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世界のブックデザイン 2019-20
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編集宮後です。今年も印刷博物館で「世界のブックデザイン」展を見てきました。
ここ10年ほど定点観測しているので、過去の受賞作はこちらをご覧ください。

2019年

2018年

2017年

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年


今年は「世界で最も美しい本コンクール」入選図書のほか、ドイツ、スイス、カナダ、中国のコンクールで入賞した書籍約90点が展示されています。コロナ禍の影響で展示点数は例年の約半数、直接手にとって見られる本はごく一部という限定公開でしたが、「今年は開催されないかも?」と思っていたので、展示して頂けるだけでもありがたいです。例年は内覧会で写真撮影をしていましたが、今年は内覧会がなく、展示会場の撮影はNGということで、写真なしで紹介します。

「世界で最も美しい本コンクール2020」受賞書籍から。
日本からはNUMABOOKさんの『僕らのネクロマンシー』が銅賞を受賞。オンデマンドプリントで印刷された限定350部の書籍で、表紙に透明なアクリル板が張られています。定価ではなく、価格が変動していく時価で販売された売り方も話題になりました。

銅賞 中国
『Contemplatation: Philosophy of Dwelling(瞑想 居住の美学)』
上海古籍出版社
中国の受賞作品は特殊印刷加工が目立つ派手な造本が多かったのですが、ここ数年は上品で洗練された造本が目立つ傾向にあります。この本もそうした傾向が見られる一冊で、椅子などの家具と住居が紹介されています。

カナダ 銅賞
『Via, eastbound』
Red Tower Bookworks
横位置、活版印刷の本。限定本の部門で受賞。写真が撮れなかったので、ぜひ現物をご覧になってください。

スイス/カナダ 銀賞
『The museum is not enough(ミュージアムじゃ足りない)』
美術館での展示のあり方について書かれた論考集。写真と文章が程よい感じに組み合わさり、クリーンでシンプルなスイスらしさを感じる一冊。

栄誉賞 オランダ
『When red disappears(赤が消える時)』
FW:Books, Amsterdam
深海生物を撮影した写真集。とにかく印刷が美しいです。こちらのリンク先から中ページの画像が見られます。

写真で紹介できないので、ぜひ現地で現物をご覧になってください。
展覧会は4月18日まで開催。事前予約制です。

「世界のブックデザイン 2019-20」
2020年12月12日(土)~2021年4月18日(日)月曜休館
10:00~18:00
無料
※入場はオンラインによる事前予約(日時指定券)制

# by dezagen | 2021-01-24 17:57 | 展覧会
LE KLINTの新商品 CALEO
ライター渡部のほうです。

北欧のリビング商品を中心に扱う輸入総代理店スキャンデックスの展示会で気になった照明器具がこちら。LE KLINT(レ・クリント) のCALEO(カレオ)。日本では9月の発売予定だ。
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この商品の開発経緯は少し変わっている。2019年春にLE KLINTの本国デンマークで放映されたデザインチャレンジ番組『デンマークの次なる名作』(“Danmarks næste klassiker”)で、プロダクトデザイナーリッケ・フロストが作った作品が番組で2位となり、番組で作ったデザインをアレンジした2作品を加え、CALEOシリーズとして秋には商品化された。通常製品開発には10年くらい平気で掛ける北欧にしては珍しいほどのスピードだ。

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受賞した作品とデザイナーのリッケ・フロスト。こちらの形も商品化されているが日本では発売未定。

まるで竹細工でできた日本の照明のように見えるカレオは、弱めの光にするとしっとりと落ち着いたたたずまいに、光を強めにすれば線とのコントラストで強いイメージにも変わる。
細かい線は日本の照明器具同様、細い竹材木材で出来ているのかと思いきや、近寄って見るとブロンズ色のインクで描かれたもの。

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LE KLINTといえば、白い紙やプラスチックシートを折った商品群が有名。造形の楽しさもあるが、光のコントラストはその複雑な折りや切り込みによる陰影のみで印象作られている。
CALEOのように線を入れたものと比較すると、その陰影のコントラストはよりシャープに見える。
頭の中だけで考えると、シェードに線が入ったほうがシャープになりそうな気がするが、金属色の線自体がまろやかに外からの光を反射・吸収し、コントラストを中和させる役割を担っている。
かつ、その線自体が物として竹や木を使っているわけではないので、物質的な圧迫感がない。不思議な感覚ではある。線の存在1つでこんなに印象が変わるものかと驚いたのだった。

# by dezagen | 2020-07-03 12:36 | プロダクト・パッケージ
mt DRAP展

 ライター渡部のほうです。

 先日、カモ井加工紙の展示会『mt DRAP展』をBook&Designで見てきた。

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 窓を開けているので風になびくフィルムのカーテンが涼しげ。
 
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撮影:相澤心也


 今回の展示・販売製品「mt DRAP」はマスカーに色柄を印刷したもの。
 マスカーとは薄い養生フィルムの端にマスキングテープが着いている製品。塗装の時に広い範囲をカバーするために使うものだ。(ところでなんでマスカーって言うんだろう。マスキングカーテン?)

