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ハウス・スタイル
イギリスの出版社などのハウス・スタイル、つまり組版ガイド本をたくさん買いました。
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DTP 以前の時代のものがほとんどです。あまり厚みのないものが多くて、ポケットに入りそうな小ささのものもある。プロ向けだから細かい事例をいちいち書く必要がなかった時代といえるのかも。中には、テート・ギャラリーの1993年の薄いガイド本もあって、これは非売品っぽい。
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どうすれば読者に誤解を与えずより良く伝わるのか、どうすれば読者に心地よく読んでもらえるのか。そういったことをそれぞれが自分たちの環境にあわせて考え、コンパクトにまとめた知恵なわけです。

冬休みの間に、ゆっくり見比べようと思います。
by type_director | 2015-12-31 01:20 | Comments(2)
ドイツ語の ck が kk に変化するとき(2)
この件つまりドイツ語で ck が kk に変化することについて、ドイツに来てから意識的に読んだり調べたりしたことがなかったと思う。なのに、なんで銘板の前で面白いと思って写真に撮ったのか考えてみたら、最初に読んだのは、まだドイツに来るなんて想像もしていなかった時のことでした。

タイポグラフィの勉強をしていたロンドンから1990年暮れに日本に戻ってきたとき、持ち帰った本のうち一冊がこれ。
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英国オックスフォード大学出版局の組版ルールの本『Hart’s rules for compositors and readers』で、そのなかには英語の組版についての他に、仏語や独語組版についての解説も少しだけ載っていて、たまたまそれが頭に入っていたんだった。
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これを読んで、へえーと思っていたのが、一つ前の記事の銘板を見たときに、そうそう知ってる、読んだことある、と思ったわけですが、その知識は最新の正書法改訂(1998年)前のもの。

ドイツに引っ越して、よくわからないなりにもいちおう本を読んでいるわけだから、どこかで ck の単語の切り方を見ているはず、と思って本棚の本を調べてみました。そうしたら、古い本が好きだからというのもあって、前の正書法の年代の本のほうが多かった。頭の中で ck の切り方が更新されていなかったわけです。

Remarque 著 『Im Westen nichts Neues(西部戦線異状なし)』 Kiepenhauer & Witsch 社刊、1993年。これは、読みたくて本屋さんで新しい本を買おうと思ったけど、手に取ったその本の書体や組み方が気に入らず、けっきょく古本で買った。オフセット印刷だけど活字本の復刻版みたいです。なので書体はライノタイプ鋳造機の Stempel Garamond。

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最初に出てくる「Brücken」はふつうに ck で、二番目の「Brücken」は二行にまたがっているので ck が kk になっている。

Jan Tschichold 著『Erfreuliche Drucksachen durch gute Typographie』 MaroVerlag社刊、2001年出版だけど1960年版の複製版。本文の書体はライノタイプ鋳造機の Janson Antiqua。
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上から4行目の単語「erschrecken」で二行にまたがるとき ck が kk に。
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下から2行目の単語「Druckereien」で二行にまたがるとき ck が kk に。
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Immanuel Kant 著『Zum ewigen Frieden』 Reclam社刊、2003年。本文の書体は DTL Documenta。
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ここでは新しい正書法にならって、単語「Unterdrückung」で二行にまたがるとき ck の前で切って「Unterdrü-ckung」としている。
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そして、同じ本のフラクトゥール文字の組版。古本で買った。Bremer Schlüssel Verlag社刊、1946年。書体はライノタイプ鋳造機の Breitkopf-Fraktur。
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真ん中あたりの行の単語「Zuckerinseln」で二行にまたがるとき ck の前で切っている。「Zuk-kerinseln」としない。
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タイトルページに「1795年」と書いてあるし、奥付を見たら「Wortgetreuer Neudruck der Erstausgabe von 1795」つまり綴りも初版のドイツ語に忠実な新刊本と書いてある。実際、綴りが現代と違っている単語が多い。切り方もその当時の正書法に従ったのかも。ちょっとまた調べてみます。
by type_director | 2015-12-28 18:33 | Comments(0)
ドイツ語の ck が kk に変化するとき
ドイツの Idstein という町の教会の壁に埋め込まれていた銘板。
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近寄ってみたら、その教会の中にはルーベンスの弟子によって描かれた壁画と天井画があるらしく、その説明でした。中は修復工事中で入ることができませんでした。

碑文を読んでいて、なるほどー、と思った部分。

こう書いてあります。
Wand- und Dek-
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kenbilder
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もし、これがハイフンで切られていなければ、Wand- und Deckenbilder (壁画と天井画)という綴りになっていたはず。

Decken つまり天井をハイフンで切るときは、Deck-en というところで切るのでなく、ck の真ん中で切って c を k に変えて k-k とします。

別の行では、このように Deckengemälde (天井画)と書かれている。切らない場合は普通に ck で良いわけです。
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12月27日追記:

現在の辞書などで同じ単語を調べると、 De-cken-ge-mäl-de と切るようになっています。ck の入った単語を切るときに k-k とするのは、 こちら を参考にすると最新の1998年の正書法改訂以前の切り方だそうです。

しかし、この分け方についてはときどき論争の対象となっているようです。Deckenbilder / Deckengemälde で例えると、 De-cken- のように切った場合、切る前の母音を長く伸ばして「デー」とするのか短く「デッ」とするのか次の行に行くまでハッキリしないので合理的でないという意見もあります。

