execitemusic
本レーベルは、Excite Music Store及びモバイルコロムビア上で先行独占展開され、配信される楽曲は、国内で入手が困難な高いクオリティのアイスランド楽曲を幅広いジャンルで集めていきます。
レーベルリリースの第1弾は、ヨーロッパでは名高いアイスランドJAZZを展開、第2弾は、アイスランドPOPS、第3弾は、アイスランドクラブミュージックを展開していく予定です。
小倉悠加
(おぐらゆうか Yuka Ogura)
70年代半ば洋楽に目覚め、単身アメリカへ留学。大学時代から来日アーティストの通訳に従事し、レコード会社勤務を経てフリーに。以来、音楽業界で幅広く活動。カーペンターズの解説の殆どを書いているためカーペンターズ研究家と呼ばれることも。2004年自らアイスランドの音楽を扱うアリヨス・エンタテイメントを設立。ミュージック・ペンクラブ会員。
小倉悠加

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アイスランド音楽業界よもやま話:12Tonarオーナー・インタビュー
 6月に取ってきたインタビューです(遅くなってごめ〜〜ん!)。

 聞き返したら、かなりディープなインタビューになっていました。ディープすぎて、公にするのはどーかという内容も(笑)。
 このインタビューはある程度アイスランドの音楽事情を知らないと、何も理解できない可能性があり、ひたすらごめんなさい。でも、ごく一般的な話は、アイスランド人の置かれている状況として、興味深く読んでいただけるかと思います。

***
痛手を負いながらも堅調なアイスランド音楽業界

 12Tonar(トルフ・トナル)はレイキャヴィクの名CDショップで、店内には居心地のいいソファがあり、CDはすべて試聴可能。試聴しているとコーヒーが出て来て、無線でネットに繋ぐこともできる。で、商品を購入しなくてもそれらのサービスは無料。
 丘の上にあるレイキャヴィクのシンボルとなっているハトグリム教会へのメインの道沿いにあるので、分かりやすい場所にあります。音楽好きの観光客のメッカ。
 レーベルとしての機能もあり、ヨハン・ヨハンソン、ロックロウ、アイヴォール・パルスドッティル等々、質の高いアルバムを出している。


 その12Tonarは共同経営で、ビジネス・サイドを取り仕切るオーナーがラウルス・ヨハネソン。もう一人のオーナーは店を切り盛りするヨハネス・アグストソン。2003年に右も左もよくわからずにやってきた私に、アイスランド音楽のあれこれを教えてくれたのがラウルスだった。
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 そしてこの人、かなりのブラック・ユーモア好きであり、アイスランド人はハード・ジョーク好きという私の印象は、この人からの影響が大きそう。

 Y(小倉):「インタビュー場所はどこがいい?コーヒーくらいご馳走するけど」
 L(ラウルス):「それじゃ、レイキャヴィクで一番高いコーヒーがいい!」
***
 
 というわけで、当然の如く最高級の『101ホテル』へ。誰も使わないから、静かでインタビューがしやすい。あぁ、日本円が強くてよかった(笑)。

Y:昨今のアイスランド音楽シーンと12Tonarの動きについてを聞かせて。
L:シーンはすごく活発だ。新しいバンドも続々と増えている。だから今年のIceland Airwavesは、かなり面白くなると思う。
 現在12Tonarはショップに一番力を入れている。というのも、僕らは一時期デンマークに店を出したり、レーベルを立ち上げてヨーロッパ中にディストリビューションしたりと多くの投資を行ってきた。今でもすごくいいレーベル・プロジェクトはいくつかあるから、体力をつけて、ヨーロッパ本土でやった経験を生かして、また手を広げていきたいと思ってる。
 このまま生き残れなくて、貴重な経験がドブに流れるっていうのだけは避けたい。
Y:現状がそんなにヒドイの?
L: いや、それほど酷いわけじゃない。でも、現在のアイスランドは先が読めない。例えば、本屋のEymundssonがあっただろう。あそこが倒産した。そこで販売していたCDの支払が滞ったままだ。Skifanは倒産しなかったけれど、別会社に買われた時、スキファン・ショップにあった在庫を買いたたかれた。そんな風に先の見通しができない状態なんだ。
Y:それって不公平よね。
L: 不公平だよ。僕も他のレーベル・オーナーも随分とソンをした。でも、仕方ないよ。でもここを乗り切ることができれば、生き残れると思う。

L: でも、伝統的に苦しい時の方がクリエイティブな分野にはポジティブな動きが起こる。こんな時だからこそ気を吐くアーティストも多く、シーンは活発だし、店に関して言えば、旅行客がたくさん来てくれる。それがとても有り難い。収入が途切れるということはないから。
レーベルが協調し合い生き残りにかける

