編集宮後です。
先週まで国際タイポグラフィ協会のカンファレンス
「ATypeI HongKong2012」に行ってました。
って書くと偉そうですが、私は発表するほうではなく取材側。
世界の文字好きと交流し、幸せな時間をすごして参りました。
さて、取材や仕事でお会いしたデザイナーを紹介する
「デザイナー紹介」第二弾はtentoの漆原悠一さんです。
昨年独立したばかりだそうですが、
3つのデザイン事務所で経験を重ね、十分なキャリアを持つ
グラフィックデザイナーです。
漆原さんの最近のお仕事と言えばこちら。
旅行誌『TRANSIT』の姉妹誌として創刊された
『terminal』のアートディレクションです。
『terminal』は「アウトドアを科学する」をテーマにした
新しい登山・アウトドアのスタイルを提案する雑誌。
山の美しい写真だけでなく、登山に関する検証データや
読み物なども豊富で、雑誌としての見応えも十分。
B5変型というサイズで、山のスケール感を出しつつ、
データページや読み物ページもきっちり読ませるのは、
かなり難しいと思うんですが、『terminal』では
それらが奇跡的に両立されたレイアウトになっています。
ぱっと見ただけではさらっと読んでしまうんですが、
細かく見ていくとすごく緻密なレイアウト処理がされていて
「プロの仕事だなあ」とうなってしまいました。
で、次は単行本『邪悪な虫』『邪悪な植物』。
実在する奇妙な虫や植物をイラストで紹介した
洋書の翻訳本なんですが、内容がとにかく面白い。
(上が原書、下が翻訳版)
「兵器や拷問道具として使われた虫、
ほかの生物をゾンビのように操る虫、
ナポレオンの進軍を止めたシラミまで。」と
解説にあるように、読んでいるだけで怖い。
(虫嫌いの人は注意!)
でも、本の装丁はかなり素敵です。
原書も素敵なんですが、日本語版でさらに素敵になった印象。
ジャケ買いしてしまいそうです。
最後は11月初旬刊行の本『水縞とつくる紙文具』。
水玉好きのデザイナーと縞模様好きの文具店主による
文具ブランド「水縞」の文房具とそれを使ってつくる
紙文具を紹介したビジュアルブック。
もともと水縞の文具が好きだった担当編集者(ワタクシ)が
水縞のお二人に声をかけてつくった本で、
ほぼ初対面の漆原さんに連絡してデザインをお願いしました。
かわいいだけではなく、ちょっとビターで男子っぽい
水縞のテイストをよく理解してくださり、
こんな感じの本に仕上がっております。
漆原さんのデザインはとにかくセンスがよくて精度が高い。
渋いものから現代的なものまでできそうな器用さも感じます。
漆原さんの事務所「tento」では、現在デザイナーを募集中。
素敵な方が応募してくれますように。
http://www.tento-design.jp/