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世界のブックデザイン 2016-17 feat. 21世紀チェコのブックデザイン
編集宮後です。印刷博物館で始まった「世界のブックデザイン」展を見てきました。

「世界で最も美しい本コンクール」入選図書のほか、日本、ドイツ、オランダ、スイス、カナダ、中国、チェコ各国のコンクールで入賞した書籍約200点が展示されています。また、「日本におけるチェコ文化2017」にあたる今年は、「チェコの最も美しい本コンクール」受賞作に加え、21世紀のチェコのブックデザインに焦点を当てたコーナー(下写真)で50点の書籍が展示されていました。

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過去の「世界のブックデザイン」展の記事はこちらにまとめました。

2016年

2015年

2014年

2013年

2012年

2011年

2010年

2009年

今年気になった本を紹介していきます。まず、入口付近に展示されている「世界で最も美しい本コンクール」から。

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銅賞(スイス)
『Withheld due to』(事情により保留)

ジップロックの保存袋の中に、綴じてない二つ折りの紙束がそのまま入っている装丁。「おっ?」と思って中を見ると、いくつもの写真。実はこれ、イラクのアブグレイブ刑務所における捕虜虐待についての法的措置のあと、アメリカが公開を許可した収容者の裸体のスナップ写真。裁判の判決は出ていても、道徳的、社会的な観点ではまだこの問題は「終わっていない」ことを綴じていない未完成の造本で表現。

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銅賞(スイス)
『Bernhard Chadebee - Intrus Sympathiques』(ベルナール・シャドゥベック 感じよい侵入者)

ベルナール・シャドゥベックのポスターをまとめた作品集。ポスターが二つ折りになって綴じられており、天が化粧裁ちされていないので、1ページずつめくってポスター全体を見ることができない。「印刷事故」とも思われかねない、きわどい装丁。

ここから国別にコンクール受賞作品を紹介。

[オランダ]
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『Nieuwe Bijbelvertaling』(現代語訳聖書)
「Bijbel」(聖書)の文字が背、表紙、小口にぐるっとまたがるよう大胆に配置。小文字「i」と「j」の間の白地に注目すると、白い十字架が! 黒と金の2色のスピン(しおり)もお見事。

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『Prints』(プリント)
オランダのデザイナー、カレル・マルテンスの作品集。マルテンスの特徴でもある独特の蛍光色や幾何学的な模様が目をひく。折り畳んだページをたばね、天をカットしないで製本。スイスにも同じような製本の本がありました。


[ドイツ]

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『Soirée Fantastique』(素晴しい夜)
ライプチヒのオスカー・ライナー印刷所で1840〜70年にかけて印刷されたポスター約330枚に同時代のライプチヒの写真が重ね合わされた資料集。ポスターと写真をコラージュのように重ねてしまうという大胆な手法がユニーク。当時の街中で使われていた文字を知る資料としても貴重。


[中国]

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「中国の最も美しい本2016」入選書籍で、チベット地区民間所蔵チベット文字貴重文献叢書。極端に横長のサイズで、糸かがりで綴じられている。かがり糸の色が綴じる位置や折ごとに変えられているので、とってもカラフル。小口側に文様が印刷され、箱に入った豪華仕様。気になるお値段は6000元(約10万円)。

今回の特集国、チェコ。

[チェコ]
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『Alfabeta』(アルファベット)
子供がアルファベットを覚えるためのお絵描き絵本。グラフィックが3色に抑えられているが、カラフルで楽しそうなデザインが秀逸。全体的にチェコの絵本はかわいらしさとクオリティを両方満たしていて、かなりハイレベル。特に、かわいい表現がうまいのはお国柄なのでしょうか?

全部をきちんと見ていないので、見落としがありそうですが、ざっと目についた本を挙げてみました。

造本という点では、中綴じやコデックスなど、180度フラットに開く製本が多かったような気がします。なんとなく格好がついてしまうコデックスに比べ、下手するとチープに見えてしまう中綴じのほうがデザインの難易度は高いですね。日本の出版ではコスト面と流通面から製本の自由度はあまり高くないのですが、そのなかでいろいろ挑戦してみる意味はありそうです。見ているだけで「こんな本をつくってみたい!」といろいろなアイデアがわいてきて、わくわくしました。

展示は、2018年3月4日まで印刷博物館で開催されています。


by dezagen | 2017-12-04 01:10 | 展覧会 | Comments(0)
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
これ、誰が書いているの?
 
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