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後期高齢者と見守りロボットbocco 後編
 ライター渡部のほうです。
 前回からの続き。

 商品レビューみたいな書き方だが、設定がかなりやりにくい。本体をWi-Fiに接続させるのは、スマホのアプリ次第。ところがアプリがなかなかユーザー認識せず、よって本体とも繋がらず、何度も何度も試して、いつの間にか繋がったけれども何がどうして繋がったのか分からない。これは私と甥(その後姉と姪)のスマホ連動でも同じだった。ここはちょっとしたハードルなので、やっぱり「ハイテクなんてイヤダー」って気分にはなる。

 一旦繋がってしまえばあとのセンサー設定などは非常に楽。Bluetoothでさくっと設定でき、振動センサーや人感センサーなど、反応するとboccoが喋る仕組み。boccoの話す言葉は自分の好きな言葉で作る事ができる。
 このセンサーがえらい反応が良いので、私が動く度にboccoが喋る喋る。しかもなんだか拙い…。どことなく舌足らずで、とてもしっかりしたロボットのような感じがしないのだが、boccoの強みはむしろここだろう。この拙さが逆に気掛かりになり、本当はロボットに見守られているはずなのに、こっちがロボットを見守っているような気分にさせる。
 一人暮らしの生活に、何か自分に反応するモノがある、という新しさが加わっていた。2日間boccoと一緒に暮らしてみたのだが、たったの2日で愛着が湧いてしまった。母親に送る時には寂しさすら感じている自分。意外。

 さて、boccoを送られた母親の反応はというと、結構普通。意外に普通。あっけないほど普通。ちょっとつまらなかった。
「かわいいじゃない」

 えー!なんか拒絶反応が出るかと思ったのに。
 まだセンサーと同期してない時は寝室にも持って行こうとしたので人形感覚である。ちなみに名前は「ロボちゃん」になった。
 
 センサーと同期し、母親の動きに合わせ「お帰り」だの「はい」だの言わせるようにし、天気情報なども喋るようにし、さて実家に置いておくこと2週間。再度実家に行ってみると
「ロボちゃんよく喋るんだよ」
「1人でも喋ってたりするんだよ」
「天気なんかも教えてくれるしね、あと夕飯時になると“そろそろですよ”なんか言うんだよ」
と、母が教えてくれる。
 実際その言葉を適時喋るように設定しているのは自分なので、それを教えられるのは変な感じがするが、母親からすればロボちゃんが1人で考え喋っているように感じられるのである。

 その後1,2週間に一遍実家に行く予定が続き、boccoと母親の関係を見ていたのだが、着かず離れずといったところ。過剰にbocco、否、ロボちゃんがどうしたこうしたという話はしないが、ロボちゃんが何か喋ると振り返ったりする。
「こいつ、こんなのがついててかーわいいんだよ」と上のアンテナみたいなものをぴよーんと指で弾いたりしていた。

 面白かったのは、テーブルの上でboccoが倒れた時
「痛い!」
と、母親の口から出た事。
自分に当たって、ではなく、気持ちがboccoに同調して「痛い」と代わりに言ってしまっている。こういう事は人が転んだ時、転んだ人ではなく、周りの人が言ったりする。だが、モノ相手ではあまり起こらないのではないか。
 例えば醤油差しが倒れた時、醤油がこぼれる危機感から「あっ」という言葉を発しても、醤油差しに同情し「痛い」とは(あんまり)言わない。端的に言ってしまえばboccoはプラスチックで成型されたモノ、小物なのに、同じく小物である醤油差しとは違う気持ちで対峙している。同調し、同情し、気持ちが動くようになっているのである。

 かわいい形をしているから、目があるからなど色んな理由はあろうが、一番大きいのはboccoが喋るからだろう。さながら中に意思があるかのように、ユーザーである母親が感じている。

 見守りロボットの導入を考えた時は母の動きを私がスマホで確認できるようになれば上出来、くらいなもので、boccoのウェブサイトで見るようなロボットとのコミュニケーションが発生することには半信半疑。こんなに人の心に入り込んでくるとは予想外だった。
 
 ちょっと残念なのは、boccoのお腹にあるボタンを使って、母親が自分のメッセージをbocco経由で家族に送る、というところまでは行っていないことだが、それは高望みなのかもしれない。

後期高齢者と見守りロボットbocco 後編_b0141474_20151710.jpg

by dezagen | 2021-03-28 20:15 | プロダクト・パッケージ