 ( Foldable Desk ) 対面式2人用。56,000円
BD ( Booth Desk ) 囲い付き1人用。65,000円
WB ( Writing Bureau ) 1人用ライティングビューロー。 86,000円

 すべて家庭でも使え、かつ不使用時があることも考え、折り畳みコンパクトに収納、使用できる。最低限の十分な機能を確保させているところにもこの家具の魅力を感じる。
 販売方法もコンパクトに、オンライン上で注文を取り、それぞれ10台に達したら発注する、というもの。生産までに時間の掛かる量産タイプではなく、よりフレキシブルに対応できる受注生産の態勢を取っている。
 今後は在宅ワークだけでない生活周りの家具へも広げて行く予定だ。

 少量生産、受注生産の家具を買おうという場合、その製品のクオリティを担保するものが必要だが、このプロジェクトメンバーを見ればクオリティは間違いない。
 デザイン、販売を直に行うのは藤森泰司アトリエ。家具の製作はこれまでも多く藤森泰司氏の少量生産家具を手掛けてきたイノウエインダストリィズ。ロゴデザインは山野英之率いるTAKAIYAMA.inc と、それぞれ「依頼をしたら間違いが絶対ない」人々。(私から見ると)スター揃いのプロジェクトだ。

 このプロジェクトから見えてくるのは単に良い家具ができた、ということだけではない。
 デザイナーの仕事の1つは、問題を解消すること。ハードル=問題が出てきたら、それをいかに解消するか、つい考えてしまうのは職業的な習慣だろう。それを考えているだけでなく、行動として外に出すか出さないかでデザイナーの力量が問われる。
 またオンデマンド家具制作、販売への挑戦でもある。
 このプロジェクトがどのように動いていくのか、それ自体も見所ではないだろうか。

 Work From Homeの詳細はこちらのウェブサイトページでご確認を。


by dezagen | 2020-05-30 10:51 | プロダクト・パッケージ
imperfect エシカル消費のパッケージ その5

その4からの続き)

・エシカルデザイン、エシカル消費の今後について

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 改めて imperfect というブランドの立ち位置について考えて見たい。
 恐らく来店者の多くは、そこがエシカルであるから、というよりも、お洒落な店だから入る。入って初めて、そこにあるブランドコンセプトを理解する。

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 エシカル消費は良いことだと言われても、皆が皆すぐにできるものでもない。もちろん消費者はエシカル消費が正しい、行くべき方向だと分かっている。だが、消費とはただそれだけのものではない。消費には娯楽や贅沢の側面がある。様々な選択肢を見、選び、商品を身につけ、使用し、飾り、食べたり飲んだりしながら、その美しさや経験を楽しむ。
 長い間、エシカルである事、それを消費する事は、その倫理性に則って自分はいいことをしているという消費者の自己満足や、同じ意識を持つ人々との仲間意識を中心とし、消費の悦楽性娯楽性を放棄していたと言っていい。商品に民俗文化にありがちなどんくささを強調したり、あえて哀れみを請うような物もあった。倫理的充足と娯楽性は同時に存在しがたいものだった。

 だが、時代は巡り、変わる。エシカル消費の中にも純粋に消費の楽しみを促すような商品が増えて来ている。先に木住野が例を出したマストブラザーズなどのチョコレートブランドや、米国を中心にカナダとイギリスで展開するエシカルなスーパーマーケットチェーンの Whole Foods Market や、米国で展開する Trader Joe's など。その顧客は、エシカルだから行く客層も多い一方で、他の一般的なスーパーマーケットよりも魅力的な商品があるから行く客層も多い。むしろ今は後者のほうが多いだろう。
 エシカル消費を促すのに大きく貢献しているのはパッケージデザインや店舗設計の良さだ。理屈で買うのではなく直感的に欲しいと思わせる、そんな商品や店舗が今後も増えて行く事は間違いない。imperfect はこうした動きを牽引する役割を担っている。

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(写真 撮影 藤本伸吾)

by dezagen | 2019-11-18 12:53 | プロダクト・パッケージ
imperfect エシカル消費のパッケージ その4
その3からの続き)

