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世界のブックデザイン 2018-19
編集宮後です。
ほぼ1年ぶりの更新ですが、生きてます。

今年も「世界のブックデザイン」を見てきました(本当は去年12月の内覧会で見たのですが、2か月も寝かせてしまいました。ごめんなさい)。

「世界のブックデザイン2018-19」では、「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書のほか、日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国、7か国のコンクールで入賞した書籍約170点を展示。34の国と地域から約600点が応募され、最高賞の金の活字賞と金賞はオランダが受賞。銀賞、銅賞もオランダが受賞していて、存在感を感じさせました。さすが!(うちもいつか受賞したい...)。

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今までの展示内容については、こちらのブログをご覧ください。
2018年

2017年以前
https://blog.excite.co.jp/dezagen/27811149/

では、早速、国別に受賞作品を見ていきましょう。


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[オランダ]

金の活字賞(オランダ)
『Amsterdam Staff(アムステルダムの「もの」)』
Van Zoetendaal Publishers 発行

新しい地下鉄建設工事を控えたアムステルダム市がアムステル川の川底から約70万個の物体を発掘。そのうちの1万3000個をアイテム別に掲載した600ページの本。1800年ごろのフォークと20世紀末のフライドポテト用のフォークが同じ見開きに展示されていて興味深い。

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(オランダ)
『Awnings(日よけ)』
Jan van Eyck Academie Maastricht 発行

ニューヨークのクイーンズ・ブルックリン・マンハッタンの3地区で2014〜18年にかけて撮影された日よけを集めた写真集。素材、角の処理、家への取り付け方が詳細に記載されている。オランダは以前にもレンガばかり集めた本や堤防の本など、マニアックな本が多い。珍書大国の底力を感じる。

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(オランダ)
『Theory of Type Design(タイプデザイン理論)』
nai010 uitgevers 発行

オランダの書体デザイナー、ジェラルド・ウンガーが書体デザインについて解説した本。著者の遺作となった。本文書体には、著者がデザインした書体 Alverata、Sanserata、Demosを使用。表紙の紫色は、ウンガー氏のウェブサイトの色。ブックデザインは若手のハンシ・ファン・ハレムが担当。

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[ドイツ]

世界の美しい本コンクール受賞(ドイツ)
『Atlas ofthe Copenhagens』
Ruby Press 発行

400を超える膨大な地図とデータで、コペンハーゲン都市部の調査をまとめた本。複雑なデータが3色の特色インキで色分けされているのが見事。インフォグラフィックのお手本ともいうべき完成度。版元はベルリンの建築出版社Ruby Press。

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[中国]

(中国)
『云上(雲の上)』
江蘇鳳凰美術出版社 発行

児童・青少年読物部門で受賞した本。表紙、天地、小口がグラデーションで一体化している美しい本。中国は毎年、特殊加工がものすごい本、やたら分厚い本など、見た目びっくりな本が多いのだが、今年はこの本のように良さがじんわり伝わってくるタイプの受賞作が目立った。

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(中国)
『飛鳥集(迷い鳥)』
商務印書館 発行

文学部門で受賞。植物や鳥のシルエットと文章の組み合わせが美しい本。表紙には、糸がすき込んである日本のファインペーパー「てまり」を使用。こちらも繊細な感覚を楽しむような本で、ブックデザインの傾向が変わってきた印象。

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今年は、印刷加工びっくり的な本がやや少なく、企画内容や組版が地味にいい本が多かった印象。例年通り美術展のカタログやアートブックも多くありましたが、文脈を知っていないと理解しづらいものもあり、あまり心を動かされませんでした。今まではこの手の本にすごく惹かれていたのに。自分の嗜好が変化したのか、今年の審査員の傾向なのかは謎ですが。

2009年から続けている定点観測も10年目を迎え、いろいろな気づきがありました。展覧会を見た自分の感想も「こんな本を作れていいなあ」から「ここに並ぶような本を作ろう」へと変化。パブリッシャーとしての責任と覚悟を新たにしたのでした。


by dezagen | 2020-02-25 00:29 | 展覧会 | Comments(0)
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
これ、誰が書いているの?
 
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