間にいろいろ記事をはさんでしまいましたが、9月26日更新の「取材のお願いの仕方」の続きです。
えっと、前回どこまで話したんでしたっけ。そうそう、取材先の担当者の対応についてでしたね。連載を始めた当初は、媒体を信用していただくため、取材依頼と同時に先方に見本誌を送ってましたっけ。「この取材にはお金かかりませんよね?」って言われたこともありました。(だから、お金はいただきませんってば)。
たいがいの企業では、「それではまず企画書を送ってください」という流れになるんですが、電話してすぐメールで企画書送っちゃだめなんです。企画書って、どんなに取材したい内容がわかりやすく書けていても、所詮は一方通行。相手に誤解されたら、修正するのが大変なんです。
たとえば、こちらとしては「Aを中心に聞きたいんだけど、Bも聞けたらいいなあ」ぐらいのニュアンスで書いたつもりでも、相手によっては「AにもBにも答えなきゃいけないのか。Bは社内でも分かる人がいないから対応できないな。この取材は断ろう」と受け取られることだってあるのです。
このあたりのニュアンスの伝え方がとても難しいところ。特に「これ誰」の取材では「なんで紙おむつには必ずキャラクターがついてるのか?」「なぜ日本には牛の絵が描いてある牛乳が少ないのか?」など、企業の方々にとっては「なんでこんなこと聞きたいわけ?」というような質問もあるので、メールの文字だけのコミュニケーションではこちらの意図が十分伝わらないこともあるのです。
というわけで、企画書を送る前にはなるべくその担当者さんとお話して、しっかりコミュニケーションをとるようにしています。「どうして、その取材がしたいのか? どこが好きなのか?」「そうした質問に答えられそうな担当者はいるか、資料はあるか?」などなど、こちらの熱意を肉声で伝えていると、「対応してあげようかな」という気持ちになっていただけるからなのです(しかし、長話は禁物。相手も忙しいですから、簡潔に好意を伝えます)。
ここまで読んで気づかれた方もいらっしゃるかもしれないのですが、編集者の仕事って、「お願いすること」なんです。「取材させてください」「原稿書いてください」「デザインしてください」…。いつもお願いしている、いわば、プロの「お願いニスト」。そんな「お願い道(どう)」を極めるべく、日々精進しているのであります。