編集宮後です。
『Typography10』を校了し、気になるデザインをいろいろ見てまわっています。
今夏にオープンし、ずっと気になっていたDESIGN小石川がある佐佐木ビルにやっとおじゃますることができました。このビルは、2年以内に解体されることが決まっているため、建築家を中心に期間限定で実験的な試みが行われているスペースです。
まず伺ったのは、4Fのシェアスペース「
ハーフハーフ」。「そろそろ」と「POINT」が運営するスペースで、半分がシェアオフィス、残り半分はイベントなどができるフリースペースだそうです。伺ったとき、ちょうどPOINTの長岡勉さんがいらっしゃったので、いろいろ説明していただきました。
フリースペースの部分は、堅苦しさのない、自由で楽しい空気をつくる「ダサ乙」がテーマ。昭和な香りのする布地張りの椅子もあえてそのまま残し、コンパネでつくったオリジナル家具と組み合わせることで不思議な空間が出現していました。ダサすぎず、おしゃれすぎない絶妙なバランスで、なぜか妙に落ち着く場所でした。
こちらは、入口。コンパネの上に透明の塩ビ板を重ねたスケジュールボードとホワイトボード。塩ビの上からホワイトボードのマーカーで書くことができます。市販のホワイトボートのような事務っぽい感じではないので、楽しいブレストができそうです。
入口すぐ脇にある会議室(?)から中をのぞいたところ。透明な壁に工業用マスキングテープを貼って、目隠しに。工業用マステの使い方がクール。
会議室のとなりにあるスライドとスクリーン。スクリーンもコンパネ製で、使わないときは滑車で上に上げておける仕組みになっています。コンパネを白く塗っただけですが、スクリーンとして十分使えました。なんでもコンパネでDIYでつくってしまうアイデアがすごい。
写真左の地球儀みたいな家具は、漫画の1巻目だけを集めた本棚。続きが読みたくなります。
真ん中は作業台兼卓球台。右手にいるのが長岡さん。
とにかくいたるところに楽しい仕掛けがしてあって、大人の秘密基地のよう。
で、こちらが2階の
DESIGN小石川。建築家、芦沢啓治さんがプロデュースし、家具ショップ「TAIYOU no SHITA」(写真)、植物店「B.U.D」、厳選された食材を取り扱う「PLAIN COMPANY」とシェアしているスペースです。1フロアをまるまる使っていて、総面積はなんと580㎡。広い。とにかくむちゃくちゃ広い。伺ったときはちょうど「HIGHLIGHT」という展示が開催されていました。
写真は
石巻工房の家具の展示。石巻工房は2011年にスタートしたプロジェクトで、建築家やデザイナーと地元住民が共同で家具製作に取り組み、いまや世界からも注目されるブランドに成長しています。今回は、その石巻工房の家具を水性塗料「mizucolor」で着色し、いつもと違う表情の作品として展示。家具をデザインした建築家とペイントを担当したアーティストとのコラボレーションが新鮮でした。
スイスのプロダクトデザイナー、クリストフ・グベランの作品。紙や木材などの素材を新しいテクノロジーで加工する独創的な作品を展示していました。
建築家やデザイナーがDOIT(ホームセンター)で1万円で入手できる材料のみでつくった作品の展示「DOitYOURSELF」。どこにでもある材料から、新しいプロダクトが誕生。「こんなのができるの?」という新鮮な驚きを楽しめました。
広い空間をぜいたくに使いながら、さまざまな要素をゆるやかにつなげていく手腕はさすが建築家。内装だけでなく、滞在する時間や体験もデザインできるのが空間デザインのおもしろいところ。ものだけつくればよい時代が終わり、これからは空間×時間×体験をどうデザインしていくのかが、ものづくりにかかわる人に共通した課題ではないかと感じました。
HIGHLIGHTの展示は11月3日で終了していますが、2Fのショップはオープンしています。
DESIGN小石川(2F)、ハーフハーフ(4F)
東京都文京区小石川2-5-7 佐佐木ビルB棟
http://designkoishikawa.com