取材するまでマスキングテープが和紙で出来ていることを知らなかった渡部・宮後チーム。マスキングテープの歴史など調べてみた。
いくつかの資料によれば、マスキングテープの登場は1925年。車の塗装、塗り分けの際に使うものとして3Mの技術者、リチャード・ドリューが開発したものが最初だと言われている。これは和紙ではなくクレープ紙で作られている。
それまでは医療用のテープや、通常のクラフト紙をのり付けしたものなど、各工場で工夫されていたそうだが、下地の塗装まで剥がしてしまうことがあった。
ドリューはクレープ紙に膠をしみこませ接着剤をつけたテープを作りこの問題を解決。クレープ紙はちりめん状の細かいしわが付いているので、そこに膠が入り込むことで紙が毛羽立たず、下地にくっつきにくい、というわけだ。
以後他社でも塗装用マスキングテープの製造を始めていき、膠がゴムや合成ゴムに代わり、と発展していく。
日本でマスキングテープの実用が始まったのはいつ頃なのかはっきりしない。紙絆創膏を転用したことが始まりと言われている。日本の紙絆創膏は古い記録では1918年に特許登録されているものが最初だが、古来から紙と接着剤を使ってきた流れがある。
和紙は洋紙に比べ、繊維が長く適度な隙間があり、薄くても強度がある。手でちぎるのも簡単で、きれいに剥がせる利点がある。
現在、日本では和紙製、クレープ紙のマスキングテープがあり、用途に応じて様々な製品が展開されているという。和紙マスキングテープの現在の作り方は
mtのサイトで。
和紙のマスキングテープは日本独自のもの。しかもmtのようにこんなにバリエーションがあるのも世界で唯一だろう。海外にも輸出されているが、和紙の魅力を伝える新しい文具としてもっと世界にひろがってもらいたいもの。
あるいは、各国それぞれ原材料の異なる紙を使って独自のマスキングテープが生まれるのかもしれない。