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気の利く家電は要らないんで
 ライター渡部のほうです。

 家電メーカーは今だにユーザーが見えてないんじゃないだろうか。
 最近オーブンレンジを買い換えたのだが、ネットで目星を付け、いざ量販店で本物を見てみると欲しいものが、ない。
 形の美しさに関しては、量販店に足を運んだ時点で諦めモードになる。しょうがない。機能中心で行こう、機能で。と、思っているのだが、この「機能」の考え方がメーカーとユーザーで食い違っているのではないかと思う。

 自分がユーザー代表でもユーザー平均でもないとは思うのだが、調理器具に関しては(本当に米を炊くだけの単機能炊飯器ならまだしも)皆それぞれの生活様式によって食べるものも違えば好みも違い、また地域や時期によって食材も違えば、同じ食材も水っぽいとき固い時、様々あろうので、調理の方法もその時々で変わるだろうし、できあがりの理想図というのも異なっているものではないだろうか。
 つまり、平均的なユーザーなどいない。

 平均がいないのだからより多くの人に便利な機能を色々付けてあげよう。
 メーカーのこの親切心がアダになる。

 自動メニューが100種類とか200種類とか、スマホと連動とか、使う人もいるだろうが、使わない人もいる。おそらくその半分も使わない人がほとんどだろう。
 では自動メニューを使わない人にとって、自動メニューという機能はただ放置しておけばいいものなのか、というとそうではない。簡単に言えば視覚的に邪魔、もう少し言えばこの機能があるばかりに単純な操作がやりにくくなる障害になる。

 単純に塩味のステーキを食べるつもりが、カトラリーが10種類、ソースが100種類来た、みたいな。
 例えがあんまりよくない。
 道を歩くのに、単純な舗装道路だけでなく手すりと健康用足ツボ敷石と、車が徐行できるようなでこぼこ加工にしてあり、なおかつ行き先が100方向ある標識が目の前にあった、みたいな。
 この例えもなんだか、だ。

 ともあれ。
 料理をする人ほど、目の前にある素材に対して自分でどうすればいいかを考える事ができるのだから、自動メニューなど要らないわけで、欲しいのは、電子レンジ/オーブン/グリルのメニューの切り替え、温度、時間、が分かるスイッチもしくはダイアルだ。
 できれば3種類のダイアルで調整したい。しかもクリック感がいいもの。
 私はダイアルを回すのが好きなので、という理由もあるのだが、作業途中に目で見て確認しやすいものがいい。もちろんモニターに数字や文字情報が出るのだが、モニターの情報よりもダイアルや立体のスイッチの「形状」による認識というのは情報力として強い。

 で、こんなアナログ感溢れるオーブンレンジは家電量販店にはない。(ガスオーブンやプロ向けならばそういう機種もあるのだが、家に入らない)

 自動メニュー便利よー、という人もいるけれど、100から300の自動メニューすべてを使いこなしている人には会った事がない。商品レビューを見ると、自動メニューでやったら半生だった部分的に焦げた、など、あまり評価は高くない。いくらセンサーが優秀になっても、その時その時の素材の違いまで全部全部ひっくるめて自動にできているわけではないのだ。

 家電メーカーって多分、ものすごく気の利く人みたいな感じで、なんでもかんでもやってくれようとするだけにウザい。私は割と何でも一人でやりたい。ごめん。

by dezagen | 2021-03-27 10:58 | プロダクト・パッケージ
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
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