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文具の新潮流 の続き
 先のブログ https://dezagen.exblog.jp/30108128/ で、今後の展開として、大手メーカーが流行を反映させることに掛かっている、で〆てしまったのだが、実際この文具のファッション化、細分化にはまだまだ可能性が見える。

 トンボ鉛筆のスモーキーカラーラインやKOKUYO MEが出てきた事は、社会的に許容された新しい消費の動きと捉える事ができる。
 トンボ鉛筆やコクヨのような大手メーカーの社内デザイナーや商品開発はより一層の努力も求められるわけだが、一方で小さなメーカー、それこそ個人で作っている人達にもチャンスが巡ってきていると考える事ができる。

 例えば印刷加工業。前記事で書かなかったが、KOKUYO MEではノートの背クロスに金属色を持って来たり、表紙に疑似エンボスを使うなど、印刷加工にもかなり凝っている。
 もしそこに魅力を覚える層がいるならば、印刷加工業の人々が独自にブランドを立ち上げたり、個人から小さい加工業者に依頼をすることもより増えていくだろう。

 印刷加工業では紙製品は作れても木、金属、プラスチックといった複合素材に応用しにくいが、そこも、プラスチック加工業の人々が門戸を開いていけば外部委託は可能だ。今までこうした異業種間の繋がりが弱かったが、昨今は一般にも門戸を開いている加工業が随分増えている。
 あるいは、こだわる部分だけは自社で揃え、アッセンブリーは海外に委託する方法もある。(現在はコロナ禍で流通が少し滞っているものの)Alibaba、Aliexpressを探していくと少量でも受け付けているところが多い。

 販売網もSTORESなど個人で販売する方法、Creemaやminneなどのマーケットプレイスがある。
 オンライン上での買い物が普通になった今、消費者は個人製作でも大手メーカーでもさほどこだわらなくなっている。

 もうやってるよ、と言われればそれまでなのだが、とはいえ、前記事で
「これらはあくまで雑貨であって、(中略)恒常的な購入や品質の安定が求められるものとしては少し物足りなかったように思える。」
と書いたように、文具では「品質」「安定性」が求められる。個性の強い文具のジャンルに大手メーカーが参入してきたことで、同列に扱われる。その品質と安定性に敵うようなケアできるかどうかがビジネス成功の分かれ目になるのではないだろうか。

 個人も小さい会社でも可能性のある社会というのは、大量生産や大量消費、大量流通が本格化した1960〜70年代以前の日本、高度成長期の日本の状況に近いのかもしれない。
 実際の町中の商店街はシャッター街になってしまったところも多いが、オンライン上では小さな商店に賑わいが戻ってきている。

by dezagen | 2020-06-20 11:16 | プロダクト・パッケージ
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
これ、誰が書いているの?
 
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