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Hans Eduard Meier 1922–2014
マイヤーさんが7月の中旬に亡くなられました。

2回お目にかかったことがあります。1度目は2000年のライノタイプ社のイベントで、その時はこの Linotype Syntax (ライノタイプ・シンタックス)が発売されたばかりで、ポスターにサインをしてくださいとドキドキしながらお願いしました。喜んで引き受けてくださいました。

2度目は、ハイデルベルクでのライノタイプのイベントの時で、イベント会場からホテルまでの帰り道をツァップさんとマイヤーさんと私の3人でゆっくりとしゃべりながら歩いて帰りました。その時に、1960年代の活字の Syntax の開発の時の話をうかがうことができました。

今から見れば、ヒューマニスト・サンセリフ体の先駆けという思い切ったデザインで時代の先を行っていたわけですが、当時はステンペル社の上部からは「親無し子」だとかさんざんに言われていたそうです。サンセリフ体はガッチリしていなければいけない、というような思い込みがあったのでしょうか。

こないだ行ったブリティッシュ・ライブラリーで、その Syntax を全面的に使っているのを見つけたので、ブログに載せようと思って、パンフレットと館内の案内図を持って帰っていました。その時は亡くなっていたとは知らず、良い書体が上手に使われている例は紹介したいなと思ったわけです。ブリティッシュ・ライブラリーのロゴは、 Syntax にすこーし手を加えています。
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ここで使われているのは、Syntax 旧バージョンのほうです。M の開き方がややおとなしいほうが旧バージョン。

Syntax / Linotype Syntax の縦画は垂直ではありません。微妙に右に傾いています。それに気づく人はほとんどいないでしょうが、それがなぜか動きを感じさせるのです。カリグラファーとしても有名なマイヤーさんだから、その効果がわかっていたのでしょう。

こんなにすごい書体をつくってくれたマイヤーさん、ありがとうございます。合掌。

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by type_director | 2014-07-30 08:09 | Comments(0)
行頭の揃え方について考えたこと
ブリティッシュ・ライブラリーの一室に展示してあった、ギリシャ語アンシャル体で書かれた『Codex Sinaiticus』をじっくり見ていました。
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T や Y などの行頭の揃え方が、腕の部分を見ないで幹で揃える、つまり縦画の部分を K や M の左の縦画と揃えるという方法をとっていて、それが不自然に見えなくてむしろスッキリして見えた。なんでこんなに潔いんだ!って感心していたんです。

案外、このようなやり方はヨーロッパでは見かけるんです。

去年フランスで見たテレビ番組のタイトル。「めざましテレビ」というような意味だと思う。このロゴの T は、同じ揃え方をしています。
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でも、揃って見えるかどうかは微妙。骨太のサンセリフ体でやると、何が違うのか。いろいろ考えた結果、活字と手で書いた字は見え方が違う気がする。

たとえば、鉛筆でスケッチをして良いなと思った字の形をデジタルに起こすときも、デジタルで白黒の境界線がハッキリしてしまうとぜんぜん別に見えたりします。

手で書いた字は自然な「ゆれ」があるから、揃えても整然としすぎない。なんとなく揃っているような揃っていないような中間のところにあるんだと思う。それをハッキリしたしかも太い線で表すと違って見えるんだろう。

ここで使った『Codex Sinaiticus』の図版は こちらから引用しました。
by type_director | 2014-07-28 03:08 | Comments(0)
ワードスペース
イギリスに1泊2日で行ってきました。これはロンドンにあるブリティッシュ・ライブラリー。
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最終行の「JUNE」の前と後ろのワードスペース(単語間)に注目です。
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金属活字の組版でもしこれをやったとして、ワードスペースを入れるところを想像してください。この & と o との間に入れてあるのが、金属活字のワードスペースで、一枚だけ入れたり、他の厚みの板を入れて2枚以上合わせたりして調整しながら使います。
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そうやって考えると、5 と J との間に入れるワードスペースは、E と 1 との間よりもかなり狭いことに気づきます。でも、J の左上が広く開いているので、空間のバランス的にはこれで良いわけです。

21日月曜日、東京・青山の青山ブックセンターで、ストーンカッター(石碑を彫る職人)のゴードン恵美さんを招いてお話ししていただきます。私も Skype でドイツから参加の予定。

詳細は こちら
by type_director | 2014-07-20 14:58 | Comments(0)
雑誌名の本文中の表記
6月の記事、 「世界 CAPS LOCK の日、6月28日!」 で、大文字だけの文章は怒鳴っているように見えるとか本文中に大文字だけの単語が出てくるとそこだけ飛び出て見苦しいとか書きました。

日本では、日本語の文章を英訳したパンフレットや書籍で、イベントのタイトルや本・雑誌の名前を文中でも大文字で組んでいる例が多いです。「タイトルが全部大文字で組まれるから本文中でも大文字」と思い込んでいるのかもしれない。

でもそれは文章中では絶対読みにくい。読者に「なんか読みたくない」と思われたらそこでアウトなんです。

ロゴとかタイトル部分は「見る」、だから別に大文字だけでも問題ない、文章中は「読む」から、大文字小文字の混じった文章の中で飛び出さないのが大事。英文の扱いに慣れていて違いがわかる人は、文中ではちゃんと一般的な表記に従うはずです。

たとえば、このファッション雑誌『ヴォーグ』を例に取ると、カバーでは「VOGUE」というふうに大文字だけで書かれている。
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ても、その雑誌のことを語る文章中では、「Vogue」と一般的な固有名詞の表記にします。
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雑誌名なので、組版の約束事にしたがって本文中は当然イタリックにするわけです。
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ここで「Vogue」の単語の扱いで参考にしたのは、ファッション雑誌『ヴォーグ』の歴代の表紙を集めた『Vogue Covers』という本です。
by type_director | 2014-07-13 11:57 | Comments(2)
資生堂のデザイナーとの対談記事
資生堂のデザイナー、小林豊さんとの対談の記事が 「こちら、銀座 資生堂センデン部」 で、きょう7月1日から公開されています。小林豊さんは、あの資生堂書体の精神を受け継ぎそして最近では大胆なアレンジもしているデザイナーです。

対談、濃かったです。文字の話だけで2時間あっという間。資生堂だからといって、たとえば「文字の話ばかりでなく化粧品に寄せてください」みたいなことはぜんぜん言われなかった。さすがです。

資生堂欧文書体のくだりで、あのアドリアン・フルティガーさんの描いた原図が写っています。必見! 
by type_director | 2014-07-01 17:06 | Comments(0)
次回 TypeTalks は「石に彫られた文字から書体デザインを学ぼう 本場イギリスのレターカッティング事情2」
イギリスのケンブリッジでレターカッティング(墓石や記念碑などに文字を彫る仕事)をしているゴードン恵美さんにお話ししていただきます。TypeTalks では2回目の登場です。前にも書いたと思うけど、私がイギリスに遊びに行ったりして恵美さんに会うと、食事をしている間も歩いている間もずっと文字のことばっかりしゃべっている、そんな感じです。

後半ではゴードン恵美さんによるレターカッティングの実演もあります。間近で作業が見られるチャンスです!

2014年7月21日(月) 18:00-20:00
東京・青山の青山ブックセンターで。

詳細とお申し込みは こちら
by type_director | 2014-07-01 08:54 | お知らせ | Comments(0)