編集宮後です。
前の記事で紹介したiichikoの展示を見てきました。
会場に入ると、どーんと電車の車両が。地下鉄マナーポスターとiichiko parsonの広告が実際の電車内に展示されているという趣向。小さいボトルの「iichiko parson」は、B倍ポスターではなく、小さいサイズの車内広告が電車内に掲出されるので、それを再現した格好になっています。
車両を出ると、ぐっと視界が開け、おなじみのB倍ポスターが約120点ほど展示されています。
30年間に制作されたiichikoのポスターは約400点。すべてを展示することはスペース的に不可能なので、そのなかから選ばれた100点あまりが展示されていました。
こうして並んでいる様子は圧巻。ポスターなのに美術作品のように見えるから不思議です。1枚1枚は何気ない自然の風景ですが、こうして集められると美術館の中で作品として成立いたのが印象的でした。
30年間、一貫して自然が映し出されていますが、同じように見える写真でも時代とともに少しずつ変化してきているのがわかります。それぞれの時代でその時代の空気みたいなものが表現されており、ほんのりと時代性や社会性が見え隠れする。ずっと変わらないように見えますが、そこからいろいろなメッセージが読み取れるのがiichikoポスターの魅力だと思います。
それぞれのポスターには、使用した用紙、インキの色数が記載されているので、デザインを学ぶ学生さんやデザイナー、印刷関係者にも多いに参考になるところ。いまではデジタルサイネージが登場し、B倍ポスターを印刷する機会もぐっと減ったので、こういう情報は貴重です。
私が好きなのは毎年クリスマスの時期に制作される特別パージョン。「メタリックユポ」(選挙ポスターなどに使われる耐水紙ユポのメタリックバージョン)という紙にオペークの白+プロセス4色+特色2色の7色印刷という、ものすごく豪華なポスターです。印刷の仕様を聞いただけで卒倒しそうです。
展覧会ではすべて現物のポスターが展示されていますので、紙や印刷好きの方にもぜひ実物を見ていただきたい。展示は11月26日まで、東京藝術大学 大学美術館3階で開催されています。
http://www.geidai.ac.jp/museum/exhibit/2014/kawakita/kawakita_ja.htm
展示を見に行けない方はこちらのウェブサイトをどうぞ。
iichikoの歴代ポスターをみることができます。
http://www.iichiko.co.jp/design/graphic/index.html