編集宮後です。
TBSのドラマ「重版出来!」が終わってしまいましたね。いいドラマだったなあ(現実の編集部にはオダギリジョーはいないけどね)。
重版するかどうかの判断って、どうしているのか気になりませんか? 複数の会社で編集者をしてますが、重版の基準は会社ごとに違うので、なんとも言えないのです。毎月コンスタントに売れていて、在庫がなくなりそうな場合は重版しますが、動きが鈍い場合は在庫が切れても重版しないことが多々あります。これを業界的には「品切れ、重版未定」と言います(重版しないのに、もしかしたらするかもしれないので「未定」って言うんですね)。
著者の立場から考えると、がんばって書いた本が品切れになってしまうのは、本当に残念なんですが、出版社のビジネスとして考えると、重版分はだいたい1年ぐらいで売り切りたい。1回の重版が2000部とすると、1年で消却するには、月あたり160冊くらい売れないといけないわけです。書店から追加注文をいただいて月160冊売るのってけっこう大変なんです。なので、ロングセラーとして売れている本でないと重版がかからない。つまり、必然的に「品切れ重版未定」になってしまう本が増えるというわけです。
品切れ重版未定を防ぐには、電子書籍化するか、著者が版権を引き上げて他社から改訂版を出すか。改訂版もそれほどたくさん配本できるわけではないので、いまのところ電子書籍のほうが現実的かもしれません。
在庫が余って断裁(=廃棄)されるのもつらいですが(「重版出来!」には断裁シーンも登場しましたね)、品切れ重版未定もつらいもの。できれば事前に注文をとって必要な分だけつくりたい。あるいはオンデマンドのように注文がきた分だけつくるとか。オンデマンドプリントの性能が上がり、価格が下がれば、注文がきた分だけつくるというやり方ができるのかもしれません。
最近では、ベストセラーの著者が出版社をつくり、自分で刷り部数を決めるという新しいビジネススタイルも登場。ビジネス書など読み物系の本ですでに行われている手法です。これなら品切れ重版未定にはならないですからね。