スクイーズ

 土曜日にアップして以来のご無沙汰です。「3日に一回アップ」を目標として掲げているくせに、けっこう間が開いてしまった。正直スマンかった。

 実はこの間、仕事で島根県に行ってたのだ。取材地は「どじょうすくい」こと民謡・安来節でお馴染みの安来市。ちなみに安来節は「やすぎぶし」と読む。つい「やすきぶし」と言ってしまうけれど、あれは間違い。

 そんな安来節で有名な場所だけに、当然の如く山陰本線『安来』駅前には、このような像が立っていた。



 作品名がスゴすぎる。その名も『すくい愛』! 愛は地球を救う、略して「すくい愛」。むかし「かがみ愛」というロリータアイドルがいたが、向こうがかがむなら、こっちはすくう、だ。知らなかった。どじょうすくいの基本理念が「愛」だったなんて……。鼻に5円玉を貼りつけるというアヴァンギャルドにもほどがあるダンススタイルは、きっと人間どうしの「御縁」を表現しているに違いない。知らんけど。

 安来節の発祥には諸説ある。

 ひとつは「マジどじょうすくい説」。出雲では、盆踊りのあとに、川でどじょうを掬うのが習わしになっており、どじょうを掬う真似をすることで秋の訪れと豊年豊漁を喜ぶという説だ。もうひとつは「土壌すくい説」。この地は砂金が採れることで有名で、土壌(つまり砂金)を掬う真似をすることで繁栄を招かんとする説。さらに、「もともとは、うなぎ説」。出雲屋という屋号の鰻屋が、客寄せのため「うなぎすくい」を披露していたものが、なんかの拍子にどじょうになって、そのまま当地の名物レイブとなった説。

 僕は取材のナビゲーションをしてくれた地元出身の青年に尋ねてみた。「どの説が本当なの?」。ところが青年は「さぁ」と、つれない返事。なんの興味もなさそうだ。訊けば、「生まれ育ったこの街で、一度もどじょうすくいを見たことがない」という。それ以前に、どじょう自体を見たことがないらしい。

「でも、川でどじょうが獲れるんでしょう?」
「見たことないっスねぇ。鯉ならいますけど

 愛じゃなくて、コイかよ! 彼はそんなことよりも、地元に一軒だけあるモスバーガーに興味津々だった。モスバーガーは確かにめちゃめちゃ美味しいけれど、全国どこにでもあんじゃねーかよ……。で、結局、地元の名産品を口にすることなく、我々はモスバーガーで食事をした。せめて安来店だけでも「どじょうバーガー」を置いててほしかった。

 日本中で知らぬ者がいないほどポピュラーな安来節も、地元の青年の心をも掬うには、さらなる愛が必要なようだ。

追記:取材中、地元では有名だという自称「ルパン三世」なるおっちゃんがずっとついてきて、ものすごく困った
by yoshimuratomoki | 2004-09-09 19:34 | Trackback
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街で見つけたイイ湯加減の物件を紹介してまいります。


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【吉村智樹のプロフィール】

吉村智樹
(YOSHIMURA,Tomoki)  
大阪市在住の放送作家/フリーライター。

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最新著書は『VOWやもん』(宝島社)。

著書に『吉村智樹の街がいさがし』(オークラ出版)、『女優魂』(ゴマブックス)、『VOWやねん』『VOWでんがな』(宝島社)、『まぬけもの中毒』『ビックリ仰天! 食べ歩きの旅』(鹿砦社)、『DISCナウ!vs.レコードやくざ』(メタブレーン)などがある。

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