編集宮後です。
明日は東京都知事選挙。ということで街に貼られている選挙ポスターのデザインのお話です。
有権者がなんとなく投票したくなるポスターのデザインってあるのだろうか?とつらつらを考えてみました。
まずポスターの大きさは決まっているので、顔写真、名前、スローガンなどをどのサイズでどう配置するかがデザインのカギになるわけです。要素はそれほど多くないので、とりあえず二者択一で考えてみます。
まず絶対に必要な要素は顔写真と名前ですね。顔写真がない候補者もたまにいらっしゃいますが、どんなに有名で知名度がある方でも顔写真がないと「この人に投票して大丈夫なのか?」という気持ちになります。なのでこれは必須。それぞれパーツごとに検証してみます。
[タテかヨコか]
全体的にはタテが多い気がします。なんとなく見慣れているほうに親近感を感じるので、ここはセオリーどおりがいいのかも。
[顔写真]
大きい/小さい:やはり大きいほうが自信や信頼感があるように見えます。
正面/横向き :正面のほうが力強い感じがしますが、真正面だとにらまれてるようでこわいです。ややななめくらいがよいかも。
配置位置 :名前が入る位置を考えると、名前が左側、顔が右側がよさそうです。顔が上、名前が下という配置もありますが、目線が左から右へ、上から下へ動くことを考えると、やはり左側に名前が来るのが一番おちつきそうです。
[名前]
文字の大きい/小さい:これも顔と同様に大きいほうがいいですね。
書体:明朝かゴシックかと言われたら、視認性の高いゴシックでしょうか。細いよりは太いほうが力強く、自信があるように見えます。
苗字と名前:難しい漢字などはひらがなにする例が多いですね。漢字4文字の名前を縦書きするとそれぞれの文字がかなり小さくなってしまうので、苗字を漢字ででっかく入れて、その下に名前をひらがなにして小さく入れるのが一番目立つと思います。大きくしすぎると品格がなくなって、スーパーのチラシみたいになってしまうので、ほどほどのバランスで。
[背景]
顔と名前以外のスペースをどうするか、これもなやましいですね。よくあるのは顔の背景は白、名前のところだけ色を引くパターン。王道のデザインですね。色わけしな場合は背景は白地か、色をひくのがよさそう。背景の余白部分が少ない場合は、赤などのビビッドな色をもってくるのも目立つので効果的です。目立つからと言って、赤い地色に黒文字とか、特定のイデオロギーを連想させる配色は避けたほうが無難。
[印刷]
案外、おろそかにされがち。肌の色が青白くなってしまったり、黒くくすんでしまうと、「この人に任せて大丈夫か?」という頼りない気持ちになってしまうので、やはり血色よく、元気に見えるように印刷してほしいですね。時間がなくて色校とらずに刷ってしまった的なポスターもたまにあります。ここはひとつ、某大手化粧品メーカーの広告や有名タレントの写真集の印刷で鍛えられている神業製版担当者にお願いするとか。写真の仕上がりはかなり影響大だと思います。
まとめると、選挙ポスターデザインのキモは、
・全体的に奇をてらったことはせず、オーソドックスに
・信頼感、安心感、自信を感じさせるデザイン
といったところでしょうか。
てなことをつらつら書いていたらこんな本を発見。
『
有権者に伝わる!選挙ポスター』
著者は田中一光デザイン室のOBの方。すごく気になります。