アイスランド音楽通を気取るなら『鏡の国のアイスランド』 |
アイスランドにはいわゆる民族音楽は存在しないに等しのですが、どの国にもスタンダードと呼ばれる曲があり、アイスランドでもくり返し耳にする曲があります。 アイスランドのスタンダード曲が聴けるアルバムで日本でも輸入盤で入手しやすいところでは、ビョークがジャズを歌った『Gling-Glo』が筆頭にあげられますが、それ以上にアイスランドのスタンダード曲が詰まっているのがこの『鏡の国のアイスランド』です。アイスランド音楽通を気取りたければ、そしてアイスランド音楽に親しみたいのであれば、『鏡の国〜』は必須アイテムです! アルバム・タイトルですが『Skuggsja』のままではカタカナにしたとこころで意味不明なので、邦題を付けざるを得ません。「Skuggsja=鏡」ということを知った時、アイスランドのポピュラー音楽の歴史を映し出す鏡であり、アイスランドの人々の生活を映し出してきた鏡としての音楽という意味で、『鏡の国のアイスランド』と名付けました(アリスのパクリではありますが)。 -------------- 『鏡の国のアイスランド』 ヨーエル・パルソン/エイソール・グンナルソン 『Skuggsja』Joel Palsson/Eypor Gunnarsson 1. Sveitin milli sanda カントリーサイド アイスランドの国民的歌手女性Elly Vilhjalmsのために書き下ろされた曲で、オリジナルのタイトルは「Aria for Elly」でした。まるで日本のムード歌謡のようなメロディで、少しびっくり。日本人とアイスランド人の気質がいかに似ているかが伺われます。 2. Songurinn um Dimmalimm ディマリムの歌 アイスランドの有名な物語で、子供用の絵本になっているようです。 3. Haettu ad grata hringana 泣かないで アイスランド人特有のジョークでしょうか。元々は芝居の一節だったそうですが、内容は、足の指が無くなって悲しんでいる女性のところにヒーラーがやってきて、すべての指を切り落としてしまいました。英語に訳すと「No More Crying, Lady」なのだそうです。 4. Svefn-g-englar スヴェン・ギー・エングラー シガーロスの最新作『()』からの作品。ヨーエルのこのヴァージョンを聴いた時、不覚にも涙してしまいました。シガーロスの東京公演を体験した方であれば、その気持ちもわかっていただけるかと・・・。情報というよりも個人的な感想ですが。 5. Leyndarmai シークレット Datar & Runar Gunnarssonがヒットさせた曲で、70年代に欧米でアレンジャーとして広く活躍したソルリル・バルジュールソンの作品。 6. Visur Vatnsenda-Rosu 涙色のローズの詩 ビョーク・ファンはご存じかもしれませんが、この曲はビョークがHector Zazouのアルバム『Songs from the Cold Seas』で歌っていましたね。1月19日現在アマゾンで1,311円で販売されていますので、ビョークのヴォーカル・ヴァージョンが聴きたい方はぜひどうぞ。他の曲もお勧めですし、参加アーティストもかなり豪華です。『ホモジェニック』のライブCDにも収録されていましたが、インストゥルメンタルです。アイスランドのトラッドです。 7. Venus as a Boy 少年ヴィーナス こちらはビョークのオリジナル。説明無用でしょう。愛くるしいビョークが卵焼きを作るビデオが印象的でした。ビデオはビョークの公式サイトで見ることができます。 8. Samferda 共に旅して 60-70年代にはグループの一員として活躍し、後に作曲家として様々なアーティストに曲を提供してきたマグヌス・エイリクソンの作品。 9. Stal og hnifur 鋼鉄とナイフ この曲とは限りませんが、アイスランドのラジオでかなり頻繁に耳にする声が、この作者のブッビ・モルテンズです。漁師が趣味でギターを弾きながら歌っていたのが評判になり、歌手に転向。70-80年代はパンクに明け暮れ、アメリカでいえば強引かも知れませんがスプリングスティーンのような存在でした。現在でも毎年一枚はアルバムを出し続け、アイスランドで最も尊敬されるロック・アーティストとして君臨しています。ティーンエイジャーのビョークが出ていることで話題になる映画『Rokk i Reykjavik』にもフィーチュアされていました。 10. Pu og eg あなたと私 グンナル・ソルザルソン作。グンナルは現在ギター・イスランシオのメンバーとして活躍しています。彼のバイオはギター・イスランシオの項目でお読みください。この曲は彼がアイスランドのビートルズと呼ばれたヒルヨマールというグループのメンバーだった頃に書いた、代表的ヒット曲のひとつです。 11. Spiladosarlagid スピラドス オルゴールというタイトルのこの曲は、90年に解散するまでアイスランドで大活躍をしたグループ、Todmobileの曲で、近年アイスランド交響楽団が彼らの音楽を取り上げ、再び脚光を浴びる存在になっています。 12. Tvaer stjornur ふたつの星 メガスの作品。私は勝手にメガスのことをアイスランドのボブ・ディランと呼んでいますが、その曲を聴けば(メガスのオリジナルですよ)なぜそのような感想に至るのかを理解していただけると思います。彼はアイスランドが生んだ最大かつ最高のロック詩人で、ノーベル文学賞を受賞したアイスランドの文人ラクスネスに次いでの大文豪だと言う人さえいます。上記のブッビにしても、作詞はメガスを師と仰いでいます。そしてメガスの最大のファンとえばビョーク。彼女がシュガーキューブスでヒットを出した後も数年間は、出来る限り時間を作ってメガスのバックコーラスをしていました。 -------------- このアルバムにはアイスランド人が心から愛する名曲の数々がつづられています。実際、アイスランドのカフェで耳にした曲もありますし、ビョークやシガーロスなど、日本でもお馴染みのアーティストの曲も入っています。その中で最初に聴いた時に一番感激したのは(たぶん個人的な思い出や思い入れもあり)スヴェン・ギー・エングラーでした。どうぞこちらでご試聴ください!(小倉悠加) ![]() ![]() |
by icelandia
| 2005-01-19 01:06
| Jazz
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Comments(2)
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ICELANDiaさん、こんにちは。アイスランドのスタンダード曲ですか。僕はアイスランドの音楽を聴いたことが(たぶん)ないのですが、ICELANDiaさんのコメントを読みながら聴いたら、入門としても良さそうですね。「ま」@ロンドン
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こんばんわ。
コメントありがとうございます
ココのブログ素敵ですね。
僕の知らないアイスランドのアーティストが
たくさん載っているので色々と参考になります。
ではこれからゆっくり読ませてもらいます。
コメントありがとうございます
ココのブログ素敵ですね。
僕の知らないアイスランドのアーティストが
たくさん載っているので色々と参考になります。
ではこれからゆっくり読ませてもらいます。