ポピュラー音楽ファンも必聴! アイスランドの伝統・伝承・民族音楽、名作2枚が再リリース! |
7月のアイスランドは、訪れた観光客の数が過去最高の約8万人を記録しました。火山噴火の影響もなく、観光産業が順調なようでよかった。オーロラこそ見ることができませんが、7月はアイスランド観光で最高の季節だと私も思います。 さて、また少し新入荷した目玉のアルバムをご紹介したいと思います。今回ご紹介する2枚のアルバムは、アイスランドのベストセラーの再プレス盤になります。アイスランド音楽ファン、北欧音楽に興味のある方、世界のトラッド・伝統音楽に興味ある方は必聴のアルバムです。 アイスランドでは英米にはない独特のテーストを放つアーティストが少なからずいて、その代表的な存在がビョークでありましょう。そしてポピュラー音楽はその時代の世相・思想や文化を映し出すと言われる通り、やはりビョークやシガーロスが、アイスランドという国の思想や文化を最も鮮明に反映するアーティストであると思います。 アルバムのご紹介前に少しだけアイスランド音楽のお勉強を。 アイスランドには、アイルランドのケルトほど如実で分かりやすい伝統音楽、民族音楽はなく、最も伝統的とされる芸能はリームルというもので、物語の吟唱になります。抑揚を付けて物語を語るため、音楽とは言い難い。語るだけで楽器も使わないし。 アイスランド人は孤島に移植してきた民族であり、ノルウェーからアイスランドに渡る前に、アイルランドで美人を盗んだ話は有名(だからアイスランド人には美男美女が多いという説は、結構納得しちゃいます。アイスランド人は本当にきれいな人が多いし、少ない人口の割にはミス・ユニバース等を多く排出)。そのため、盗んだ美人経由で若干ケルト系の音楽も入っているであろうとも言われます。 アイスランドの伝統音楽と言われる形式に、ふたご歌というのがあり、現在の西洋では、「ハモる」というと3音階を保って演奏(歌う)のが主流ですが、アイスランドで伝統的にはこれが5音階で、聞いてみると、不協和音のまま歌い続けるためちょっと不思議。 それから、メロディが突然止まって終わったり、我々がよく耳にするメロディの進行の仕方をしてくれないので、聞き慣れないと結構戸惑います。逆に言えば、これを聞き慣れてしまうと、「あぁアイスランドだぁ!」という、いわばお国訛りを聞いたようなリアクションにもなります。 伝統音楽を絶やさないようにと、譜面に書き取ってこれを残そうとした研究者が18世紀末から19世紀初頭に存在し、ここにご紹介するアルバムも、その譜面を活用。 同様に、録音機器が出てきた時にアイスランド中を歩き、伝統吟唱のあれこれをコレクションしていき、それを編纂した音源も存在します(この話はまた後日別口に・・・というか、以前書いた覚えがあるかも)。 今回ご紹介したいアルバムは2枚あり、どちらも非常に質の高い作品です。作品自体も素敵なのに加えて、これぞアイスランド!と思える独特のメロディやハーモニーが展開され、ポピュラー音楽を知る上でも大変に参考になります。 もっとハードコア(?)のヤツもありますが、聴きやすさを考えると、やはりここらへんが入門編には最も適していると私は思います。 アイスランド国民に愛されてきたという音楽を聴く度に思うことですが、ホント、こういうのは何枚か聴いておいて絶対に損はないと思います。 hamrahlidarkorinn 『Islensk Podlog』 http://icelandia.shop-pro.jp/?pid=34050868 まずはアイスランドでピカ一と言われる合唱団が歌唱をした、アイスランドの伝統曲。アルバム・タイトルの英語名は「Iceland Folk Songs」これが名盤中の名盤でなくして何なのでしょう! まず、合唱自体にとても清潔感と清涼感があり、好感が持てます。嫌味がなく、とても聞きやすい合唱で歌われる不思議な音階や旋律、ハーモニー。日本でよく耳にする西洋音楽とは一線を画す歌が少なくなく、アイスランドの国の音楽文化の一端を知るに大変適しています。 私事になりますが、私がどこで聞いたのか記憶がなくても「この曲知ってる!」という曲が多く、ここに収録された作品がいかに生活の中に深く入り混んでいるかということを実感。 例えば「Visur Vatnsenda-Rosu」はビョークが歌っていますね。民族音楽とはいえ、その他にもロック・グループが取りあげていた曲などもあり、グループのオリジナル曲だと思っていた私は、これを聞きながら、何度「え?民族音楽を取りあげてたの?!」と驚いたことでしょう。 合唱団としても優秀で、アイスランド独特の音楽性がよくわかる、一枚持っていて損は無いというか、アイスランド音楽が好きであれば、必ずお聞きいただきたい名盤です。 Bara Grimsdottir 『Funi』 http://icelandia.shop-pro.jp/?pid=34056062 こちらのアルバム・タイトルは英語でいうと「Fire」、日本語だと「焰(ほのお)」が妥当でしょうか(「焰」のタイトルを見るとU2を思い出す私・・・)。 タイトルはどうであれ、このアルバムも前述と同じくアイスランドの民族音楽を扱ったもので、こちらは生粋の女性フォーク・シンガーが歌っています。バックの演奏もギター程度でシンプルなものばかり。 このアルバムもアイスランドに伝わる音楽を集めているため、前述のアルバムとかぶる曲もありますが、演奏者が変わると雰囲気も変わり、それも興味深いところかと思います。 シンプルな歌唱で、より民謡(フォーク)っぽいものを求められる方は、たぶんこちらの方が雰囲気的には好きなのではと思います。音楽は個人の趣味なので、どちらがいいということではなく、要は好みの問題であり、できれば両方とも聞いていただければと思います。 どちらもしっかりとした解説付きで、英語ヴァージョンの抄訳はショップの商品説明のところに掲載しました。また、解説のみならず、歌詞が英語に翻訳されたものもあるので、アイスランド人のメンタリティを知る、よき指針になってくれるかとも思います。 正直なところ、アイスランドの人のジョークはかなりシニカルで(私の知り合いがたまたまそうなのでしょうか)、ブラック・ユーモアは私には分かりにくい。それはイギリスのジョークにも結構言えることで、どうも私はあまり馴染めませんが、「知る」ことと「馴染む」ことは別物なので、とりあえずは知ることができただけでも有り難いことです(アイスランド語じゃわからなすぎるので)。 *** 今年10月に最高が決定しているアイスランド・エアウエイブス&オーロラ・ツアーの説明会は8月20日(土)です。詳しくはこちらをどうぞ。(小倉悠加/ Yuka Ogura) アイスランドのトラッドもあります!↓ ビョークのライブ決定!エアウエイブス・ツアー!↓ |
by icelandia
| 2011-08-16 21:55
| アイスランド音楽名盤紹介
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