編集宮後です。紙活字®をつくっているPaper Parade Printingさんの企画で、10月下旬の週末にBook&Designでイベントを行いました。
紙活字は、文字どおり、紙でできた活字。木活字に近いのですが、紙でできているので、活字の表面をけずってテクスチャーをつけられ、誰もが気軽に活版印刷を楽しめるのが特徴です。http://papertype.jp/
https://www.makuake.com/project/paperparadeprinting/
紙活字の考案者、和田由利子さんに初めて取材したのは、2011〜12年のあたり。個展の会場で実物を見せていただきました。その後、文字のデザインが調整されたり、クラウドファンディングで卓上の紙活字の活版印刷キットがつくられたりと徐々に進化していく様子を拝見していました。
和田さんが守田篤史さんと一緒にPaper Parade Printingとして活動をはじめ、365日の日めくりカレンダーを制作したと聞いて、展示のお手伝いをすることに。本とデザインのスペース、Book&Designで展示、トークイベント、ワークショップのイベントを行うことになりました。
詳細はこちら。http://book-design.jp/events/130/
10月21日(土)のトークイベントでは、日めくりカレンダーの印刷加工のお話を中心にお話していただきました。限られた予算の中で、表現したいことをどのように実現したのか?、繊細な諧調を印刷でどう再現したのか?など、興味深いお話が。特に、Photoshop上でスクリーン線数を調節し、コンビニのカラーコピー機で校正を出力する技は新鮮でした。そのほか、オンデマンド印刷機の丁合機能を使って印刷する技やページの開きをよくするための製本の仕方など、知らない技法をたくさんうかがいました。

10月21日のトークイベントの様子。Paper Parade Printingのお二人、篠原紙工の篠原慶丞社長のトークセッション。トーク終了後、活発な質問や意見交換があり、多いに盛り上がりました。印刷加工のお話が中心だったので、次回はぜひ文字デザインのお話をうかがってみたいです。
また、28日(土)に開催された紙活字ワークショップでは、デザイナーさんや美術大学の学生さんなど、7名の方に参加していただきました。Paper Parade Printingのお二人が講師になり、「Book』の文字で印刷。ワークショップに参加した方々は、紙活字の表面を傷つけてテクスチャーをつけたり、ランダムに並べたり、思い思いのデザインを楽しまれていたようです。まわりの方のアイデアに触発されたり、お互いの紙活字を交換して作品をつくったりできるのがワークショップのおもしろいところですね。


ワークショップの様子。全員がデザイン関係者だったためか、紙活字を斜めにカットしてずらして印刷したり、他の人の紙活字を借りたり、斬新なアイデアの作品が多かったです。
22日と29日の日曜日は展示デー。日めくりカレンダーの原画や途中過程の色校や試作が展示され、作者のお二人も在廊されていました。

1日ずつ印刷された日めくりカレンダー。御徒町の家具店WOODWORKでは額装された製品も販売していました。

右上は、卓上の紙活字の印刷キット。このキット用に開発されたインキもついていて、自宅で紙活字の印刷が楽しめます。展示会場でも販売しました。

壁面に貼られた校正紙。紙活字を活版印刷した原画をスキャンし、Photoshop上でスクリーン線数を何パターンか変えてデータを制作。コンビニのコピー機でテスト出力し、本番の印刷に適したスクリーン線数を検討。線数を決めてから、オンデマンド印刷機で印刷し、篠原紙工で製本。中央のテーブルには製本の試作が並んでいます。
今回のイベントは Paper Parade Printingの企画で、台東区浅草のBoo&Designのほか、蔵前のWOODWORK、墨田区のMoi Coffee、東向島珈琲店の4カ所で開催。Book&Designでの展示期間は台風が近づく中の開催でしたが、雨のなか、足を運んでくださった皆様、ありがとうございました。
製品に関するお問い合わせはこちらまで。http://papertype.jp/