ライター渡部の方です。
映画館ではメモが取れないので、うろ覚えな所もありますが、
アルヴァ・アアルトとアイノの出会い、共同制作、家庭、CIAM始め海外の交流、家具作りと職人コルホネンへの尊敬、海外での評価、アイノとの別れ、エリッサとの出会いと共同制作、国内からの批判、時代の変化、巨匠化したアアルト、と、いうように細かな切り口から見たアアルトを、建築作品、家具やインテリアアクセサリーの作品と交えながら紹介していきます。
今は見る事が出来ない(はず)ロシア領にあるヴィープリの図書館を見て複雑な気持ちになったり、タイルを並べた後セメント流してよっこいしょと引っくり返してプレキャストコンクリート壁を作っている昔の映像にワクワクしたり、ドローン様様で普通だと見れない屋根が見れたり、見せられるものをありったけ見せますというサービス精神。監督のヴィルピ・スータリさん、ありがとうキートス。
映像と重ねて言葉を残していくのは、同時代を生きたフィンランドの米国の英国の建築家や歴史家や家族。
アルヴァ、アイノ、エリッサ、本人達の映像や音声記録もふんだんに盛り込まれています。こんなに動いているアルヴァ・アアルトを見たのは初めてで、「あ、アアルトって人間だったんだ」などと思ってしまいました。巨匠ってなんだか人間じゃないような来がしちゃうんですけども、しっかり人間でした。
加えて、昔の映像の中国民年金協会ビルができた時に、多分ビルに来たおじさん達の声「こんなに豪華な建築は必要ない。年金を取りに来てるのに」みたいな、ちょっと不満げな声もきちんと入ってるところが、私にはグッときました。
個人的な記憶なのですが、私がフィンランドに行き始めた90年代、若手のデザイナーや建築家は皮肉っぽく「ヘルシンキはどこを見てもアアルトの建築ばっかり(で、ジッブン達が作るスペースがない」とぼやいてました。(その後、ヘルシンキも激変しますが)
映画の中でもアアルトを「巨匠という恐竜」と言っていたと記憶しています。
アアルトの作品が良いよ、素敵だよ、だけではない、アアルトを真っ正面から見た映画でした。
まだまだ上映中なので、建築好きな方は是非に。