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ロンドンデザインフェスティバル その2
ライター渡部のほうです。
ロンドンデザインフェスティバルの続き。

Somerset House で行われているユニクロの展示「The Art and Science of LifeWear: New Form Follows Function」
https://www.uniqlo.com/lifewearday/jp/ に足を運んでみる。
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こちらはデザインフェスティバル(9月14日〜22日)と時期の重なるファッションウィーク(13日〜17日)の一環として行われたもの。
エアリズムやウルトラライトダウンなど、おなじみの商品の素材解説を中心に紹介している。会場のデザインはペンタグラム、映像を使ったヒートテックのコーナーのみ Rhizomatiks ARCHITECTURE が手掛けている。送風機を使ってエアリズムの風通しの良さを見せる、ヘリウムガスのバルーンでウルトラライトダウンの軽さを見せる、と、説明文なしでもぱっと見て分かるダイナミックな展示が良かった。

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エアリズムに使われている生地を体感できるコーナー。少し人が動いただけでもふわりと動くような軽い生地なのだが、下がっている生地を引っ張るとかなりの伸縮性があり、かつ非常に強い事が分かる。

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他はロンドンの東部のほうで行われているLondon Design Fairや近辺の展示などを見たが、とりわけ目立ってこれは印象的だ、と思わせるものがなかったというのが正直なところ。

ざっくりとした印象しか書けないが、今年のロンドンのデザインの傾向をまとめると
・家具などよりも、インテリアアクセサリー、ステーショナリー類など小型化
・グラフィック、視覚的に重点を置いたものが増えている
・全体的なトレンドは見つけにくく、デザイナー自身が自分のものを好んでくれる買い手(バイヤーだけでなく個人消費者も含む)を探している。よく言えば個性を主張できる。
・雑誌やウェブメディアなど、デザインメディアのイベントへ参加が減っている(これは個人発信が増えたせいなのか、イベント自体が魅力が減っているからなのかは、判断がつかない)


私事になってしまうが、毎年ロンドンデザインフェスティバルを見に来てはいるものの、実質2日か3日くらいしか見る事ができず、ほんの触りだけ、という状態が数年続いている。驚きになかなか出会えなくなっているのは時間の短さのせいなのか自分の不勉強のせいなのか、恐らくどちらもあるのだろうが、今年は特に「デザインイベントの中にいいデザイン見つけられない」感を強く感じた。
というのも、ロンドンに来た次の日に global climate strike (日本語訳がばらけているが、グローバル気候マーチ。が多いよう)が行われていた事が大きな理由だ。国会議事堂のあるウェストミンスター近辺だけと聞いていたが、実際はもっと広がっていたようだ。迂回路を造っても間に合わなかったのか、中心部の道路はかなりの渋滞状態で、ウェストミンスターから離れた自分の滞在場所でも、かなり長い間人々が叫ぶ声が聞こえていた。

衝撃的だったのは新聞各社で使っていた少女の写真で、手のひらサイズのプラカードに「USE LESS PAPER(紙の使用を減らそう)」と書いていたこと。確かに大きなプラカード作って、後で捨てる事になってしまっては環境問題のデモとしては本末転倒になってしまう。こういう発想があったのか、と、はっとさせられた。
デザインイベントにもこれくらいの衝撃があって欲しかったし、特に同じ時期とあっては環境問題に対して提案するデザインが見たい。ただしデザインのプロとして人に見せるものであれば、単に紙を減らした、リユース、リサイクルします、というより、もっと斬新な、見る人の意識を変えるようなデザインコンセプトの提案があってもいいように思う。

先日読んだ朝日新聞の立命館アジア太平洋大学出口治明学長のインタビュー記事で、気になった言葉があった。
そもそもイノベーションとは何でしょう、という質問に対しての答え。
「この言葉を定義した経済学者のヨーゼフ・シュンペーターによると、イノベーションとは既存知の組み合わせです。知と知の間の距離が遠いほど、面白いアイデアが生まれる。」
((インタビュー)イノベーション立国論 立命館アジア太平洋大学学長・出口治明さん)

今のインテリア/プロダクトデザインの範疇から、遠いところにあってまだ気がついていないけれどデザインが活きる方法は何かないだろうか。そんな疑問を持ちながら生活、社会を見ていく事が必要なのではないだろうか。

by dezagen | 2019-09-23 17:50