ワシ等は、目に見えてるものだけに囚われて生きていることが殆どであろう。
土地の境界線、預金高、女・男のスタイル、車、食い物……。手に触れるもの全ての価値観に……一喜一憂しているだろう。
縦、横、高さの3次元に生きてると思い込んでいるのだから、仕方がないといえば仕方がないが……、目には見えない「時間」を入れただけで、そこは4次元になる。
目には見えないんだから、「時間」は存在しないというヤツはいない。
では、「愛」や「憎しみ」や「嫉妬」は? やはり目には見えないが、誰しも感じている。これは一体、何次元の世界だろうか?
誰しもが知っている、「七色の虹」。
太陽の光は、さまざまな色が連続して含まれているが、普段の人間の目に見える可視光線は、そのほんの一部でしかない。中学校で習っただろうが、たまたま太陽の光が直線に飛んできて、夕立などの後、空気中に残留する水滴に光が当たり、屈折した結果、人間の目に七色の光として見えるのだ。
いくら太陽系にロケットを飛ばしても、人間が目で確かめている宇宙は、ほんの一部だけにすぎないはずだ。
今、世界の理論物理学の世界では、アインシュタインの相対性理論の4次元の世界から進んで、10次元の世界まで論じられているのだ。いわゆる、超空間理論というヤツだ!
ワシは別に、理論物理学者じゃないので、数々のノーベル物理学賞を取得した博士たちと交流をはかり、研究している、ミチオ・カクという物理学者が書いた、一般向けの本を読んだだけだ。
古代ギリシア哲学の時代から、人間が思い込んできた空間の認識は今や崩壊しつつあるのだ。何人かのノーベル物理学賞を受賞した学者たちのあいだでは、実際に宇宙は、高次元空間の中に存在しているかもしれない、という認識が徐々に広まっているのである。
人間の宇宙観大革命が始まりつつあるのだ!
かつて、超空間理論というと、カルツァークライン理論、または、超重力理論と相場が決まっていたらしい。しかし今は超空間理論の中で、最も進歩した形式が超弦理論と呼ばれる理論だそうだ。この理論では、10次元の高次元空間まで厳密な数を予想しているのだそうだ!
つまり、今までの縦、横、高さの3次元に、「時間」の1次元を加えた4次元の他に、あと6次元もの空間が存在するというのである。
勿論、わしは理解できないが……。ワシ流に曲解すれば、理論物理学がようやく、「般若心経」の世界に近づいたり、遠ざかったりしているような気がするのだ!
勿論、SFの世界である、パラレルワールド、タイムスリップも今や理論的には存在するのである。
ならば、「愛」という摩訶不思議な人間の世界を、物理学者に数学的に数式で表してくれ! と言ってみたくもなる……。
ワシはへそ曲がりな俗人であるが……。ただ、はっきり言えることは、物理学の世界では、過去と未来の空間が同時に存在するというのは、当たり前のことになっているのだ!
そこで考えてもみねェ! ワシ等のまわりは、目に見えない幽霊のほうが遥かに沢山存在してると思わねェかい! ワシ等は幽霊に取り囲まれて生きてるんだぜ!
「愛」という幽霊、「嫉妬」という幽霊……勿論、霊界が存在することは理論物理学的にも正しいのだ! 先祖の霊、テレビ的な興味半分の霊、真面目な指導霊など様々な幽霊がいる。
ワシ等はよく、生きてるんじゃねェ、「生かされてんだ!」と言うが、実際に目に見えない霊に導かれているのかもしれないし、あの世の指令で生かされ、殺されているかもしれないんだ!
NASAの主任研究員からメリーランド大学の教授を経て、現在、神奈川大学工学部の教授である、桜井邦明氏は「宇宙には意思がある」という著書を書いている。もし、宇宙の中心を神と考えるならば、その神に人間は生かされ、殺されていることになるわな! だから、足掻いても仕方ねェ! と言ってしまえばそれまでだが……。
逆に、宇宙から見れば、バクテリアの一瞬のまばたきほどの小さな人間が、宇宙の果てを考え、見ようと努力していることの凄さは一体なんなのだろう? これも宇宙の意志だと教授は言ってるが……。
そうなると人間て、凄え生き物なんだと思わねェか? 殺し合いをしてる場合じゃねェぜ!
まわりの幽霊たちを認め、折り合いをつけながら、ただ目に見えているものばかりを追わずに、ことある毎によく言われる、「心」という……高次元の世界を真剣に見つめるこったァ!
