昨年12月8日、家具、インテリアデザイナーの藤森泰司さんが亡くなった。
まだ56歳になったばかりだった。大きい才能があまりにも早く逝ってしまった。
今回、内田洋行で実際に座らせてもらい、話を伺った。
ELMARの椅子は座面パッド付き、アーム付き、色もナチュラルとブラックを揃えバリエーションがあるが、特に目を引くのが一番シンプルなタイプのメッシュシートが組み込まれたもの、その座面だろう。
木素材の椅子の座面にメッシュを用いる事は特に新しい事ではないらしい。とはいえ、ナチュラル木のカラーとメッシュの黒のコントラストは異素材の組み合わせが強調される。
実際に座ってみるとメッシュタイプのオフィスチェアと変わらない感触で、座面の木の部分とメッシュの部分の境目をほとんど感じない。パッドタイプはさらに柔らかく、長時間でも疲れなさそうだ。
ぱっと見固そうな印象があるにも関わらず、座った時に椅子全体がすっと身体を受け止めるのには驚く。
背もたれの部分と座面から伸びる部分を繋ぐのは1個の樹脂製ジョイントパーツ。横から見るとUの字型になったパーツで、樹脂自体が柔らかいのではなく、Uの字のバネの仕組みが背面の傾きを柔らかにする。加えてプライウッドそのもののしなやかさ。この構造だけで身体の重さや動きに合わせてくれるのだ。
アームの部分はなにげないところだが、天然木のさらっとした感触が手になじむ。太めのスチールパイプでがっちりアームを支えてくれているのは頼もしい。
オフィスチェアとはあまり関係ないが、私自身老化しているので、座る時、立ち上がる時にしっかりしたアームがあると楽だ。形状は藤森さんデザインのKino Stoolのアームも思わせる。しっかり掴める感じは藤森さんのユーザーへの思いやりではなかろうか。
テーブルのデザインは、天板より脚が少しはみ出た形になっていて、テーブルを組み合わせると隙間ができる仕組み。その隙間にコンセントユニットやパーテションを差し込む事ができる。
天然木素材の点はカリモク家具の技術の高さが光るところだ。天板はよく見ると三層になっているが、これは主に国産のナラ材を活用する工夫から来ている。
ナラ材は真っ直ぐ育ちにくいため、木材として加工する際に端材が多く出る。色ムラや節目などは利用価値が低いものとなる。ELMARのテーブルではこうした部分を細かくカットし集成材としたものを使用。中にはやや色目の悪いものや節目のあるものを用い、無駄をできるだけなくした。
その2に続く