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クーピー
 読者の皆さんこんにちは、渡部千春です。

「クーピーってデザインが変わってませんけど、誰がデザインしたんでしょうね」という、宮後さんの疑問から、今回はサクラクレパスの「クーピーペンシル」について調べてみた。

クーピー_b0141474_21563298.jpg



発売は1973年。以後、40年近く、本当に変わってないのでびっくりする。

 クーピーというと……、という書き始めで考えてしまったが、正式な商品名は「クーピーペンシル」であるにも関わらず、大体の人には「クーピー」で通じる。よく見たらパッケージ自体「クーピー」だけ白抜き文字になっていた。
 クレヨンでもなく、クレパスという名前ですらうろ覚えな小学生(私)が全く新しい名前を覚えられたのも、重要なところをマークしてくれていたからだった、と今更気が付く。デザイナーさん、ありがとう。
 そのデザイナーさんはというと、当時※沢村徹デザイン研究所(現沢村デザイン研究所)に在籍していた※※吉田幸一さん。現在は大阪芸術大学のキャラクター造形学科の教授を務めている。

 クーピーのパッケージの大きな特徴といえば、幾何学模様だけのグラフィック。クレヨン然り、絵の具しかり、多くの児童向け画材は具象的な絵柄がほとんど、その中ではかなり斬新なアイデア。商品開発の時点から参加していた吉田さんによれば、当時パンダ人気沸騰中だったことから、パンダの絵をあしらったパッケージの提案もあったそうだ。
「具体的な何かを表現して子供達の思考を停止させるのではなく、もっと自由な想像力が働くようなデザインを目指したのです。四角、丸、三角といった抽象的な形態が色彩で満たされ、抽象的ではあるものの商品の形状が表現されています」

 70年代小学生であった私にしてみるとクーピーは新しさの象徴でもあった。パッケージも子供の目には変わっているし、全部が芯なのに手に色が付かず、消しゴムで消すことができる。親には怒られたが、鉛筆削りで削った時にくるくると出てくる色のリボンが楽しかった。
 吉田さんにとって「クーピーのデザインはターニングポイントの一つだった」そうだが、ユーザーの子供(私だけじゃないと思うが)にとっても、新しい道具を手にいれたターニングポイントだった。


※沢村徹 大阪をベースに活動。大阪市営地下鉄、旧三和銀行などのロゴマークを手がけた。大阪デザイン団体連合の会長も務めた。

※※吉田幸一 1939年生まれ。62年武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)デザイン科卒。64年沢村徹デザイン研究所入社。74年株式会社沢村徹デザイン研究所取締役就任。現在、大阪芸術大学キャラクター造形学科教授。サクラクレパスの他、味覚糖やバンダイのデザイン、梅田地下街サイン計画などを手がける。

クーピーペンシルについての詳細は、サクラクレパスのサイトでどうぞ
http://www.craypas.com/products/pickup/coupy.php
by dezagen | 2009-05-22 21:57
『これ、誰がデザインしたの? 続(2)』
渡部千春著、デザインの現場編集部編
美術出版社刊
04年以降の連載記事をまとめた2冊目の書籍。連載で紹介したアイテムのほか、名作ロゴやパッケージ、デザインケータイなどを紹介。
 
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