 とはいえ、当初から包装紙を目指していたのではなく、偶然の産物、と木住野は説明する。

「実はパッケージを定形で作るだけの準備期間 がなかった、というのが背景にあるんです。だったらお店で包むしかない。だから包装紙だけ作っておいて、店舗で店員が包むというパッケージに変えませんか?という提案をして受け入れてもらいました。
ブランドのメッセージ性が強いので、パッケージの中に言いたい事も沢山あるけれど、物によって産地も農園も違って、それぞれが異なる特色や試みがあるし、ブランドの支援アプローチもその農園によって様々になるわけですから、すべては言い切れないわけです。メッセージが前面に出て来ると押しつけに思うお客さんもいる。なので、ブランドのメッセージはかなり簡単にまとめて、包装紙を開いたら見る人は見るというものにしたらいいんじゃないか、という提案なんです。
そう考えると、もともと包装紙には天地がない。だから縦横上下が一緒になってるとか、折り方によって隙間、空間の取り方にゆとりができる。
日本語と欧文と平等で入っているのも、これまでのコーヒーやチョコレートなどのパッケージとは少し違う印象を受けると思います。いわゆるかっこよさそうなパッケージの欧文ってあるじゃないですか。でも、もうそういう時代じゃないから、パッケージもバイリンガルに日本語と欧文をどちらも入れたわけです
条件がそれしかなかった結果のデザインではあるんだけど、最初から見る人がなんとなく気になるような違和感を出したかったので、うまく収まった形になりました」

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 重く複雑なコンセプトに対してシンプルなグラフィック、シャープなインテリアの中の柔らかな色合いと紙の素材感など、相反する要素を持ち込みつつも全体がまとまる、最初にある要素から思いもよらない異なる要素を持ち込み、異なる要素同士をうまく融けこませる、木住野はこうしたデザイン手法に長けている。

「どんな仕事でもいつもバランスを取りますね。固い時は柔らかく、簡単な時は難しくとか。その合わせ方を意識して、バランスを取って良い緊張感が出るように考えています。
自分のデザインをずっと主張するより、クライアントから出て来る条件や反応など、デザインの束縛を真に受けるほうが面白くなることが多いんですよね。クライアントがダメだと思っているところに対して、そもそもなんでこれがダメなんだっけ?というところから考えて、自分なりの尺度で返していくという感じです」

 周囲環境の中でバランスを見ながらデザインを作っていくのは、6D が得意とする建築の中のサイン計画分野にも通じる事だろう。
 すである状況に対して、その根っこの部分から考え直す。特にサイン計画は可視性や建築の決まりなどかなり束縛が多いため、常套手段に落ち着きがちではある。木住野は、その束縛がなぜあるのかから考え直し、これまでとは少し違う要素でも可能だと発見する。それがうまく結び付いていく。こうした手法は頭の中に多くのストックがあることはもちろん、それを自由に取り出せる柔軟さが必要だ。


(写真 藤本伸吾)
その5に続く) 


by dezagen | 2019-11-18 11:55 | プロダクト・パッケージ
imperfect エシカル消費のパッケージ その3
その2からの続き)

 このように、6D が手掛けたパッケージは単に素敵なデザインを目指したのではなく、かなり重いかつ複雑なブランドコンセプトの背景を持ちながら生まれてきたものだ。
 概してエシカルな商品にはコンセプトが前面に出たパッケージが使われる事が多いが、imperfect のパッケージはそうした手法を避けている。

「フェアトレード的な取組はもちろん重要なんだけれども、買う人が押しつけがましく感じるとしたら効果的ではないですよね。例えばチョコレートの場合、海外だとマストブラザーズとか Land Chocolate、Raaka、Cox & Coとか、色々ありますけど、純粋においしいチョコレートらしくしたほうがいいんじゃないかと提案したんです」と木住野は言う。

 加えて、このパッケージが店内に並ぶ風景の一部になることも考慮した。

「気持ちのいいパステルカラーというところから始まりましたね。お店の内装が銅を使ってメタルっぽい茶色を基調にしていて、その中で並びのいい色を考えたんです。
内装はシャープな感じなので、その中でパッケージは紙の素材感を出して、色もやさしいものにしたわけです。チョコレートとナッツのパッケージの上は絞って留めてあるのですが、そのくしゃっとした感じは紙の素材感が伝わると思います」

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・包装紙という選択

 パッケージの文字が上下逆になっていたり、文章が途中で折れていたりするのはなぜなのだろうか。

「大きく分けてチョコレート、グレーズドナッツ、チョコレートボール、コーヒー、と4種類のパッケージがあるのですが、それぞれに決まった袋があるわけではなくて、1枚の包装紙から出来ているんです」

