山村幸広の一日、一グラム

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「河豚」 六本木 味満ん 12月21日

 河豚は大阪である。そう思っていた。消費量も大阪が圧倒的に多いし、河豚屋も圧倒的に多い。大体、関東の人が「鯛はうまくない」と言うように、あっさり目の河豚が好きだとも思えなかった。関西の人はほとんどが家で河豚を食べた事があるが関東ではそうではない。よく、「河豚は初めて。」という人がたくさんいる。

 我が家では小さい頃、鍋は「アンコウ」であった。よく父親が、「河豚は高くて中々、買えない。」だから「アンコウで我慢する。」と。たまに儲かった時に奮発して河豚が家の鍋に登場していた。まあ年に2、3回といったところである。現在は養殖物の河豚はアンコウと値段が変わらない。子供の頃はそんなに河豚もアンコウも旨いとは思わなかった。確かに卵と海苔がいっぱいかかった雑炊は旨かったので、2、3口食べると、雑炊までテレビをみて待ったもんだ。そして父親が自信たっぷりに仕上げる雑炊を4、5杯食べたものである。

 六本木に「味満ん」あり。河豚好きの関東人であれば、誰でも知っているであろう。しかし、小生は味が同じでも東京と大阪は、河豚は倍ほど値段が違うという錯覚に陥っていた。よって河豚の旨いのは大阪で食えばよいと思っていた。しかし皆が絶賛するその河豚を一度と思い、機会があって行って来た。

 全てにおいて旨かった。完璧であった。味だけではない。店の雰囲気、サービス。なにもかも良い店である。まず最初にヒレ酒。おかみさんが丁寧にヒレを酒となじませてくれる。これが旨い。いやあーーー、旨い。河豚刺しは太めに切られて量もたっぷり。ポン酢と、もしよければと出していただいた、肝あえ。小生はポン酢で十分である。その方が河豚が旨い。このあたりが関東のお客さん向けの知恵である。前にも紹介したが、京味さんが、白身の刺身を、かわはぎの肝和えでだされるのと同じである。関東の人はあっさり系の味がイマイチ得意ではない。皮と湯引き。これが旨い。わけぎと、しそが刻んでまぶしてある。この皮と湯引きだけで酒を4合は飲める。そして白子焼きがなんとも旨い。白子のまわりになにやら下味がついているようである。そしてから揚げ。これが、本当に、本当に、本当にうまいんでやんす。よく「カラッと揚がって、中はふんわり」と言うが、言葉で聞いた事はあるが食べた事はなかった。本当に外側も、中側も最高です。アラのところがもうたまりましぇん。そして鍋。身のあたりをかるく茹でて頂く。いやーーー旨い。そして最後のお待ちかねの雑炊。これの為に河豚鍋はある。雑炊を食べないのであれば、鍋で食べる必要はない。刺身か焼きかから揚げで食べればよい。その雑炊。贅沢の極みであるが、「白子雑炊」を注文する。雑炊に白子がまぶしてあるこの雑炊。味加減、卵の加減、塩加減、ベスト、ベスト、「人生のベストオブザ河豚雑炊」である。借金してでも食べたい。(書いていて今もうすでに唾液が口の中で充満している。) もうお腹が一杯だったのに、2杯食べてもまだ食べたい。もう胃がはちきれてもいい。だからもう一杯と思ったが、もうなかった。悲しかった。一緒に出された、ぬか漬けがこれまた旨い。関東の漬物をバカにしてはいけない。いやーーーー旨い。デザートのいちごもついでではあるが旨かった。

 全部旨い。一つの事を追求される料理人は、なにを出しても旨いのである。逆を言えば、中途半端な料理人は何を食べても中途半端な味なのである。六本木で20年以上の伝統あるお店に恥じない、まさに、六本木に「味満ん」あり。東京に「味満ん」あり。日本に「味満ん」あり、よって世界の「味満ん」である。

 夏はもちろんお休みのこの店であるが、食べごろは白子の加減からいって3月末日あたりだそうだ。(ちなみに河豚漁は4月29日までであるそうだ。)

 行ってよかった。もっと早く行けばよかった。知ってよかった。もしこの店を知らない人生を考えると怖い。

山村幸広

P.S. ユーザーの皆様、今年は毎度、お読み頂いて本当にありがとうございました。年末年始は休暇に没頭させて頂きやす。よって次回の更新は年明け、1月4日とさせて頂きます。Merry Xmas and 良い御年を。来年も宜しくお願い申し上げます。

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  • by yamamura2004 | 2004-12-21 18:11 | Trackback(4)
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    Tracked from でんちゃんのベンチャンへの道 at 2004-12-24 18:42
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