映画『惑星ソラリス』の音楽を再構築したダニエル・ビャルナソン特別インタビュー! |
いつもICELANDiaブログにお越しいただき有り難う御座います。 明日からになりますが、アイスランドからの新譜をご紹介できそうです。本日入荷します! その前に、ベッドルーム・コミュニティ・レーベルのベン・フロストとダニエル・ビャルナソンが共作した『ソラリス』が素晴らしいので、このアルバムのことをしっかりとご紹介したいとずっと思っていました。 ベン・フロスト直筆サイン入り Ben Frost & Daniel Bjarnason『 Solaris』 http://icelandia.shop-pro.jp/?pid=40297721 これは本当に素晴らしい内容なのですが、アンビエント・ノイズと、モダン・クラシック(私の造語なのでヘンテコですね!)の融合なので、それをどう表現すればいいかと考えているうちに、制作過程がわかるインタビューが出てきたため、ここにご紹介致しますね。 英語で読んだ時は分かりやすいと思ったのですが、日本語に置き換えたのでどうでしょうか。彼らが同じレーベル仲間であるとか、若干説明が必用だと思われることが抜けているようですが、少しでも何かの参考になればうれしいです。 *** Q&A: Ben Frost & Daníel Bjarnason(元記事) http://alarmpress.com/41253/blog/music-news/qa-ben-frost-daniel-bjarnason/ ALARM press http://alarmpress.com/ original article written by Meaghann Korbel Japanese translation by Yuka Ogura special thanks to Bedroom Community label この記事は英語情報サイトALARMに掲載されたもので、ICELANDiaは許可を得て翻訳・掲載しています。英語記事の著作権はALARMに、日本語訳は小倉悠加にあります。無断掲載、引用はお控え下さい。 Q&A: ベン・フロスト&ダニエル・ビャルナソン 昨年、ポーランドのユニサウンド・フェスティバルの発起人であるマット・シュルツはレイキャヴィク在住の作曲家、ベン・フロストとダニエル・ビャルナソンに1972年のアンドレ・タルコフスキー監督映画『惑星ソラリス』の音楽の再構築をもちかけた。 このアルバムでフロストとビャルナソンのふたりは、全く新しい旅立ちを遂げた。これまでフロストの音楽はダーク・インダストリアルからクラシカル・ミニマルまで様々なカテゴリーで語られ、ビャルナソンの作品はとてつもなく壮大ではあるが計算もされていた。そんな二人にこのコラボレーションは刺激的なものであり、彼らの指南のもと『ソラリス』はふたりの音楽性を微妙なバランスで保つことに成功した。 このサウンドトラックは映画に即興で音楽をつけることから始まった。これらの最初の音のスケッチは、音楽ソフトの力を借りデジタルで再構築され、30人構成のオーケストラで再現することになる。オリジナルのサウンドトラックとは全く異なるとはいえ、彼らの音楽は、人間と機械とアートの実験結果のようなもであり、美しく分割され、緊張感のある、時にとりつかれたような映画の資質を見事にとらえたのである。 この作品は既にクラクフ、ニューヨーク、アイスランド、オーストリアでシンフォニエッタ・クラコビアが演奏を披露しており、ブライアン・イーノとニック・ロバートソンによる映画を利用した素晴らしいビジュアルを伴った。 そんな『ソラリス』のリリースを踏まえて私たちは、アルバムの裏にあるコンセプトやサウンドトラックの遍歴についてを、ビャルナソンと語った。 『惑星ソラリス』のサウンドトラックをリメイクするきっかけは?オリジナルのどこかどうあなたの期待には沿わなかったのでしょう? タルコフスキー映画に新しいサウンドトラックやよりよいサウンドトラックを作ろうと思ったことはなかった。僕らの作品は映画と原作にインスパイアされたということだけだ。スタニスワフ・レムは『ソラリス』をクラクフで書いた。クラクフのアンサウンド・フェスティバルで僕らが『ソラリス』を初演したのが、原書が発表された50周年に当たり、ちょうどその記念になってよかった。 この共作は原書のサウンドトラックになる予定だったということですか?音楽はどのような過程で現在に至ったのでしょう? 当初はそう考えていたけれど、そのアイデアはすぐに諦めた。二人とも映画をスタート・ポイントにして、そこから進むことの方に興味があったようだ。なのでまず、映画を見ながらベンと僕とで即興セッションをやって録音した。そこで全ての音楽を作った。 だから音楽の一瞬一瞬が、映画の何らかのシーンや状況への反応だ。でも、こういったセッションの後、映画を見ることはなかった。今、音楽を聴くと、どの音楽がどこのシーンに呼応してるのか全くわからない。ある意味、僕らはその時点で映画からは離れて、音楽的に何が手元にあるかを見るようになった。そこからはシンフォニエッタがプロセルに登場し、全てが別次元に突入した。 『ソラリス』のレコーディング・プロセスはどのような感じで? 『ソラリス』は2度レコーディングしたと言っていいと思う。最初は即興で音楽が書かれたグリーンハウスで行い、2回目はポーランドのアルヴェニア・スタジオだった。それまでに曲はライブ演奏されていたし、ライブ演奏と同じ心構えでレコーディングした。その後のポスト・プロダクションでいろいろなことを動かしたから、アルバムの音楽はライヴ・ヴァージョンとはかなり隔たりがある。 映画のどのようなアイデアやコンセプトから、曲の雰囲気や色合いのインスピレーションを受けたのでしょう。そしてそれは音楽を作曲する際のプロセスに、どのように反映されたのでしょう? 全ての音楽はベンと僕で映画を見ながら、映画のテンポやペースに合わせて書いた。だから、映画が音楽にもたらしたインパクトは大きい。 音楽的に全く異なるあなたとベンがどこに惹かれ合ってこのプロジェクトを?そういう互いのスタイルをいかに生かしていったのでしょう? ベンとは長年の知り合いだし、このプロジェクトの話が出た時、共作する素晴らしい機会だと二人とも感じた。僕らの音楽性は表面的には異なるけれど、僕らは互いの音楽のファンだし、共通点も多い。例えば、二人とも質感や音質にすごくこだわるし、二人とも音楽の中の理屈ではないものに牽かれる。 ブライアン・イーノの映画を使ったビジュアルの裏にあるインスピレーションは何でしょう?彼は作曲でも何か役割があったのでしょうか? このプロジェクト中、よくブライアンは来てくれた。クラクフでシンフォニエッタとワークショップをやっていた時も彼の姿があったし、初演の時もだ。クラフクに来た当初はビジュアルを予定していなかったけれど、初演する会場が古い映画館で、ステージの背後に巨大な白いスクリーンがあるのを見た時、ビジュアルのないコンサートが空虚に感じた。するとブライアンがタルコフスキー映画を使ってのエレガントなビジュアルのアイデアを出してくれた。ブライアンはそんな風にして関わってくれた。作曲プロセスに実際に加わった訳ではないけれど、前にも言ったように、このプロジェクトの多くの場面を見守ってくれたし、いろいろな意味で影響を与えてくれた。 *** いかがでしたでしょうか。少しでもご興味がわけば、ぜひ音楽をお聞きくださいね! (小倉悠加/ Yuka Ogura) 寒い冬には心暖まるアイスランド音楽を!↓ 自然をアイスランドのデザイナー作品で↓ |
by icelandia
| 2012-03-05 14:33
| アイスランド音楽名盤紹介
|
Trackback
|
Comments(0)
|