ライター渡部の方です。
8月の後半にノルウェーのオスロ、フィンランドのヘルシンキと、久々に北欧に行ってきた。デザイナーや企業、デザイン機関を訪ねて話を聞いた事は、思った以上に得る物があった。この話はまた別の機会で書きたいと思う。
その合間に行ってきたのがチャリティショップ。これは欠かせない。
チャリティショップは簡単に言うと、慈善団体やNPOが運営するセカンドハンドショップ。利益を慈善事業に使う他、何らかの理由で雇用されにくい人々に雇用機会を与える事も目的としているところが多い。
ほとんどの商品は一般の人々からの寄付で、家にある不要品、遺品整理したいもの等持ち込みもあれば、街中にある回収ボックスで集める場合もある。小物から家具から本から音楽映像ソフトから、装飾品から何から何まで玉石混淆。その他、様々な理由で販路から外れた新品が並ぶ事もある。
運営する団体も赤十字や救世軍、教会、子供や高齢者、癌患者の支援団体など様々、店の大きさも街角の小さなお店レベルから、郊外の倉庫まで様々。
最近はeBay(日本ではヤフオクやメルカリなど)や、各国での似たような中古品取引オンラインサイトが充実化してきたためか、高い値がつきそうなものは減ってはいる様子だが、それでも思わぬものに出会えるのは楽しい。加えて、(特に価値が付くようなものはオンラインサイトに移行して、価値のなさそうなものが増えているだけに)人々が何を不要としているのか、を見るのも学びになる。
今回は主にヘルシンキの郊外にあるチャリティショップへ数回。(オスロにもあるのだがきちんと見れなかったのが残念)
まずは、どこのチャリティショップでも服が大量に売られている、過去の記憶と比較しても、圧倒的に服の割合が増えている。どこも売り場の半分以上を占め、しかもレールにギュウギュウ。
世界的に衣料の供給過剰が起こっている、と聞くがあまりリアリティがなかった。こうして不要品となった衣服の塊を見、それが一気に現実として理解できる。しかもこれはほんの一部でしかない。
ヘルシンキで行ったチャリティショップのPääkaupunkiseudun Kierrätyskeskus Oy(首都圏リサイクルセンター株式会社、で慈善団体とちょっと違うが、資源への意識を高め、雇用機会を増やすという意味でチャリティショップであることは変わらない)。
さらに面白いやり方だと思ったのは、素材コーナー。布が多くを占めるが、布も素材別に細かく分けられている。引き出しになっているところを見てみると、プラスチックパーツ、針金、使いかけの色鉛筆、半分使った色紙、古い地図、商品の包み紙、ジャムやピクルスの空き瓶など。引き出しのものはほとんどがタダだ。
普段の生活で「ゴミ」とされるような半端な物も、回収し、素材別に細かく分別すれば新しい使い方が見えてくる。(美大生の課題制作には夢のような場所である)
こんなに整備されたリサイクルの環境を見ると、消費の在り方は変化していると感じる。これまで均質な品質を保つ新品が流通し、不要になれば捨てるという流れが普通だったし、その流れがすぐに壊れるとは思わない。だが一方で、不要物は不要ではなく、新しい商品、新しい素材となり得る。
デザインという分野では、主に均質的な新しいものを作り続ける製造業がベースとしてあったが、不均質な新しくないものをいかに使うか、というのも1つのデザインの方法になってきている。