
1937年、オランダ。
同じ下宿に住む、親友同士の男子学生7人。
ほどなくして大戦が勃発。
あるものは祖国のために戦い、あるものは敵側になり
それぞれの分かれ道を歩んでいくという群像劇。
地獄大使ポール・バーホーベンがオランダ時代に撮った第二次大戦もの。
ナチス占領下のオランダを脱出し
イギリスに疎開中だった女王直属の兵士となる主人公を演じるのは
この数年後に『ブレードランナー』で大ブレイクすることになる
ルドガー・ハウアー。若いです。めちゃめちゃかっこいいです。
当時のオランダでは史上最高の予算で作られたという、れっきとした歴史大作。
一見、ナチスの暴力に屈しなかった自国民を褒め称える
国威発揚映画のようにも見えますが
(原題は『Soldiers in Oreange』。オレンジはオランダのナショナル・カラー)
どこを切っても苦い苦い皮肉の汁がしみ出る
“負の戦争映画”『スターシップ・トゥルーパーズ』を撮ったバーホーベンですから
そんな単純な話で終わるはずもなく。
ナチス統治下のオランダというと
すぐに『アンネの日記』を思い出してしまう私ですが
この映画、妙に明るい。陰惨な部分が描かれていないかと言うと、まったくそんなことはなく
拷問シーンもあれば、人体破壊描写も収容所の悲惨もあります。
人は(主要登場人物も含め)ばったばったと死んでいくんですけれども
どこか、あっけらかんとしている。
…しかもこの映画
異常に下ネタが多い。この映画の主人公たちは
ナチスの脅威下にあっても、まったくへこたれた様子を見せず
飲みたいときは飲み、笑いたいときは笑い
隙あらば、やらせてくれる女を捜しているのです。
いみじくも北方謙三先生がおっしゃっています。
「人の死を悲しむヒマがあるなら
ソープへ行け!」まぁここらへんがバーホーベン面目躍如というところ。
こんな国の威信を賭けたような大作で
自分の思うとおりの作りをしてしまうところが凄い。
個々のキャラクターが実に魅力的に描かれていて
正とか邪とか、勇気があるとか卑怯だとか
そんな単純な図式で割り切れる人間は一人も出てきません。
それぞれの人間が、それぞれ全力で生きて
それぞれの道をラストまで駆け抜ける。
とにかく理屈ぬきに面白い!バーホーベンのオランダ時代の作品は
昔、1本だけ見たことあったんですけど(たぶん『四番目の男』)
それは何かやたらと観念的な話で、今ひとつだったので
他のも似たようなもんだろと思ってたのが完全な盲点。
考えてみると、そんなんばっか撮ってて
ハリウッドに呼ばれる訳ないですよねー。
ウンコ色した傑作がずらりと並ぶバーホーベンのキャリアですが
下手したら
これが最高傑作かも・・・。(でもなぁ…やっぱ『ロボコップ』が好きかなぁ…うーん…)
でまぁ、この監督の戦争観って結局どんななん?ってとこなんですが
『ブラック・ブック』とこの作品に共通してるのは
戦時下だろうが何だろうが、面白い奴は面白いし
つまんない奴はつまんねぇ、ってとこですかね。
ま、そう一筋縄では行きませんわな。
年齢的に言っても(38年生まれ)、直接戦争体験がある世代な訳で。
今なら『ブラック・ブック』という新たな教材もありますので
「バーホーベンと戦争」というテーマで掘り下げたら
かなり面白くなること間違いなし。
(自分で掘り下げるのは面倒なので誰かにやってほしい)
てな訳でファンの方もそうでない方も必見の映画でございます。
DVDも出てるので探してみて下さいまし!
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↓次はハリウッドでの一作目『グレート・ウォリアーズ/欲望の剣』を発掘するどー。