編集宮後です。
今年も本好きにとって楽しみな展覧会、
「世界のブックデザイン」の時期がやってまいりました。
先週金曜日にオープニングパーティーがあったので、
早速行ってきたのでした。
毎年3月にドイツのライプツィヒブックフェアで公開される
「世界で最も美しい本コンクール」の入選図書、
日本、ドイツ、オランダ、スイス、オーストリア、カナダ、中国、
今年初紹介される台湾を加えた8か国の造本コンクールで入賞した
優れたブックデザインの書籍約200点を展示。
今年はいつも入選する強豪国ドイツのコンクールの開催時期が
変更されたため、「世界で最も美しい本コンクール」には参加せず、
ドイツ以外のさまざまな国から受賞書籍が選ばれたそうです。
「世界で最も美しい本コンクール」では、最優秀賞に相当する
「金の活字賞」、そのほか、金賞1点、銀賞2点、銅賞5点、
栄誉賞5点の合計14点が選出されます。
今回は31か国から540冊が応募。
そのトップである金の活字賞はこちら。
『La Residence』(レジデンス/デンマーク)
JHエングストロームの写真集。
そしてこれが金賞の『Raum, verschraubt mit der Zeit
Architekturjahrbuch Graz』(時間と結びついた空間
シュタイアーマルク州グラーツの建築年鑑2010)
オーストリアのシュタイアーマルク州の2010年建築賞を
受賞した10作品を掲載した本。
こちらは銅賞の『What We Wear』(私たちが身につけるもの/オランダ)
普段着ている衣類の製造から廃棄までのプロセスを写真におさめ、
それをジャバラ折りの形式でまとめた写真集。
ドキュメンタリーのようなリアルな写真が
圧倒的な説得力をもって迫ってくる様子は圧巻。
ここからは各国の造本コンクール。
これはオランダで出版された聖書。
乙女チックなデザインのカバーが物議をかもし、
審査員の間で激論がかわされたという一冊。
台湾の詩人、夏宇の詩集。
ページが袋折りになっていて、
小口にも印刷されているカラフルな造本。
「今年はおとなしめの本が多いかな」と思ってみていたら、
ドイツのコーナーにとんでもないものが。
『decodeunicodeーDie Schriftzeichen der Welt』
(デコードユニコード 世界の文字)
文字コードの標準規格「ユニコード」の
バージョン6の文字10万9242文字をすべて掲載した本。
膨大なユニコードを全部掲載したっていうのがすごい。
(書体デザイナーにとっては便利なんだろうか...?)
本にしようっていう発想がクレイジーだし、
68ユーロで3500部発行っていうのもチャレンジング。
どこから出してるんだろう?って思ったら
タイポグラフィ関連書で有名なドイツの出版社
Hermann Schmidt Verlag, Mainzじゃないですか。
こんなの絶対に出版社の企画会議じゃ通らないよね。
「誰が読むんだ」って言われちゃうもの(私は読みますけど)。
decodeunicodeは映像もあります。
2時間半、ずーっとユニコードが流れているという...。
http://vimeo.com/48858289
当日は大急ぎで見たので、まだまだへんてこ本はあるかも。
展覧会は、印刷博物館で2013年の2月24日まで開催。
http://www.printing-museum.org/exhibition/pp/121117/index.html
過去の展覧会リポートはこちら。
2011年
http://blog.excite.co.jp/dezagen/17040747/
2010年
http://blog.excite.co.jp/dezagen/14366166/
2009年
http://blog.excite.co.jp/dezagen/12145216/
昨年より前の入賞作品をご覧になりたい方は『
世界の美しい本』をどうぞ(とちゃっかり宣伝)。