・エシカル消費 エシカルデザイン
ethical=倫理的(に正しい)を意味する「エシカル」というカタカナの日本語がここ数年急激に広まっている。特に「エシカル消費」という言い方は、2015年に行われ消費者庁による『倫理的消費(エシカル消費)』調査研究会の枠組み作りの発表から広く使われるようになった。
エシカル消費とは、消費者庁の説明から引用すると「消費者それぞれが各自にとっての社会的課題の解決を考慮したり、そうした課題に取り組む事業者を応援しながら消費活動を行うこと」である。
むろんそれ以前からナチュラルで、オーガニックで、フェアトレードで、エコで、と様々な名前でエシカルな商品を扱うブランドや店は多くあり、ことアメリカ、ヨーロッパ都市部では、こうした商品が一般的なスーパーマーケットに並んでいるのは珍しいことではなくなってしまった。アメリカ、ヨーロッパ都市部ほどではないにせよ、日本もエシカル消費に意識を向ける動きは急速に進んでいる。
現在、表参道ヒルズに出店しているimperfectもこうしたブランドの一つである。
・魅力のあるブランドに
imperfect が扱うのはナッツ、チョコレート、コーヒーを中心とした食品だ。
現在、これら食材の原産地では劣悪な労働環境、生態系破壊など、多くの問題を抱えている。 imperfect ではこうした問題に対して意識を持った原産者から買い付けを行っている。
また、収益の一部は
1)カカオ原産国の森林を守るための苗を植える、
2)農園で働く人々の貧困問題を解消するため支援を行う、
3)コーヒー生産地での男女不平等を解消するため、ブラジルで女性が中心となって作られたコーヒー農園「カフェ・デラス」で教育を行う、
という3つのプロジェクトをサポートする。
imperfect はエシカルフードという言葉を使わず、「Do well by doing good. いいことをして世界と社会をよくしていこう」をスローガンに、 販売品をwell (よい)フードと呼んいる。
wellフードの 「well 」は 生産者、倫理的に「よい」素材を使うことが主旨だが、表参道の店舗を見てみると、素材だけではなく、見た目にも「well」なものを目指していると感じる。
店舗設計は加藤匡毅と加藤奈香による 建築事務所 Puddle
http://puddle.co.jp が手掛けた。木材と茶系の金属を中心とした内装は、フェアトレード系のブランドにありがちな手作り感や生産地の民俗感を廃し、表参道という美意識の高い場所に合った、シャープなイメージになっている。
商品は計り売りを基本とし、商品そのものを見ることができる。ナッツや フルーツのちょっと変わった組み合わせのチョコレートなど、見ているだけでも好奇心をそそる美しさだ。
6D の手掛けた、すでに包装されたパッケージは棚に並び、インテリアの一部ともなっている。
(写真 上2枚 撮影 藤本伸吾/ 下 撮影 長谷川健太)