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 パッケージを開けてみるとそれぞれ折り方を変えた1枚の紙であることが分かる。中はチョコレートとチョコレートボールはボール紙で出来た箱、グレーズドナッツとコーヒーはスタンディングパウチの袋、になっており、シンボルマークが箱に印刷、袋にシール貼りされただけの簡素なもの。店内のスタッフが糊を付けて貼ったり、折ったりしながら包装しているのだという。
 言われてよくよく見てみると、店内にある包装されたパッケージはちょっとずつ絞り方やテープの付け方が違っていたりする。工場で均一にびしっと作られたパッケージよりも、こうした少しの手作り感は「不完全」を意味するブランドネームimperfectとも符合する。

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写真 撮影 藤本伸吾
その4に続く)

by dezagen | 2019-11-18 11:53 | プロダクト・パッケージ
imperfect エシカル消費のパッケージ その2
その1から続き)(以下、敬称略)

・エシカル消費 エシカルデザイン

 ethical=倫理的(に正しい)を意味する「エシカル」というカタカナの日本語がここ数年急激に広まっている。特に「エシカル消費」という言い方は、2015年に行われ消費者庁による『倫理的消費(エシカル消費)』調査研究会の枠組み作りの発表から広く使われるようになった。
 エシカル消費とは、消費者庁の説明から引用すると「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」である。
 むろんそれ以前からナチュラルで、オーガニックで、フェアトレードで、エコで、と様々な名前でエシカルな商品を扱うブランドや店は多くあり、ことアメリカ、ヨーロッパ都市部では、こうした商品が一般的なスーパーマーケットに並んでいるのは珍しいことではなくなってしまった。アメリカ、ヨーロッパ都市部ほどではないにせよ、日本もエシカル消費に意識を向ける動きは急速に進んでいる。
 現在、表参道ヒルズに出店しているimperfectもこうしたブランドの一つである。

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・魅力のあるブランドに

 imperfect が扱うのはナッツ、チョコレート、コーヒーを中心とした食品だ。
 現在、これら食材の原産地では劣悪な労働環境、生態系破壊など、多くの問題を抱えている。 imperfect ではこうした問題に対して意識を持った原産者から買い付けを行っている。
 また、収益の一部は
1)カカオ原産国の森林を守るための苗を植える、
2)農園で働く人々の貧困問題を解消するため支援を行う、
3)コーヒー生産地での男女不平等を解消するため、ブラジルで女性が中心となって作られたコーヒー農園「カフェ・デラス」で教育を行う、
という3つのプロジェクトをサポートする。

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 imperfect はエシカルフードという言葉を使わず、「Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう」をスローガンに、 販売品をwell (よい)フードと呼んいる。
 wellフードの 「well 」は 生産者、倫理的に「よい」素材を使うことが主旨だが、表参道の店舗を見てみると、素材だけではなく、見た目にも「well」なものを目指していると感じる。

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 店舗設計は加藤匡毅と加藤奈香による 建築事務所 Puddle  http://puddle.co.jp  が手掛けた。木材と茶系の金属を中心とした内装は、フェアトレード系のブランドにありがちな手作り感や生産地の民俗感を廃し、表参道という美意識の高い場所に合った、シャープなイメージになっている。
 商品は計り売りを基本とし、商品そのものを見ることができる。ナッツや フルーツのちょっと変わった組み合わせのチョコレートなど、見ているだけでも好奇心をそそる美しさだ。
 6D の手掛けた、すでに包装されたパッケージは棚に並び、インテリアの一部ともなっている。

(写真 上2枚 撮影 藤本伸吾/ 下 撮影 長谷川健太)
その3に続く)

by dezagen | 2019-11-18 11:52 | プロダクト・パッケージ
imperfect エシカル消費のパッケージ その1
ライター渡部のほうです。

 ある日 twitter で見た imperfect https://imperfect-dowell.com というブランドのパッケージが気になり、しばらく頭から離れなかった。twitter の投稿者は6D https://www.6d-k.com の木住野彰悟さん。

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 木住野さんが手掛けた事を知らなければ、どこか外国のデザイナー(例えば日本のデザイン好きのスウェーデン人とか)が作ったのだろうかとも思わせる、日本ではあまり見ない、なんとも説明しがたい魅力を感じた。
 空白の多い、淡い地色の紙に、日英併記。日本語は縦組、欧文は横組。だが、よく見るとパッケージ正面の角で文章が折れていたり、文字が上下ひっくり返っていたり。ぱっと見の印象は「すっきりとしたシンプルなデザイン」なのだが、それだけではない。

 なぜこのようなパッケージになったのか、木住野さんにお話を聞いたのだが、パッケージデザインの前に imperfect というブランド、その背景について知っておく必要があるだろう。

(写真 撮影 藤本伸吾)
その2へ)


by dezagen | 2019-11-18 11:51 | プロダクト・パッケージ