アイスランド音楽業界よもやま話:12Tonarオーナー・インタビュー_c0003620_14155063.jpgY:聞くところによればスメクレッサ(ビョークやシガーロスを輩出したレーベル&ショップ)は上向きだし、あなたのところも大丈夫。Kimi(新進レーベル)は去年からすごいし、Skifanだけがダメって印象だけど。
L:12Tonarがレーベルを休んでいる間に、Kimiが出て来た。タイミングがよかった。Kimiが制作して、12Tonarが売れば互いに利益が出るし、論理的に考えてもいい協力態勢になってる。
Y:12TonarがKimiの作品をヨーロッパやアイスランド中に配給しているってこと?
L:いや、そうじゃない。KimiはMorr Musicで配給している。
Y:でも、アーティスト全員がMorrに属している訳じゃないでしょう。
L:それはね、インディ・レーベルっていうのは本当に大変なんだよ。アーティストはわがままで、まるで幼稚園状態(笑)。みんな予算をあれこれと使いたがる。こんな宣伝もしてもらいたいし、あの楽器も使ってみたいーーみたいな。でも、少しでも利益が見えてくると、「なぜそこに予算を使わなきゃならない?なぜあれが必用なのか?」と煩くなってくる。
 Kimiがアーティストに対してタフにやっていることを願うよ。アーティストは彼を生きたまま食い尽くし、食い尽くしたら、「じゃ、次のところへ行こうか」となる。僕の場合も金が尽きると「バイ、ラウルス」だった。
 だから、ビジネスとバランスをとりながら、もっとクリエイティブなことをやっていければと思ってる。

Y:ここのシーンを見ていると、移り変わりが興味深い。私が最初に来た頃は、ソールのチューレが幅を利かせていて、次に12Tonarが出てきて、その次がKimi。あなたの言う通り、誰かを踏み石にして次へ次へと渡り歩いている感じはありますね。
L:でもスメクレッサは、シガーロスとビョークだけで生き残れる。
Y:それは言えてる。私のショップも、シガーロスとムームのアイスランドでしか入手できない盤は、数百枚売っているし。
L:だからスメクレッサはそれほど多くのアーティストを抱える必用もない。
Y:大所帯にしない方がいい。
L:どちらにしろ、僕のところは多くは受け入れてないけど。

L:もちろんスメクレッサのオーナーの方が僕よりも年上だし、以前はものすごくいろいろなインディ・バンドを扱ってた。彼は彼で随分と赤字を出してきた。
Y:でも結局はビョークが救ってくれるわけでしょう。噂によれば、シュガーキューブスの再結成ライブも、スメクレッサ救済のためだったと聞くし。
L:だから僕らは競争している訳じゃない。Kimiがいろいろとリリースしているから助かっている面もある。スメクレッサも同じだ。僕の携帯があまり鳴らないのは淋しいけど。
Y:静寂を楽しんでいるってことね。
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パーティは終わり、安定通貨を切望

Y:ところで、アイスランド経済全般はどう見てる?
L:悪循環のドツボ状態だ。アイスランド・クローナは国際通貨でなくなってる。現在、一番必要なのは安定した通貨だ。
Y:ということは、EU加盟に賛成である、と。
L:そう。僕はずっと賛成してきた。崩壊前からずっとそう思ってた。アイスランドはヨーロッパだし、僕はヨーロッパ人だと感じてる。だから他のヨーロッパと共同体であるべきだ。なのにいつもアイスランド人は、特別扱いをしてもらいたがる。すごく奇妙な国家だ。
Y:特別扱いって、漁業権について?
L:それもそうだし、特別扱いっていうのは、アイスセイブ(アイスランドが海外に作った銀行口座)が英国とオランダにあっただろう。オランダはアイスランドに、国家として預金の元本を保証しろという。去年崩壊した時も政府の対応なんて、「さぁ、どうしたらいいものか」と、肩をすくめて手をあげただけだ。未だに基本的には変わらない。
Y:でも誰かがお金は持っているのでしょう。
L:金は全部、コカインと売春婦でパーだろう。
Y:超アイスランド的!(笑)

Y:外貨獲得の意味もあり、私も多くの日本人にアイスランドを訪れてほしいと思ってる。ホテルの宿泊代、食費、土産物等々で現地に少しでも外貨が落ちればね。
L:それはすごく有り難いことだ。アイスランド人は海外に出て、横暴な振る舞いをしてきたと思う。経済が上向きだった時のスピーチを聞くと、「僕らは他の人種よりも優れてる」なんていう態度がミエミエだ。
 だから、旅行者が来てくれると、今の僕なんて「どうもお有り難う御座います」だ(笑)。
Y:観光客って本当に大切よね。
L:こんなブッ潰れた通貨を使ってくれて、本当に有り難い。
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Y:去年私が来た時は、銀行国有化発表の翌朝で、国中が5割引セールだった。日本円から見るとね。
L:わかるよ。デンマーク人は財布の紐が固く、何を買うにしても値札を見るけど、最近は違うね。店に入ってきて、商品を持ってササっとカードを渡してくる。ショックだぜ(笑)。この前もデンマーク人と話した時に「値段が安いね。アイスランドでハッピー・アワーだ」と喜んでた。それがスローガンだよ、「お買い物はハッピー・アワー状態のアイスランドで」(笑)

