東京のアート、展覧会、映画、ライヴ、イベントなどの情報を発信 立川直樹責任編集 TOKYO ART PATROL ~東京アートパトロール~

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立川直樹Profile
1949年生まれ。TAP編集長。
60年代後半からメディアの交流をテーマに音楽、映画、美術、舞台など幅広いジャンルで活躍するプロデューサーであり、ディレクターである。
アートの分野においては数多くの展覧会の企画・プロデュース、オーディションやアワードを通じた新人の発掘活動などを行ってきた。
「Audi MUSIC meets ART」や東京都現代美術館「MOT THE MUSIC」など音楽と美術といった複数のフィールドにまたがるメディアミックス型イベントプロデュースの第一人者でもある。
また森永博志氏との共著である「シャングリラの予言」(正・続)では、アート、エンターテイメントに関する膨大な知識に裏打ちされた独特のライフスタイル観を世に問い、都市生活者たちに大きな影響を与えた。

桐朋学園芸術短期大学教授。

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“美の巨人”の塊のようなものがワタリウム美術館の全体に宿った ~ルイス・バラガン邸をたずねる

来年の1月24日まで青山のワタリウム美術館で開催中の展覧会<ルイス・バラガン邸をたずねる>は、そのアプローチと全体のまとめ方、会場全体に漂う雰囲気を総合していくと、大きな美術館から小さな画廊まで含めると恐らく100は軽く超えるであろう東京で開催されている展覧会の中で最もユニークな魅力を持っていると思う。
メキシコを代表する建築家の1人で、独特の色、抽象絵画のような壁の構成、水や光を駆使して作られる庭など、近代建築のイコンとして世界中の多くの人々に愛されているルイス・バラガン(1902-1988年)の邸宅をそのままワタリウム美術館の中に再現してしまおうとう大胆な試み。ベッドやテーブル、椅子などのオリジナル家具やアンティークなど“バラガン邸”に今も遣る沢山の品々がメキシコ・シティのカーサ・ルイス・バラガン財団の特別な協力によって運び込まれ、国際的に活躍を続けている妹島和世+西沢立衛/SANAAは会場の中に漆喰の白壁や、十字架の形のスチール製の窓枠まで造ってしまったが、関係した全ての人々の思いや苦労は見事に結晶し、会場にいると、本当に自分がいつの時代のどこにいるのかわからなくなってしまう空間が出来上がったのである。
少し具体的に会場構成について書いておくと、2Fはグアダラハラ時代からの写真が展示されたLIBRARYに、椅子とテーブルが置かれGARDENへと続き、バラガンが描いたドローイングが飾られているLIVING ROOMに、バラガンが仕事をするSTUDY ROOM。3Fはバラガンに影響を与えた友人のチューチョ・レイエスの絵画作品が“バラガン・ピンク”と呼ばれるピンクの壁に飾られているDINING ROOM。4Fは音楽が好きで、どの部屋でも音楽を聴けるようにしていたというバラガンの使っていた再生装置も置かれたMAIN BED ROOM。実際、バラガン邸に並んでいたものをそのまま持ってきたという本を並べた本棚なども含めて、ルイス・バラガンという類い稀な才能と鋭敏な感覚を持ち合わせてきた“美の巨人”の塊のようなものがワタリウム美術館の全体に宿り、ふとバラガン自身が現れるのではなくかというような気分にさえさせられてしまうが、館内で見ることの出来るハイビジョンで撮影されたバラガン邸やバラガンがデザインした公園などの映像も不思議なトリップ感で見る者を静かな酔いに誘ってくれる。
その映像の中に出てくるバラガンの言葉がまた素晴しく魅力的。会場内にもパネル化された言葉が飾られているが、「人は自分の隠れる所、閉じこもる場所、孤独になれる場所を持っていなければならない」と考えていたバラガンが1948年に完成させ、亡くなるまでの40年間を過ごした邸宅は、時空を超えて東京に出現し、いろいろなことをそこを訪れた人に語りかけてくる。
「私の家は、私の心の避難所です。冷ややかで、合理的なだけではない、心を揺り動かす建築なのです」や「私は“感情的建築”というものを信じています。人間にとって、建築がその美しさによって心を動かすものであるということが非常に大事なのです」といった言葉は、まさに一つの哲学。それが見事なまでに反映された真にクリエイティブな展示は、絶対的満足を訪れた人に与えてくれる。
(N.Tachikawa)

ワタリウム美術館「ルイス・バラガン邸をたずねる」
2009年9月9日(水)- 2010年1月24日(日)
http://www.watarium.co.jp/exhibition/0908/index.html
撮影:青木登/新潮社写真部
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by tap2007 | 2009-10-26 22:43 | 今、見たいアート | Trackback | Comments(0)
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