ライター渡部です。
TENT LONDON
www.tentlondon.co.uk の新卒生の作品を集めたコーナーに、どきっとするような作品が展示されていた。
Kingston Universityの新卒生、Roisin Laffertyさんのプロジェクトは、「A ROOM TO DIE IN(そこで死ぬ部屋)」。

四角い家仕立ての展示の壁に A ROOM TO DIE IN と書かれているので、平和的なホスピスの提案かな?と思ってはいると大間違い。中は「も、俺どーでも、いーわ」みたいな乱れたベッド、散らばった小銭、壁に頭をぶつける場所、写真、そして圧迫する狭さ。
この展示のサイズは、残された時間を6.1時間と仮定し、1人の人間がその時間内で自分の吐き出す二酸化炭素により、平均的な空気の二酸化炭素率0.03%が中毒死に到る5%(他の資料では7%ともあるが、Laffertyさんの設定は5%)になる空気の量を計算。その空気量がちょうど入るサイズで作られている。
中にある物やその置かれ方などは、最近亡くなったLaffertyさんの友人の部屋からインスピレーションを得たという。
TENT LONDON内で、他の展示やブースがステキなプロダクトの数々で溢れ、ポジティブなこれからの生活を夢見させてくれる中、この展示だけは、夢でも未来でもなく、今の現実を見せている。
「このプロジェクトで自分もかなり知ることが多かったし、死ぬ時にはこういうあんまり嬉しくない状況に対面しないといけないんだって思った。展示の反応は予想以上。ずっと人が入ってくれた。本当に多くの人が日常の生活の中で死んでいくことを知ってもらい、見てもらい、考えてもらうことが目的で、この目的は達成できたと思う。部屋から出てきたら違ってものを見るようになった、っていうのはすごくうまく行った証拠。デザインは人の役に立つものでないといけない。課題のインパクトを一般の人々に分かってもらうこと、これがデザイナーにできること」
これから社会人(という言い方はあんまり英語にないけど)になる彼女は、このプロジェクトの経験は今後の仕事にも活きるだろうと感じている、と言う。
Roisin Laffertyさんのブログ
http://roisinlaffertyspatialdesign.blogspot.com/
roisin@kingstonlaffertydesign.com