Y:あなたの周囲に、海外で働く必用が出て来た人っている?
L:まだそこまでいってないようだ。税金は上がっているし、いい職が無くなってくると、高学歴で国際的に活躍できる最も能力が高い人物から、国外に流出することになると思う。1990年代に経済危機になったフェロー諸島がそうだった。ある世代がゴソっと海外に出た。そうならないことを祈る。

Y:社会福祉予算のカットは、日常的に感じる?
L:いや、僕は感じてない。僕は福祉関係の恩恵を必用としないからいいけど、必用な人々はすごく影響を受けてると思う。
 アイスランドの社会福祉は恵まれている。だから、劇的に予算をカットされても、それでも結構高い基準の保障が確保されている・・・と思いたい。
 学校なんか、ホント小さなところで削るみたいだ。 ウチには小学生がいるけど、来年になると学校が30分遅く始まり、30分早く終わるそうだ。1時間短縮して、人件費削減だろう。

自業自得からの高価な学びとは・・・

L:ところで、2週間前に息子のサッカーの全国大会で郊外へ行った時に見たものが・・・大量のキャンピングカーだった。
Y:キャンパーって高いのよねぇ。
L:そう。夏の間に5回程度しか使わないものに、大枚を叩いて、外貨でローンを組んで、それで支払えなくなったと言われても、同情できない。
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Y:あなたは崩壊を何となく感じていたの?数年前に話した時「僕が小さな時は貧しい国だったのに、今の暮らしはクレイジーだ」と言っていたのを私はよく覚えていて、だから崩壊というか、何かが間違っているというのを気づいてたのかと思って・・・。
L:(10月の経済崩壊前の)2008年1月にデンマークの店を畳んだ。野望を抱いて始めたことだったし、学びは多かった。本来なら、現地の誰かと組んでやるとか、街外れにまず出店して、長期戦でそこから店を育てるべきだった。でも僕らは危険を冒して立ち向かった。ベストは尽くしたさ。
 1月に店を閉めた後、12Tonarに関するあらゆることをスケール・ダウンした。現在社員は3名だ。一時期はアイスランドとデンマークで9名いた。会社用の車も無くした。必用があれば、僕の車を使ってる。
 そういう意味では、予感はあったね。
Y:残ったのはあなたと、ヨハネスとエイナール。
L:そう、最初の頃の顔ぶれ。
Y:『そして3人が残った(and then there were three)』ジェネシスってことね(笑)。全盛期には9名もいたんだ。
L:オリジナルの3名に、アイスランドに2名、デンマークに4名。あれは僕が海外に出て、すごく高いMBAを買い、毎晩ロブスターとキャビアを食べてたようなもんだ。
Y:でもMBAならいいじゃない。コークと売春婦で消えたっていうのじゃないんだから(笑)。

L:おかげさまで勉強になったよ。アイスランドと縁が深いし、デンマークは海外に出店する場所としては適切だと思ってた。でも、デンマークのメンタリティは想像以上に全く異なっていた。中に入ってみないと分からないものだね。
Y:アイスランドはデンマークの植民地だったのに、そんなに違うの?
L:全然違う。アイスランド人っていうのは、世界を変えたがるんだ。良くも悪くも。でも、デンマークってすごく保守的なんだよね。自分達のやり方を絶対に曲げないし。
Y:アイスランドって小国でしょう。夢が持てるよね。有名になりたければ、すぐに有名になれるし。でも、それが世界に通用すると思ってはいけない。井の中の蛙ってやつで。
L:その通りだ。でも、無知がアイスランド人の強みでもある。僕らは世界がいかに広くて、成功するのが難しい場所か知らない。だからとりあえず外にやってみる、という無茶ができる。
Y:日本でやれば?アンテナ・ショップがあるといいなぁとずっと思ってるのよねぇ。
L:ユーカ、やる?
Y:ラウルス、お金出す?
L:あり得ん!(笑)。

最高級のコーヒーを私が出したので、翌日は彼がランチをご馳走してくれることに。そして連れて行かれたのが、回転寿司(!)。

 「日本人と寿司を食べるって、いいアイデアだろう(笑)」

日本人の私から見ると奇妙なものが多く、カマンベールとマンゴ入りなんていう巻き寿司は、一生に一度の体験で充分。でも、やさしい心遣いにはひたすら感謝。

一時期は本当に忙しくなり、店頭に出る時間が皆無になってしまったラウルスも、今はまた時々店頭に出ているので、見かけたら声をかけてあげてください。
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by icelandia | 2009-10-02 14:56 | アイスランドってどんな国? | Trackback | Comments(2)
Commented by daigo at 2009-10-03 19:50
小倉さん、こんにちは!
すごくディープなインタビューですね。大学の講義でもここまで生々しい話は聞けません!12tonarから徒歩1分のアパートに住んでいるので、よく通っているのですが(コーヒー飲めるし)、こんな事情全く知りませんでした。考えさせられます。せめて消費に貢献してきます!
Commented by icelandia at 2009-10-04 00:04
daigoさん、 現地の人の方が面白く読めるインタビューかもしれませんね。来週お会いしましょう! 
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