| アイスランドのディスコ・キングは世を忍ぶ仮の姿?パットル・オスカル・ベスト盤 |
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アイスランドの音楽に馴染むようになると、ちょっとしたカルチャーショックを受けるかもしれません。 日本にいると(どの諸外国でも)アイスランドの音楽は、イコールでビョークやシガーロスという、いかにも最先端のアーティストを思い浮かべると思います。が、日本の音楽がイコール坂本龍一教授ではないのと同様に、アイスランド国内の音楽を知ると、必ずしもイコールがビョークやシガーロスではないことが分かります。 正直なところ、むしろビョークはまだまだ異端の部類で、国際的に大活躍している人ではありますが、人気投票したらトップ10に入れるかも危ういものです。なにせ異端で、理解できるアイスランド国民がどの程度いるやら・・・。 その一方、アイスランド国内向けの音楽があり、日本と同様に、大衆受けするか、アイスランドの国民性を激しく反映するかのどちらかになります。 大衆受けしているアーティストであり、海外ではほとんど無名なアーティストが何組か存在しますが、そんな中でパットル・オスカルは、アイスランド・エアウエイブスで大受けしたヒャルタリンというグループが彼のカバー曲をヒットさせた関係で、ここ数年、何やら国際的にも名前を聞くようになってきました。もっとも、ヒャルタリンがカバーしたオリジナル曲の演奏者という役所からなかなか抜けられないようですが。 ![]() 金ぴかの衣装に、彼がゲイであることを如実に物語る物腰。レイキャヴィク在住の日本人音楽ファンは、こぞって彼のことを「パットル・オスカル様」と様付けで呼び、ヨン様ばりの人気(って、たった20名ほどでしょうけれど)。私も思わずパットル・オスカル様とお名前を呼んでしまいますが、彼の音楽は理屈抜きで楽しめるし、やはり存在そのものがエンターテイニングです。 しかし、彼は見かけだけではなく、歌は抜群に上手いし、声の感じも柔らかで非常にいいし、曲のメロディのわかりやすさもあり、こりゃ人気が出なきゃウソでしょ、という感じ。 2009年のアイスランド・エアウエイブスのドキュメンタリーである『Where's the Snow?』という映画のトリとしてフィーチュアされていたのも彼で、その姿を見て、ICELANDia音楽ショップに、「映画で歌われていたアーティストのあの曲が収録されたアルバムはどれでしょう?」というお問い合わせもちらほら。 しかし、このアーティストは、外国企業嫌いの音楽レーベルに所属しているため(それでも、中間業者を通せば何とかなりますが)、何とも調べにくく、今回私自身がアイスランドへ行き、やっと見出してきたのがこのアルバムです。 というのも、例えば名門の12Tonarにはこの手のアーティストは置いてないし、Bad Tasteにしても「そんなアルバム廃盤なんじゃいの?」とケンモホロロ。私はそんな彼らに「Pall Oskar様は扱った方が売れるよ」とアドバイス。だって私がすごく捜したくらいなのですから。 前置きが長くてごめん。 Pall Oskar ベスト(CD2枚 +DVD) 『 Silfursafnid 』 http://icelandia.shop-pro.jp/?pid=36222458 *歌詞入り小冊子付き。たぶん、アイスランド語学習者にはすごく役立つのではと思います。 ![]() 今回仕入れてきたアルバムの目玉のひとつが、このPall Oskar様のベスト盤。それもCD2枚+DVD(PAL)のゴージャス・パッケージ。タイトルは『Silfursafnid (Silver Disk)』。ジャケはシルバーのピカピカ服に、シルバーのミラーボール。オスカル様にふさわしい出で立ち! 私が半ば茶化して書いているように思われるかもしれませんが、心底このアーティストは大好きです。さすがにシガーロスやビョークと同線上には語れませんが、彼の存在は誰にも替えがたいものがあります。 ベスト盤だけあり、内容はすこぶる良いです。Disk1は彼のディスコ・ヒットを中心に19曲(1.2時間)収録。ヒャルタリンのヒットで同じみとなった「Þú Komst Við Hjartað Í Mér」も収録。ノリノリでいい感じです。 それにしてもなんでディスクを入れるところの後ろに「安全な」って日本語で書いてあるんだぁ?? しかし彼の本領はDisk2ではないでしょうか。少なくとも私は、Disk2を聴き、彼に対する評価が180度変化してしまいました。 Disk2は24曲(1.3時間)を収録。 こちらの盤は世界中の曲のカバーで、たぶん彼が個人的に好きな曲が多いのではないでしょうか。往年の名曲から、例えばカーラ・ボノフが作りリンダ・ロンシュタットが歌ったアルバム曲やバカラック、ジミー・ウェッブなどの作品等、彼が音楽マニアであろうことを思わせる選曲も。2枚目は非常に趣味がよく、ディスコ・キングとはまた別の顔を見せてくれます。ごく正直に言って、2枚目の方が断然聴き応えがあり、個人的には非常に安心してホっとしながら楽しめる内容。 アイスランドのような狭い国でアーティストとして生き残るには、大衆が楽しんで聴けてドサわまりができる音楽をやるか、好きな趣味の音楽をやりながら音楽教師として生きるか、またはインターナショナルに活躍するアーティストとして成長するか、という選択しかありません。ここで欠けるのは、好きな音楽をやりながらそこそこの生活をするという選択で、これは日本のように人口の多い場所であれば可能ですが、アイスランドだと出来ないのですね。 なので、深読みすれば、Pall Oskarは本来は2枚目のようなアーティストなのではないかと思います。が、これでは趣味がよすぎて酒を飲んで踊れないため、ディスコ・キングという道を選んだのかとも。もちろん彼自身も、ポップで楽しい曲は大好きだと思いますが。声もよく、歌もうまく、音楽的な趣味も非常によく、やはり実力のある人だと、このアルバムを聴いて再認識しました。ホント、2枚目がお勧めです(あぁ、でもこの感想は、私がかつてアメリカン・ポップス大好きだったせいもあるかも)。 DVDはまだ全て見ていない状態ですが、あのフレディ様もびっくりの格好をしたものもあるようで・・・。 いやぁ、アイスランドの音楽って本当に奥が深いと感心。音楽は趣味なので、バランスよく聴けとは決して言いませんが、シガーロスやビョークを聞き込んだ後には、こういったまた別口のアイスランドの大アーティストを聴いても悪くないかと思います。アイスランド国内向けアーティストの大物は何組かいますが、Pall Oskarはとてもいい選択だとベスト盤を聴き、改めて感じました。 興味ある方は地元の音楽シーンを知るという意味でも、ぜひどうぞ。(小倉悠加/ Yuka Ogura) ![]() ビョークのTシャツ等アイスランド土産を放出中!↓
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by icelandia
| 2011-10-27 22:42
| Pops
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