ライター、渡部のほうです。
アメリカはシンシナティの郊外にある、アメリカンサインミュージアム
www.americansignmuseum.org
に行って来ました。
周りにある看板がインパクトがありすぎて、ミュージアム自体の看板が一番目立たないかわいそうな状況。
カタカナで「サイン」と書くと、文字とその表示のイメージが強いのですが、ここでは写真に写っているようなフィギュアや絵など看板全般をカバーしています。
現在コレクションは6000点ほどあり、展示されているのはそのうちの500点ほど。コレクションのほとんどは大きすぎてミュージアム内に入らないのが困ったところだとか。
ざっと見るだけなら30分で回れそうな大きさですが、1時間のガイドツアーが1日2回あります。
こんなマニアックなミュージアムで、平日の午前11時のツアーに誰が来るんだろうと思っていたら、家族連れが徐々に集まってきて15人くらいに。
展示物は主に1900年代〜1970年くらいの物。おおまかに「ネオン以前/電球時代」「ネオン時代」「プラスチック時代」に分かれています。
こちらはネオン以前の看板。電球を付けたり、板をステンシルのようにくりぬいて中に電球を入れたり。
ガラスで色を付けたり。中は数個(数十個?だったかも)の白熱電球が入っているだけですが、厚みのある半球型のガラスをはめ込んできれいに光を拡散させています。一つ一つ手作りです。
ネオン時代へ。1930年〜
プラスチック時代。1945年以降。
これぞアメリカ。

ミュージアムの人が、プラスチックの型を作り、成型する方法について説明しています。
こちらはコカ・コーラの型。でっかいな。さすがアメリカだ。
少し変わり種の看板。カリフォルニアはアナハイム、ディズニーランドの近くの商店街のサインだったそうです。大体1962年頃。ディズニーランドが出来たのが1955年。その雰囲気を周りも吸収し、またスペースエイジを反映したもの。
近寄ってみると、飛び出しているところなどすごい手作り感に溢れています。
専門性の高い展示物もあります。
一見黒地に白の文字を書いたように見える看板。色の砂を糊付けしたもの。

看板の下には砂を付ける道具も展示されています。
なぜこの技法が使われたのか、解説があったのにメモってこなかった自分が悔やまれます。。。
他にも看板用青写真や、看板会社の広告や価格表、看板職人の道具などが貴重な資料も展示されています。
また、別経営なのですが、同じ建物の中にネオン工房があり、普通に仕事をしている様子も見れます(発注もできます)。一つ一つ丁寧に見ていくと2時間じゃ足りなさそうです。
なんでこんなマニアックな博物館かというと、設立者で館長のTod Swormstedtさんは元々サイン雑誌(!)Signs of the Times
https://stmediagroupintl.com/brands/signs-of-the-times/ の編集者。
Signs of the Timesという雑誌は1906年から脈々と続く家族経営出版社の雑誌(HPによれば現在112カ国で18,200部の定期購読刊行数)、というから驚きます。
看板について書き続けて100年以上の家族の一員。それは詳しいはずだ。。
例えばオランダのDroogなど元編集者やライター/ジャーナリストが、その分野の活性化のための活動に転じたり、団体を作ったり、という事例はよく聞きます。日本より欧米のほうが多いですが。
ミュージアム、しかもこんなに物がでかくてお金の掛かりそうなものを作っている人は他にあまり例がないかもしれません。
ミュージアムへの行き方。実はシンシナティのダウンタウンから行くのが結構面倒。バスも走っているようですが、1時間に2本とかそんな頻度で、また、周りがさびしい倉庫とまばらな住宅、という場所なので、観光客にはタクシーをお奨めいたします。ダウンタウンから15ドルでした。