山村幸広の一日、一グラム

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「ラシュエット 西麻布」 4月15日
 ワインという酒は色々な意味で奥深い、底なしの知識を要する飲み物である。普通、味は「旨い」と「まずい」に大別されるがワインは一筋縄ではいかない。語れない。何を隠そう小生もそれを語れるほどの知識を持ち合わせてないかもしれない。しかし、どうゆうワインが旨くて、どの味が自分の好みかは分かってきたようである。ワインは非常に複合的な楽しみをもたらす酒である。これは他の酒にはない。

ワインは、
1、どの畑(地方)で取れる葡萄(種類も含む)で作るか
2、その葡萄を使って誰が作ったか
3、それは西暦1○○○年に作られたものなのか

 という情報をラベルに表示してそれを見て選ぶ。日本酒やビールと大きく違うのは3番の年が入るところ。他の酒は造り手が、毎年同じ味に作り上げる。ワインは違う。その年の味はその年の葡萄の味で決まる。一般的には晴天が多く、日中と夜の気温変化が大きい年が良い年といわれている。要するに出来上がりの味は、「神が決める。」 よってワインの場合は、この年の○○(産地)というふうに必ず紹介される。それは古ければ良いという事ではない。例えば、今飲み頃のスーパーイヤーであるボルドーの1982年物と1981年物のボルドーを比較すると、同じワインが約2倍ほど、1982年の方が高価な場合が多い。(81年は決して悪い年ではない。ラツールなどはかなり旨い。)であるから泡盛の古酒の何年寝かしたという考え方とは根本的に違う。

 また1~3までが同じワイン、要するに同じワインでも、それを何年後に飲むかで味が違う。これも時間をおいた熟成感を愉しむ場合と、そこそこの熟成感とフレッシュさを愉しむ場合によって10年から40年程度の飲み頃の期間がある。ワインは時間と共に味と色をかえて飲み手ごのみに変化していくのである。値段も変える。ワインはこれが恐ろしい。しかし何十年の保存料は払う必要がある。また開けた後の時間の経過によっても味が変わる。いわゆる「ワインが開く」という言い方をする。そして、白ワイン、赤ワイン、ソーテルヌの大別があり、カベルネソービニオン、ピノノワール、メルロー、シラー等の葡萄の種類(これは畑の地方でわかるが)に1~3の時系列を掛け合わせ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、アメリカ等の国々を更に掛け合わせれば、その数、味の種類はもう天文学的な数字になるのである。そろそろ小生の好きなワインを紹介させて頂きたいと思うが一番大切な事は色々飲む事と、適正な価格で旨いワインを飲ませてくれる店(ソムリエ)を探す事である。

 「ワインはボルドーに始まって、ブルゴーニュに嵌って、ソーテルヌで壊れて、オールドシャンパーニュに行き着いて、身を滅ぼす。」と小生に語ったのは、ラシュエットの武居代表である。御自身がワインの収集家。趣味が講じて集めたワインが20000本。そしてワインの頂点の店、「高輪ラシュエット」を4年前に開店させた。それは高輪のマンションの、2階の一室。ご主人の父の歯医者を改装して開店されたそうであるが、看板も何もない故、普通は店がわからない。最初この店に出入りを許されたのが3年ほど前。「夜中の3時までやっている店で、夜な夜な東京のソムリエがワインを飲みに集まる場所です。」と紹介された。このお店を一言で語れば、最高級のワインを最低価格で提供できるお店である。こちらで色々な歴史的ワインを頂いた。特に記憶が舌に残っているのは、シャトーラフィット1970とディケム1918である。これは人生の財産である。ワインは飾る物でなく、飲む物である。そして味を追求されて「高輪ラシェット」は4室の個室で完璧なフレンチのコース料理とワインを提供する「高輪ラミューズ」に生まれ変わった。約1年前である。素晴らしいお店であるが何故か足が遠のいてしまっていた。そして昨年、いわゆるラシュットは、西麻布にオープンをされた。西麻布といえば何十年と東京の客人にワインを提供されてきた「T」さんがある。あえて西麻布で勝負したのだろうか? 昨日、「西麻布ラシュエット」にお邪魔してきた。素晴らしいワインとかなりレベルの高いお料理を頂いた。こちらは3時までやっているようなので、今後も前の高輪時代の様に、宴のあと寝酒によれるお店である。ワインもサービスも素晴らしいがお料理が素晴らしかった。京都の朝掘 筍を皮ごと弱火で2時間焼き上げた物を塩とすだちで頂いた。これは旨い。旨すぎる。生意気にも申しあげた。「この料理を大切にして欲しい。これはワイン屋だからできる。和食屋さんがこれを出したくても出せない。和食屋が出せば、腕を使ってないといわれるだろう。フレンチ料理店が出せばソースを使う。この旨さは塩とすだちが一番に決まっている。ワイン屋はあくまでもワインが主役。こうゆう素材で勝負する料理屋が少ないのでこれを続けて欲しい。お客さんは絶対に離れない。」きっと素晴らしいワインを愉しむ店として西麻布、いや東京で定着するであろう。何名の方をご招待したが、ワイン好きの方にはたいそう感謝された。またその方々は小生よりも通われている。

 今朝、メールボックスを開いたら、ラシェットからお知らせが届いていた。「銀座に4年前の、高輪ラシェットを再現します。」「高輪ラミューズ」を少し休まれて、スタッフも移動して再現されるそうである。多分、素晴らしいお店になるのであろう。「高輪ラシェット」のイメージを小生だけでなく、多くの常連さんが引きずっていたのであろう。

 しかし小生は基本的に銀座より青山、六本木、西麻布あたりが拠点なので、当分は、「西麻布ラシェット」に落ち着きそうだ。限りある人生で飲めるワインはそんなに多くない。50年間、毎日一本飲んでも20000本も飲めないのである。

ワインの深さに対して人生は短すぎる。

山村幸広

PS 以前ご紹介した「ゆたか」の河村太郎が、銀座7丁目にステーキハウス「かわむら」を4月17日に開店させると知らせが届いた。

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  • by yamamura2004 | 2004-04-15 18:54 | Trackback(1)
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