
昨日もちょっと書きましたが
年末に新宿TSUTAYAに行ってきまして
“カルト”の棚からごっそり10本ほどレンタル。
年末年始はどっぷり
サブカル底なし沼の映画生活でございました。
期せずして大当たりをいっぱい引いちゃいましたので
ここしばらくは誰も知らなそうな映画が続きますが
どうかお付き合いのほどをよろしくお願いいたします。
この『ハネムーン・キラーズ』という映画
DVD化もされているので有名なのかもしれませんが
私は一切予備知識なし。
完全ジャケ借りでございます。どんなジャケかと言いますと
黒い下着姿の風船デブ女にエロい目をした毛深い男が後ろから迫っている構図。隠しようもない変態臭がプンプンと立ち込めております。
ろくにストーリーも読まず、勘だけを信じ即レンタル。
見てみたらまぁこれが・・・
恐ろしいほどの傑作じゃあーりませんか。雑誌の文通欄を利用した結婚詐欺&殺人強盗の話で
40年代にアメリカで実際に起こった事件をもとにしております。
主人公のマーサはデブでドブスで性格も最悪の行かず後家看護婦。
友人の勧めで文通欄に応募してみたら
返事を送ってきたラテン系の色男レイに一発でハマってしまうんですな。
これがまぁ、よくある結婚詐欺師でありまして
金を搾れるだけ搾り取ったら、ハイさよならよ、という。
しかしマーサは一歩も引かず
それでもいいから別れないでくれ
詐欺の片棒でも何でも担ぐからと
レイの妹という設定で、次々とオールドミスたちを騙していきます。
しかし目の前で最愛のレイと女たちがいちゃつくのに我慢できず
嫉妬の炎を燃やし、女たちに毒を盛ったりしちゃいます。
レイの方も最初はただマーサを利用してる感じなんですが
よほどあっちの方の馬が合うのか
彼女を捨てたりせず、最後まで地獄の道行きを共にするんですね。
トリュフォーが「最も好きなアメリカ映画だ」と言ったとか
マルグリット・デュラスが「私の知る限り最も美しい愛の物語」と言ったとかは
後から調べてわかったことですが
70年の映画なのに白黒で撮られていることとか
監督のレブード・カッスルがこれっきり映画を撮らなかったこととか
マーラーの音楽がミョーな使われ方してるとことか
素人っぽいけど異常に迫力のあるカメラワークとか
確かに“カルト映画の古典”と呼ばれるにふさわしい要素が揃っています。
シリアル・キラー同士の純愛。『俺たちに明日はない』の影響があったのかなーとか
『ナチュラル・ボーン・キラーズ』の元ネタになったかもとか
いろいろ想像は膨らみますが
日本人なら、この映画を見て思い出さずにはいられない事件があります。
和歌山毒入りカレー事件。あの事件があんなにスキャンダラスだったのは
林真須美のキャラクターが強烈だっただけだからではなく
(私の友人には彼女が好みのタイプと言い切る人非人がおります)
我々が、彼女と共犯の夫との間に
まさしく“愛”としか呼べないような
強い絆を感じたからではないでしょうか。
想像するに、自らを“悪”と感じている人間は、基本的に孤独で
心のどこかでいつも
その悪を理解し、受容してくれる人間を必要としているのではないかと。
マーサは性格もルックスも、他の被害者たちに比べて最悪なのですが
レイが彼女だけを愛したという理由が
映画を見終わった後じんわりと沁みてきます。
“カルト”という言葉でくくるにはもったいない
毒性の高いラブストーリーの傑作でありました。
ちなみに主演のデブ女優シャーリー・ストーラーは
この映画に続いて『本当に若い娘』や『ディア・ハンター』、
『バスケットケース』シリーズのヘネンロッターが監督した
『フランケンフッカー』など、癖の強い映画にばかり出演。
これからちょっとばかしこのデブを追いかけてみようかなぁと思っております。
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