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工事
 都内某所でのアートイベントに行ってきました。

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 と、いうのは嘘で、東京駅の工事中の様子である。
 8月半ば、水戸芸術館の帰りに日本橋口から入ったのだが、猛烈に白い。覆われてる。これが延々と続き、アート作品に紛れ込んでしまったかのようで、ジュリアン・オピーの展覧会より興奮してしまった。
 私は分かりやすいところで「クリストか?」と思ったが、同行していたライターのKさんは「マルタン・マルジェラのお店みたい」、写真を見た宮後さんは「青いナナメのテープはダニエル・ビュランの作品のよう」と言う。

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 アート性があるかどうかはともかくとしても、この強烈なインパクトは、徹底した白さと律儀なまでの整然さに起因する。シートだけでなくメッシュ、テープ、シャッターも白で統一し、ほとんど隙間なくぴっちりと、水平器で計ったのか?と思うほどテープは垂直水平に貼られている(しかもべろべろはがれていたりもしない)。

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 素材を選び、覆い方の指示を出しているのは建築事務所や施工会社だろうから、「これ、誰がデザインしたの?」と聞きに行くことも可能とはいえ、日々刻々と変わる工事現場で偶発的に起こる覆いの形は「誰が」と聞いたところで分かるものではない。強いて言えば、工事現場の人。その人にしても意図して意匠を作っているわけではない。スナップの状態だって今は違う様子になっているに違いない。
 駅工事といえば、新宿駅工事では構内警備員の佐藤修悦氏による文字表示が話題になり「修悦体」とまで「名」の付いたデザイン作品にまで昇華していたが、これはかなり希有な例。アートでもデザインでもない、強いて言えば現代民芸か。
 
 日本人に染みついた律儀さ、親切心、美感などなどが「なんだかよく分からないけどすごい感じ」現象として街の至るところに現れてしまう。しかも見るのはタダ。なんと素敵な国、ニッポン。
 
 おまけ:
 気が付いたら東北方面に行く新幹線の表示が、大変分かりやすくなっていた。比べちゃ悪いけど、西方面の表示と比べると一目瞭然。
 これはデザイナー様の仕事です。

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by dezagen | 2008-09-08 16:10
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
これ、誰が書いているの?
 
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