このTypografie.infoのやりとり を参考にすると、1795年のドイツ語の文法の本『Deutsche Sprachlehre für Schulen』では「wa-cker」という例を出して ck を分けないようにしているけれど、1880年の Duden 『Vollständiges orthographisches Wörterbuch der deutschen Sprache』でも、1902年の Duden 『Orthographisches Wörterbuch der deutschen Sprache』でも hak-ken (ck wird in kk aufgelöst) のような例を出して k-k とすることになっていました。
by type_director | 2015-12-20 20:29 | Comments(2)
雑誌『Typography』のウェブサイト
雑誌『Typography』のウェブサイトができました。 こちら

これまでの TypeTalks の内容も紹介されています。メニューの「TypeTalks」からどうぞ。
by type_director | 2015-12-17 13:39 | お知らせ | Comments(0)
台湾の看板文字ワークショップ
台湾の街歩きでは、大阪の看板職人、板倉さんと上林さんとずっといっしょでした。私の本『まちモジ』でも職人技を見せてくれた、あのお二人です。街歩きでも、みんなで看板を見てしゃべりながら歩いたんですが、お二人が感心されるポイントが私のと違って新鮮で、私も勉強になりました。

今回の台湾の私の講演ツアーでは、特別ゲストとして看板職人のお二人に3度も登壇いただきました。初日の台湾大学での講義、二日目の高雄の誠品書店、そして三日目は、文字書きのワークショップを、私の本『フォントのふしぎ』『まちモジ』そして『欧文書体』の台湾版の翻訳者で台湾での私の講演を企画してくれた葉(よう)さんのデザインスタジオで開き、台湾のデザイナーたちに丸ゴシック体の書き方の伝授。

ピンクのTシャツは板倉さん、水色が上林さんです。
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私は前座みたいなもんだったので、お二人を紹介した後は、撮影役に回ってました。参加者の邪魔にならない位置から。

なんといっても、手で書くという技術のすばらしさを直に見てもらうこと、そして、文字は書くところから生まれる、という当たり前のことを再確認していただくのが大事だからお二人に来ていただいたんです。

最初はストロークの少ない「水」「木」などの練習から入り、「小林」とか、このスタジオの名前の「卵形」を書いて、だんだん難しくなって「臺灣」(繁体字での台湾)とか書いていただきました。
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下書きなしの、ぶっつけ本番です。それでも、お二人はその場でこなしていきます。

エスカレートしまくったところで書いたというか書かされたのが、この「ビャア」という読みの字。中国の陝西にある麺の一種だそうです。私も、こんなリクエストが来るとは予想していなかった。
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二人それぞれがその場で自分で考えたバランスの取り方になっています。それでも一発で収まっているところは、さすがです。写真真ん中が、スタジオを提供してくれた葉さん。

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でも、こうなると字だかなんだかわかんない。
「QR コードか!」とかつっこまれて大笑いになってました。

思えば3年前、私の本を日本で読んだ葉さんの熱心なアプローチで、私の本の台湾版の出版が決まったわけです。面白いことになってきました。
by type_director | 2015-12-14 13:06 | 講演やコンファレンスの記録 | Comments(2)
Typetalks分科会『欧文組版のABC』第4期「基礎から応用まで」
人気の高い講座の受講者募集が始まりました。

髙岡昌生さんがていねいに解説する欧文組版の基礎。対象は幅広く、解説文に「専門教育を受けていなくても、経験が浅くても大丈夫です。」とあるとおりです。会場は、東京・青山の青山ブックセンター。

詳細とお申し込みは こちら
by type_director | 2015-12-13 07:38 | お知らせ | Comments(0)
台湾の店の看板
台湾は、なんといっても看板が多い。
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良い味の看板には、やっぱり目がとまる。台湾の文字好きの人たちといっしょに歩いているので、お店の中に人がいるときには、写真を撮らせていただくお許しを得てもらっています。これなんかもそうでした。
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お店の人が言うには、「こないだ役所の人が来て、この看板がいらなくなったときには譲ってくれと言われた」んだそうです。博物館とかでとっておく価値のあるものなのかもしれない。

ころもへんの、しめすへんよりも一つ多い点の置き方に注目。
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シャッターにも良い字がたくさんあります。
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古くてひびの入ってきたものも。
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私は文字しか見ていなかったけど、いっしょに回った板倉さんと上林さんは、ステンレス製のシャッターが多いことに驚いていた。なるほど、それは気づかなかった。
by type_director | 2015-12-06 07:11 | Comments(0)
台湾で講演ツアー
11月はずっと出張でした。
ドイツから東京、東京から途中で台湾、そしてまた東京、そのあとでドイツに戻ってきました。

台湾では、大阪の看板屋さん、板倉さん上林さんといっしょに講演やワークショップをしてきました。台湾はやっぱり面白い。

頭上を飛行機が飛ぶ。
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同じ漢字圏だけど、日本の感覚では意外なところに楷書体を使うあたりが。
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楷書体と隷書体の組み合わせ。けっこうある。
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街路の標識、旧型。
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新型。
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由緒あるお寺。
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そこの提灯の字が明朝体っぽくて超扁平。
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歩いているだけで面白い。

これは夜市。
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昼も夜も、食べている間もずっと面白かったー。また行きたい。
by type_director | 2015-12-05 14:00 | Comments(0)