「心」は10次元空間にまで広がる深さがあるんだぜ! 人間が作り出してきた、数々の芸術作品の中に込められた、目には見えない「心」の世界を感じるだけでも、凄い次元空間だぜ!
心・心・心
しかし、ここだ! 若者たちよ! 簡単に「心」というが、本当に「心」というヤツと向き合ったことがあるのかね?
ちょいと質問するが、「心」って、人間の体のどこに存在するんだ?
「心」という臓器はどこにもないぜ! なのに、人は心が安らぐと書く、「安心」を求めているのだ! 3億円当たったら、「安心」だ! 課長から部長になったら「安心」だ! 子どもが医者になったら「安心」だ! 馬鹿か!
「安心」という、凄い世界を得るために、御釈迦様がどれだけの苦悩と、煩悩を克服したか、そしてある日、突然、明けの明星の光の下で、素粒子ほどに分解された己が、一瞬という永遠の中で、万物の中に溶け込み、悟り……「安心」を得たというのだ! ワシにもわらん!
ワシも悟りや安心からは程遠い俗人だから、いまだに人間が絶対に避けられない「死」すら、本当には実感していない!
「安心」を得るには程遠いんだ! しかし、世の中の人間全てが、その「安心」を求め、足掻き、殺し合い、蹴落とし、憎悪し、つかの間に愛し合い、オルガニズムを求め、金を追う。安心したい! 安心したい! と足掻けば足掻くほど、「不安」に駆られ、自殺までしてしまう。本末転倒そのもの、喜劇のような悲劇を演じているのだ!
まぁ、そこまで人生にマニアックにならなくとも、ある程度、己を許し、他人を許し、己を削らない程度に、他人にも施し、家族を愛し……たったそれだけが難しい世の中になっている!
世界、日本、地域社会、家庭、順に壊れ、今、個人が壊れつつある!
ならば、逆に、個人から立て直していかなければならんだろう!
どうする? マスコミに載る猟奇的殺人事件は、視聴率と同じで、100万世帯のチャンネル選びを100軒ほどの世帯に無作為に設置した器具で視聴率が測れるように、10件の猟奇的事件の裏には、10万件の猟奇的殺人の可能性が秘められているということなんだ! 恐ろしい事態が進行していることは確かだ!
自分たちの身のまわりには具体的にまだなにも起きてはいない。しかし、ヒタヒタとエイリアンが近付いて来ているのはなんとなく感じている。それはちょうど、大地震が何時おきてもおかしくないと、感じているように! だからといって、防ぎようがない! せめて、心の準備だけでも! と、此処にでも「心」というヤツが出てくる!
さて、さて、若者たちよ! この辺で「心」というヤツと真剣に対面する努力をしてみようじゃねェか! 心、心、心! いくら念仏しても、見えてこねェ……。
しかし、己の嘘は己の心が知っている!
親からも、幼稚園、小学校、中学校、大学、どこからも、「心」という高次元空間を手探りでもいいから教えられてはこなかった!
道徳、法律、規律、倫理、そんな中には、「心」はとても納まりきれない高次元の広がりがあるのだ! だからこそ、天才たちは音楽や絵画や詩で、「心」の一片でも表現しようと頑張ってきたのだ!
御釈迦様はそんな、高次元の「心」の無限の空間を、己の手の平の上に載せて見せたのだ! しかし、見つけた、悟ったと思っても、ちょいと油断するとそれは消える! 御釈迦様からは消えなかったんだろうが……。後の高僧たちはそれを消すまいと、必死にお経という書物に書き記したのだ。
キミたちにお経を読めとはいわないが、せめて、見えない幽霊たちに手を合わせることぐらいは覚えた方がいいと思うぜ。その幽霊はお前たちのご先祖様がわかり易いだろうから、その辺からまず手を合わせ、己のエゴイスティックな願い事でもいいから、まず手を合わせ、幽霊たちと御対面するこったァ!
それが己の心と対面するということだ!
そうすりゃ、おのずと、ワシもそうだが、己の卑しさ、ずるさ、卑怯さ、愛情、正義感、様々な矛盾が見えてくるぜ!
間違いなく、誰であれ、お前たちの背中や肩に、幽霊の1つや2つは乗ってるんだ。そして、誰の心も宇宙の中心の神と繋がっているのだ!
何故って、絶対に自分の心には嘘をつけめェ!
その心を大切にするこったァ!