沖縄産の商品を扱う新しいブランドを手がけたので見に来てください、とお誘いをいただき、渡邉良重さんと植原亮輔さんの事務所、KIGIに伺った。
「琉Q」は、アセローラジャム、海水塩、ウコンのタブレット、とまだ3種類の商品のみの小さなブランドだ。
このブランドは沖縄県セルプセンターから出されている。沖縄県セルプセンターは、沖縄県内で暮らす障がい者の人々が商品を作ったり、ラベル貼りや梱包、発送などの作業を行う就労支援事業所とメーカーをつなぐ団体だ。ブランド作りをKIGIに依頼した代理店の沖縄広告は、障がい者の収入を少しでも上げるような、付加価値のあるお土産を求めていた。
「沖縄には色んなものがあるのだけれど、最初からプロダクトを出してしまうと手に取りにくい。食品は買いやすいし、それ以前にKIGIでもご飯を作る時に沖縄の塩など食材を普通に使っていたから、食品で、少量で無理なくできるものから始めました」と渡邉さんは説明する。
とはいえ、頑張って作ってますよ、感はない。あくまでいい物をゆっくり作り、育てていくブランド、という印象をパッケージから受ける。
「この商品は取材がキーになります」と、植原亮輔さんは言う。「沖縄産と言われた時に、南国でヴィヴィッドでポップな沖縄というイメージもあるだろうし、地元感たっぷりの素朴感もあるだろうし、あるいは、高級品としてびしっとデザインされたものも考えました。でも、このブランドはそのどれでもない。押しつけがましくなく、買う人に読んでもらうように取材した記事をパッケージに記載してマガジンのようなつくりにしました」
淡いイエローを地色に、まっすぐな線で構成されたロゴ。パッケージには文字がたくさん入っている。商品説明、ではなく、質問に答えるQ&Aの形を取っている。
「春ウコンは、どのように摂ればいいですか?」沖縄ウコン堂の吉田典弘さんが答える。
「アセローラは、体によいのですか?」アセローラフレッシュの並里哲子さんが答える。
「海水塩と岩塩の違いは、なんですか?」青い海の古我知信さんが答える。
一方的にパッケージが宣伝してくるのではない。消費者がちょっと疑問に思っていることを、メーカーの人が易しく解説してくれる。まるでその工場にいるように。
渡邉さんのイラストも相まって、印象がやわらかい。
「沖縄は体にいいものがたくさんある。長寿の県でもある。何か不思議なところで、秘密がいっぱいあるところ。その疑問に答える形にしていこうというパッケージです。」と渡邉さん。
沖縄の旧名、琉球とクエスチョンのQで、琉Q。とても単純。それだけにまっすぐで素直な感じがする。
ジャムが140gで890円、海水塩の小瓶が50gで560円(以上税込み)と、少し高めだが、値段が多少高くても質の良い物が欲しいと思う消費者に向けたブランドとなる。お土産として現地で買う以外の流通を視野に入れている。
琉Qは始まったばかり。今月末からオンラインショップがオープン予定だが、現在も
http://ruq.jp のサイトから問い合わせを受け付けている。