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空間の響き/響きの空間
ライター渡部です。

金曜日から風邪を引いている。
やっと持ち直してきたので、新刊紹介などから再開
と思っているものの、こういう頭がとろとろしている時というのは、
本の本筋(駄洒落ではなく)をうまく追えないものの
自分の脳に響く部分に、過剰に反響してしまい
身体中震え上がったり、ドキドキハラハラしてしまうようだ。

『空間の響き/響きの空間』(アトリエ・ワン著 INAX出版刊)
だから響いてるわけでもないのだろうが、
この本でぱっと開いた「動物の模型」という章が響きまくりである。

真鍮でできたフィギュアに
「小ささは再現性にとっては困難であるが、
そのために省略が必要になって、
そこに逆に創作的な魅力が出てくるのだと思う」

やわらかいぬいぐるみはさらに再現性が難しく
「ぬいぐるみのほうが、デザインの問題としては少し高度なのではないだろうか」

とはいえ、中の詰め物を減らした、著者曰く「へたれ」なぬいぐるみには
「動かしているうちに、なんだかじゃれているみたいになって、
感情移入をしやすい」
「そんな無生物との創造的なスキンシップの中に、
生命的なニュアンスが生まれてくるのである」

あ、なるほど。

アトリエ・ワンは建築家であり、
この本の中では、話は交差点、ビル、郊外と
徐々に見える範囲が大きくなっていくのだけれど、
対象物への眼差しは安定していて、
分かりやすくすとんすとんと落ちていく感じなのだ。
この眼差しが「無生物との創造的なスキンシップ」なんじゃないかと思う。

忘れるところだった。
装幀は町口覚氏、デザインは坂本陽一氏。
by dezagen | 2009-11-11 14:40