 業務用のものはフィルムを広げると小さいサイズでも110cm幅20mくらいはある(メーカーにより異なる)。一方、mt DRAPは55㎝×10m、1本600円と一般的にも使いやすいサイズとお値段。先行して発表されていたフィルム素材に加え、今回は紙製のものも登場し、フィルム素材が12種類、紙が10種類のバリエーションで揃えている。
 紙製はテープの部分がかなり分厚い。養生マスカーのように壁に貼る場合でもフィルムに比べて重い紙の重さを支え、ラッピングでも糊の粘度が高いのでしっかりと包める。
 展示では天井からのカーテン以外に、壁に貼られていたり、瓶など曲面だらけのものをラッピングしていたり、犬のお散歩用レインコートになっていたりと楽しい展開がされている。

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撮影:相澤心也

 面白い素材だと思っても一般人には使いにくいマスカーなのに、色柄が着く事で用途が広がる。養生マスキングテープに色柄を付けたら一般層に広がっていった、mtのシリーズが始まった時のようなひらめきの力を感じる。展示のメインビジュアルに使われている製品も初期mtにオマージュを捧げるような色テープづくし柄になっている。
 雨の日だから、と紙袋が濡れないようにmt DRAPで袋カバーをくるっと作ってもらえたのがとても気が利いていた。

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 展示は30日まで。現状展示でのみの販売品なので、興味のある方は是非どうぞ。

展示詳細:
期間:6月18日(木)〜6月30日(火)
営業時間:10時〜19時
会場:Book&Design
〒111-0032 東京都台東区浅草2丁目1-14 3F

主催・プロデュース:カモ井加工紙株式会社
企画+アートディレクション:居山浩二

# by dezagen | 2020-06-24 16:36 | 展覧会
タバスコの瓶の写真はなぜ傾いているのか
 「私の日常の周りにあるデザインで、不思議に思っていることは、「タバスコの箱のタバスコの写真、微妙にナナメなの何?」です」

 と、言ったのは私ではなく、大学の渡部千春ゼミの学生I。そうだったっけ?と日本と米国のamazonで検索してみると確かに傾いでいる。学生Iがわざわざ絵にしてくれて説明。

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 4度右。確かに微妙な感じの傾き。
 米国マキルヘニー社のお問い合わせに聞いてみたら、割にあっけなく答えが返ってきた。

「当社の社史研究担当にこの傾きについて聞いてみました。はっきりとした理由は分からないのですが、1950年代にパッケージ上、ボトルの横にコピーが入った時にボトルが傾いたものに変化しました」

とのこと。会社に社史研究担当(company historian)がいるのもすごいけれど、その人も分からない、というのも謎が深まる。とはいえ、説明からするに

「Hey 箱にオリジナルっていれたらどうかと思うんだけどさ?」
「Hmmmm ボトルの写真に邪魔じゃない?」
「Ah! 傾ければ?」
「Oh いいねー」
くらいのノリで傾いてしまったような感じだ。時代は陽気なアメリカ50年代。
 ありうる。

 ちなみに私の家の近くのスーパーで売っていたのは「傾いていないタバスコの写真のタバスコの箱」だった。これもまた謎なり。

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# by dezagen | 2020-06-20 18:29 | プロダクト・パッケージ
文具の新潮流 の続き
 先のブログ https://dezagen.exblog.jp/30108128/ で、今後の展開として、大手メーカーが流行を反映させることに掛かっている、で〆てしまったのだが、実際この文具のファッション化、細分化にはまだまだ可能性が見える。

 トンボ鉛筆のスモーキーカラーラインやKOKUYO MEが出てきた事は、社会的に許容された新しい消費の動きと捉える事ができる。
 トンボ鉛筆やコクヨのような大手メーカーの社内デザイナーや商品開発はより一層の努力も求められるわけだが、一方で小さなメーカー、それこそ個人で作っている人達にもチャンスが巡ってきていると考える事ができる。

 例えば印刷加工業。前記事で書かなかったが、KOKUYO MEではノートの背クロスに金属色を持って来たり、表紙に疑似エンボスを使うなど、印刷加工にもかなり凝っている。
 もしそこに魅力を覚える層がいるならば、印刷加工業の人々が独自にブランドを立ち上げたり、個人から小さい加工業者に依頼をすることもより増えていくだろう。

 印刷加工業では紙製品は作れても木、金属、プラスチックといった複合素材に応用しにくいが、そこも、プラスチック加工業の人々が門戸を開いていけば外部委託は可能だ。今までこうした異業種間の繋がりが弱かったが、昨今は一般にも門戸を開いている加工業が随分増えている。
 あるいは、こだわる部分だけは自社で揃え、アッセンブリーは海外に委託する方法もある。(現在はコロナ禍で流通が少し滞っているものの)Alibaba、Aliexpressを探していくと少量でも受け付けているところが多い。

 販売網もSTORESなど個人で販売する方法、Creemaやminneなどのマーケットプレイスがある。
 オンライン上での買い物が普通になった今、消費者は個人製作でも大手メーカーでもさほどこだわらなくなっている。

 もうやってるよ、と言われればそれまでなのだが、とはいえ、前記事で
「これらはあくまで雑貨であって、(中略)恒常的な購入や品質の安定が求められるものとしては少し物足りなかったように思える。」
と書いたように、文具では「品質」「安定性」が求められる。個性の強い文具のジャンルに大手メーカーが参入してきたことで、同列に扱われる。その品質と安定性に敵うようなケアできるかどうかがビジネス成功の分かれ目になるのではないだろうか。

 個人も小さい会社でも可能性のある社会というのは、大量生産や大量消費、大量流通が本格化した1960〜70年代以前の日本、高度成長期の日本の状況に近いのかもしれない。
 実際の町中の商店街はシャッター街になってしまったところも多いが、オンライン上では小さな商店に賑わいが戻ってきている。

# by dezagen | 2020-06-20 11:16 | プロダクト・パッケージ