ライター渡部のほうです。
ロンドン滞在もあと1日。メインイベントの一つで、いわゆる「トレンディエリア」の東方面のOld Truman Brewery で開催されているLondon Design Fairに行ってきた。
これまで別々の扱いだった展示会London Design Fair、Tent London 、Super Brands Londonを一つの建物内に収め、PRもすべて一つにまとめ、コンパクトな見せ方になった、はずなのだが、例年と相変わらず混沌とした迷路状態は変わってなかった。
Old Truman Breweryという旧工場の場所だけに、突然何も試用されていない工場跡スペースが現れたり、混沌具合も楽しみの一つかな、とは思う。
リーフレット。
ペラで印刷して、背に糊付けして来場者がめくって剥がすタイプ。折りの手間も掛からず、会場でバラバラ散らかったりしない。London Design Fairに限らず、ここ数年、特に今年はこの方式が多かった。
恐らく数百の展示者がいるこの中で、気になったものを。
セラミックの作品の人。Bethany Stafford
キャッチコピーが「BRUTALIST INSPIRED CERAMICS」。ブルータリストにインスピレーションを得た陶芸。カッコイイ!
残念ながら説明してくれる人が不在だった。話を聞いてみたかった。
照明機器のぶら下げに一般的なロープやベルトを使い、ランプシェードは布やヘチマ(!)を使う、というナチュラル志向。
この人、去年ラウンチした時は本当に小さいブースで、個人的にはとても好きなデザインなので頑張ってねー、と言う話をしていたのだが、高い評価を得て、1年で急成長。今回は目立つ場所に大きくブースを使っていた。
罫線を入れたノート類は、ステーショナリー大国日本から見ると「割とこういうのあるんじゃない?」と言われそうだけれど、派手目の色の選択や、粗い紙素材の選び方がユニーク。
日本でも是非扱って欲しい。
全て金属素材で出来ているのかと思いきや、細い素材は、なんと、ポリエステルの糸!見事に騙された感じが心地よい。
ちなみに、全般的に細い金属素材で組み立てた作品はかなり多かった。それはそれで、なんとなく80年代風ポストモダニズム風なのだが、どうもポストモダニズム風(あくまで「それ風」)が流行っているっぽい。
大理石…。
重いから販売が大変なんじゃないかと聞いてみたところ「アメリカからの注文が多いんです。アメリカだと、車社会だとか、土地があるとか、であまり重さは気にしないみたいです。」とのこと。
一方、地元スペインでは、テーブルに置く程度の小物が売れているそうな。
他にもテラソ(人造大理石)で色の組み合わせを楽しむものなど、倉俣史朗を彷彿とさせる(とはいえ倉俣レベルまでは行ってないけど)作品も多々。
流行は常にリバイバルすると頭で分かっているのだが、実際に目の当たりにすると、80年代の日本のバブル期とポスモダニズムの「ちょっと恥ずかしい感じ」も同時に思い出してしまい、複雑な気持ち。
が、今回London Design Fairだけ一緒に見ていた29歳男性(うちの大学の卒業生、現在スウェーデンでデザイナーとして仕事中)が
「80年代ってこんな感じだったんですか?」
と真顔で聞いてきた。
考えてみたら展示者の多く、30代のデザイナーは80年代生まれ。
あの、ちょっと恥ずかしい感じ、を実体験していない世代なのだった。。
今回のLondon Design Fairの展示全体での傾向は、ポスモダニズム風もあるが、あとは素材(石、樹脂、陶など)そのままを活かした作品が多かった。
素材そのままだから、というのも理由の一つだと思うが、色彩、グラフィック的には、昨年はテキスタイルのパターン、あるいはパターンを活かした壁紙風の紙製品を押したものが多かったのに対して、今年は色ベタなものが多かった。
時代は巡るなあ。。