火山噴火の傷跡、ゴーストタウンとなったグリダヴィークの街の今 |
長らくの間、火山噴火の関係で閉ざされていたグリンダヴィークの街が開かれた。たぶん、もう道を閉じて人々をシャットアウトしておく理由がなくなったのかと思う。 随分と修復したとはいえ、街の中にはまだ陥没したままの場所もあり、そんな場所へと続く道は塞がれていた。 民家は普通に建ってはいるが、希望する住民は政府が住宅を買い取るという対策をとったため、カーテンのない家が続き、家の中はがらんどう。半ばゴーストタウンだ。これが昼間でなく夜間であれば、きっと薄気味悪かったのではと思った。とても悲しく切ない。 そんな街の中で屋外写真展が開催されていた。いや、開催されたというような華やかさが伴うものではなく、何が起こったのかを知ってもらうための、経緯を写真として示したといった方がいいだろう。 そこには、レスキュー隊の隊員が撮影したという写真がーーー何枚あったのだろうか。数えてくるべきだった。写真は両面にあったので、結構な数だった。 そこには不安な顔の人々がいて、なんとか被害を食い止めようとする人々がいて、子どもたちを不安にさせまいと試みる人々がいて、平常心を保とうと必死な人々の祈りのような深い思いがその表情からありありとみてとれた。 内容はとてもよかった。天災は必ずあるし、物事は紙一重であることがよくわかる場面が多かった。 住民のほとんどが出てしまったけれど、それでも復活の日を待っている希望も見出すことができたような気がする。この日は、街への道の閉鎖が解除されて初めての週末だった。この時期にこんな場所に来るのはよほど物好きで時間に余裕のある観光客しかいない。というか、たぶん観光客はいなかった。この写真の周囲で聞かれたのはアイスランド語だけだった。 アイスランド人がグリンダヴィクを心配してとにかく見ておきたいと思ったのかもしれない。私の夫はグリンダヴィクに家があった人々がやってきた可能性が高いのではと思うと言っていた。どのような人が来たのかは分からないけれど、とにかく、この街のことをみんな気にしているのだ。大いに。 なんともよく分からない写真だけれど、上の道路の右側に白い煙が見えている。これは噴火した溶岩から吹き出している煙だ。そう、溶岩はまだまだ熱いし、彼らはそんな溶岩を押し潰し、平らにして、その上に土などを持って道路を復活させた。とりあえず通れるようにした。 日本であれば、危険!の一言で人を寄せ付けないだろうし、熱い溶岩をならして道路を作るようなこともまずしないだろうと思ったりした。(小倉悠加 / Yuka Ogura) アイスランドの日常をお届けする小倉悠加のSNS Twitter |
by ICELANDia
| 2024-11-04 07:36
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