ライター渡部のほうです。
ユニクロ、セブンイレブン、楽天、ツタヤ、ヤンマー、それからスマップにホンダステップワゴンに、そうそう、もちろん国立新美術館のVIも、と普段見慣れている、かつ、これまで非常に多くの人が見て、影響を受けて来たデザインの展示だ。
普段見慣れているものの展示をどうやって見せるのか、しかも国立新美術館の大きな場所で、というのが気になる事の1つだったが、その方法も佐藤可士和さんらしい。とにかく大胆、ストレートに見せている。
実際に使われた商品やポスターに始まり(それだけでも相当な数なのだが)、中に入っていくと、どーんと壁面の高さを使って、もしくは立体化されたロゴやシンボルマークが並ぶ。
これだけ大きくしても存在感が崩れないのはさすが。
あちこちに気を使って忖度で出来上がったようなロゴや、〜っぽい雰囲気だけで作られたシンボルマークなどだと、大きくした時にその大きさに逆に負けてしまう事があるが、会場にあるロゴやマークはそんな事はなかった。言いたい事が明確である。
展示方法もさることながら、やはりその仕事の量や我々の生活への影響力を感じる展示だった。端的に言えば、この自粛生活下、佐藤可士和さんが手掛けたブランドだけで生きて行ける。
洋服はユニクロがあり、食品はセブンイレブンがあり、これだけでも十分だが、なんなら楽天で何でも買う事ができるのだ。そしてその都度、佐藤可士和さんが手掛けたロゴ、ブランディングを目にすることになる。
そんな日本のどこでも誰でもが同様に享受できるブランドを立て続けに作っている個人のデザイナーというのは今の時代ほとんどいないんじゃないだろうか。佐藤可士和が生み出しているものは日本の顔であるし、かつ、インターナショナルに展開してもやはり日本的に見える(単に直線が多いから、という単純な理由かもしれないが)。
本来であれば世界の人が東京に来て見ているはずの展覧会だったのかもしれないが、この状況は変えられないので今更、たらればな話をしてもしょうがない。是非世界巡回してもらいたい。